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イタヤカエデの見分け方。樹液にミヤマクワガタが訪れる樹木!

山地で見たいおすすめ樹木、イタヤカエデ

イタヤカエデはカエデの中でも葉の切れ込みが浅い

クヌギやコナラといった初心者にも名が知られている樹木は競争も激しい樹木です。

平地採集をしている方はこの2種を中心に見ているかもしれません。

一方で山地で成果を上げようとするとそれ以外の木にも注目することでチャンスは大きく増えます。

イタヤカエデは山地や沢沿いなどで目にする樹木で、同じくそうした湿度の多い環境を好むミヤマクワガタがついていることもある木です。

この夏にミヤマを狙いたい人はぜひイタヤカエデを覚えてあげてください。




イタヤカエデとは?

イタヤカエデはモミジの仲間(ムクロジの仲間)に所属する植物で、紅葉時に有名なイロハモミジなどと同じ仲間です。

大きさは人の手を広げた程度には大きく目立つ

カエデの仲間は蛙手に由来し、その葉の姿がカエルの手に見えることから名づけられています。

イタヤカエデもイロハモミジ程ではありませんが切れ込みが入っており、人の手を広げたような特有の形をしています。

イタヤカエデ(左)とイロハモミジ(右)イタヤは2倍程度に大きく、遠目からでも分かる。

樹木としては巨大な種類で大きいものでは20m以上の大きさになるものもおり、特に巨木のイタヤカエデには多数のクワガタが訪れる傾向があると感じますね。

この仲間はカミキリムシに非常に攻撃されやすく、主にゴマダラカミキリが枝や幹に潜入することで樹液が流れます。

この樹液には虫が集まるので甘いだろうと想像できると思いますが、イタヤカエデは和製メープルシロップとして活用される程の高い糖度を誇ります。

本場のメープルシロップ、サトウカエデの葉。カナダ国旗でおなじみ。

つい先日も盛岡市で、イタヤカエデと他のカエデの樹液を利用したメープルシロップが発売され、ニュースとなっていました。

知る人は知っている昆虫採集ができる木として、人気が高い木です。

イタヤカエデの樹液とは?

イタヤカエデの樹液はクヌギやコナラの樹液とは異なり強い発酵臭を放つことはありません。

イタヤカエデに穿孔するアオカミキリと思われる羽脱孔。丸ではなく裂けるように入る。

さらさらと流れ出ることから流出箇所を特定することが難しく、幹に虫がついていて剥がしてみたら下に樹液が流れていたというような局所的な樹液が多いです。

参考程度にカミキリムシの潜入跡を見ていくとこのような裂け目がある場合が多いです。

こうした周りより色が黒い場所というのはイタヤカエデに限らず色々な樹液の判別に使えますので覚えておいてください。

葉を見分けられてもこのように加害がないと樹液は出ない。シミの感覚を理解しておきましょう。

ちなみにですがイタヤカエデの樹液の糖度はそのままで2度程度と言われています。糖度はイメージしにくいと思いますが、イチゴのへたの部分(イチゴは先端が甘くヘタの甘みが薄い)は糖度が2度程度と言われています。

イチゴのへたのあたりと考えるとまあ虫たちにはご馳走でしょうね。

一応樹液は糖度が多いことから雑菌も含まれています。

あまり舐めないほうがいいとは思いますが、例えば口に入れて舌で甘未を味わった後吐き出す等するといいと思います。虫のご馳走を味わってみましょう。


イタヤカエデの見分け方

イタヤカエデは山地でも多い植物ではありません。

カエデの仲間は多くがカエルの手のようになっている。初心者には見分けは難しめではある。

前述の通り水分の多い場所で目にする機会が多い植物なのですが、イタヤカエデの仲間は似た種類も非常に多く見分けは厄介な種類と言えます。

まずはイタヤだけでなくカエデ科の植物をそれ以外と見分けられるようにしましょう。

しかしカエデの中でも葉がかなり大型であることや、河童の手のように各頂点を結ぶ膜の部分が大きいことから一度正しいイタヤカエデを認識すれば分かります。

やや似ているオオモミジ。イタヤカエデはこれよりも遥かにでかい。

イタヤカエデの見つけ方

イタヤカエデの発見はなかなか難しいです。

高尾山1号路に行ったことがあればあんな感じの沢沿いに生えています。

このカエデは主に山地に生えています。しかし多い植物ではありません。(東京神奈川での話)

