6月のモミジで昆虫採集
モミジは花の時期の花掬いでいろいろな昆虫を取れる良い植物です。

花が終わるとあまり虫が付くイメージはないかもしれませんが、初夏の6月頃になると緑に輝くカミキリムシのアオカミキリと人気の小型タマムシであるマスダクロホシタマムシを見つけることができます。
毎年探している2種類の虫を狙って採集に行ってきましたよ。
アオカミキリとマスダクロホシタマムシ採集の要点
まずは探すべき対象の生態的な部分を知りましょう。

アオカミキリは主にカエデ科の樹木の生木を利用するカミキリムシの1種です。
アオについては前回の記事でその探し方を述べた部分があるので摘要だけすると、イロハモミジやイタヤカエデに成虫の脱出痕を見つけ、細枝などの部分枯れした箇所があるかどうかを確認することでそのエリアに居るかを確かめます。
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産卵部位となる細枝を見ていくのが効果的です。

マスダクロホシタマムシについては主に5~7月頭ぐらいに見られる1cm程の小型タマムシで、幼虫はスギやヒノキなどの針葉樹を利用し、成虫はカエデ科の樹木の葉脈などを後食することが知られています。
探す場合にはスギ・ヒノキの植林がある場所で、かつモミジの仲間が植えられている環境を探すことで目にすることができます。実は普通種なので目につかないだけで個体数はそれなりにいます。

採集においては枝先のスウィーピングが有効で、午前中から午後の日差しが強い時間帯であれば活発に行動しています。
2種の採集はアオカミキリがルッキングを中心に、マスダクロホシはスウィーピングを中心に行いますが、アオカミキリも枝先にいたり衝撃で落下してその存在を見つけられたりするので相性がいいです。
マスダクロホシタマムシをまずお目当てに
さて、今年はアオカミキリについては既に3匹ほど捕まえていますので、まだ捕まえていないマスダクロホシを優先的に探していきます。

一応ルッキングをしてアオがいないかだけは軽く確認して枝先を見ていくわけですが、訪れた場所では運良くスギ・ヒノキ林に隣接した樹冠のモミジが見られるいい場所がありました。
いかにもマスダが好きそうな環境なので張ってみることにします。
マスダクロホシタマムシはクロホシタマムシやナガタマムシ採集をしたことがあれば分かりやすいかと思いますが、飛翔がハエのようにとても早いです。
これは飛翔スピードはもちろんのこと着地した葉などからの飛翔もとても素早いです。
なので怪しげな1cmぐらいのシルエットが来れば樹冠の葉を丸ごと掬っていきます。

到着早々樹冠の葉の上にマスダクロホシがいるのを発見し、いい位置に飛翔した個体をネットイン。
やはり環境条件がわかっていればマスダにはそれなりに遭遇することができますね。最初の個体は恐らくメスと思われ、体長が非常に大きいことに加えオレンジ色がかなり強いいい個体でした。

マスダクロホシを始めアオカミキリなど一部の昆虫には羽化直後にオレンジや赤みが強い個体がいます。マスダは不明ですが、多くの多種において時間とともに緑の色に戻ってしまうので生きているときのみ味わえる美しい姿ですね。
樹冠を見ればマスダらしき昆虫がぼちぼち飛んできます。枝をスウィーピングして次の個体をゲット。

小さいため自宅での撮影ですが、魅力たっぷりです。
マスダはクロホシタマムシよりも小さく、上翅の黒点の胸側の1対がないという分かりやすい色合いをしています。
それ以外でも金属光沢の緑色が純緑ではなく、緑をベースにした複雑な色合いをしていることから比較すれば見分けは簡単です。


10分程度で5匹ほどのマスダクロホシを捕まえ今季のマスダは満足という感じです。
ここから当地では今季1時間ほどで約1匹見つかるアオカミキリ採集に移ります。飽きてきたらスウィーピングを交えてマスダクロホシなどに癒やされます。
アオカミキリ採集のターン
アオカミキリ採集をしていきます。

当地ではイロハモミジ、イタヤカエデ、オオモミジでの採集記録があります。
いずれも細枝のルッキングにおける採集率が高いことから今回もそうします。
まずは今季あたりのイタヤカエデにて羽脱した個体を狙っていきましょう。

アオカミキリ採集の丁寧に見ていけばそれなりに見つけられるこのちょうどいいレア感と、手にしたときの緑の金属光沢はとても癖になります。
記事を執筆したのはこの日の翌日なのですが、アオカミキリ探してーとなっています。
これまでの経験から枝先から50cm以内の枝にいることが圧倒的に多いです。そうした部位を見ていくと、地上から網が届くギリギリの範囲ぐらいの枝を歩く怪しいシルエットを発見。
ビーティングの容量で下から叩いてあげると...?

早速アオカミキリも取れました。マスダの快調にアオも快調と暑い日ながらその苦労が報われる採集ですね。
引き続きアオカミキリの傾向など情報も知るために追加を狙っていきます。
アオカミキリですが、細枝にいることが多いことから産卵に来ているのだろうなと疑っていますが、直射日光の有無や樹種の好み、天気などの条件などになかなか傾向が見られません。
少なくとも当地ではイタヤカエデの好みが圧倒的に高いというぐらいですかね。
そんなわけであとが残るイタヤカエデを中心に見ていくと、これまたいい場所の細枝を歩く怪しい姿が!
これも慎重に落とすと?

やはりアオカミキリでしたね。時折イタヤの樹液に来るキマダラミヤマカミキリやゴマダラが(枝先スウィーピングで入ってくる)見つかることもあります。
イタヤカエデが集まっているエリアと実績のあるイタヤカエデを少し時間を起きながら往復し、最初のポイントで3匹目のアオカミキリを追加したところでその日のアオカミキリは終了となりました。

とにかく首が疲れるのが欠点ですが、キラキラの小さな虫と大きな虫を見れるこの6月のモミジでの採集は癖になる面白さがありますね。キラキラ好きな方にはとてもおすすめです。
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タマムシ類の採集関連記事です。結構好きなジャンルでいろいろな種類を探しています。おすすめはやはりアオタマとアオマダラタマムシですかね。
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カミキリムシ類は主に高尾が中心です。あまり珍しいものは探せていませんね。