私的な観察では大木は沢沿いに生えているという印象で、例えば高尾の一号路では立派でても網も届かない大きさのイタヤカエデが見られます。

イタヤカエデを探してみたい方はそうした湿度の高い山地の沢沿いを探してみましょう。

管理されている場所でも紅葉が美しく、夏には虫が来ることから植樹されていることも。

また、カエデの仲間ということで公園環境にもよく見られます。イタヤカエデは秋に黄葉を見せてくれるほか、虫が来ることもよく知られているので植えられているんですね。

初心者の方がいきなり山地へアクセスしてイタヤカエデを見つけ出すというのは困難だと思います。なので公園の樹名板や植物園などで実物を事前に確認してから自然の中で探すようにしましょう。

イタヤカエデでの昆虫採集

このイタヤカエデですが、昼間もカブクワがついている可能性が高いと私的に感じます。

例として平地でクヌギコナラのカブクワが全くいなくてもイタヤについていることはある。

クワガタは基本的に夜行性なのですが、イタヤカエデにはなぜかいます。

これについていくつか考えてみますと、まずカエデの仲間で大きい葉を持つために身を隠しやすい可能性があるのではないかと考えています。

対生と言って、左右両方に葉を出す面白い性質がカエデの仲間には見られる。これにより茂っている。

クヌギやコナラと比べるとイタヤカエデを見る人はよほどの虫好きであるため、分母が限られます。これにより昼間でも採集されずに木に残っている数の割合が高くなるのではないかと思います。

細枝はカミキリ由来ではなく、スズメバチなどに由来するのではなかろうか。

また、事実確認は不明ですが、イタヤカエデは太い幹から樹液が出ている場合もありますが枝から樹液が出ている場合も多いです。

ゴマダラカミキリやアオカミキリ、イタヤカミキリなどカエデの仲間を利用するカミキリは多数おり、樹液が流出しやすい樹種です。

カエデの仲間に付くアオカミキリ。樹液流出に貢献し、虫自体も美しくて人気。

加えて細枝の樹液流出の頻度を見るにオニグルミのように樹皮を削って樹液が流れる可能性も考えられます。

例えばスズメバチはイタヤカエデの細枝の樹皮を頻繁に噛んでおり、明らかに流出に貢献しています。

もし柔らかいのであれば昼間やってきたカブクワが木を削って能動的に樹液を舐めに来ているために見かける機会が多いとも考えられますね。

イタヤカエデは前述の通り葉の密度がとても高い樹木です。

落ちるクワガタの性質を利用して見ましょう。思わぬ成果が出るかもしれません。

幹の先までしっかり観察するのが難しい場合もあるため、ルッキングと蹴り採集を交えて探しましょう。さらに長い網を持っていれば枝を叩いたりするのも効果的です。


イタヤカエデに来る虫

イタヤカエデで目にする虫を紹介します。

コクワガタ

もっとも普通なクワガタとしてよく目にします。

ただでさえ薄いので、ルッキングで見落とされている。
ノコギリクワガタ

公園などではクヌギコナラのものは取られてしまいますが、イタヤカエデのものは昼でも取れたりします。

大型種だが、そもそも人に探されない木ならば残っている。
ミヤマクワガタ

山地のミヤマクワガタといえばイタヤカエデですよね。沢沿いや水辺の近くのものにいることが多いです。

ミヤマといえばイタヤ。
アオカミキリ

カエデ科を加害するカミキリです。いいカミキリなのですが、どこでも個体数は多くありません。

アオカミキリがいればカエデの仲間と示すサイン。個体数が少ないのがネック。
イタヤカミキリ

非常に珍しいカミキリです。イタヤ以外にもカエデの仲間につくとされています。

神奈川東京共に絶滅危惧種。イタヤ以外にもカエデの仲間を利用するとされている。

イタヤカエデは都市部に住む人が知らない穴場の樹木!しかし採集している人は当たり前のように知っています。

平地では多くは無い植物であるため、なかなか目を鍛える機会は少ないのですが、いい樹木なので成果を上げたい人は覚えておいてください。

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カエデ採集で役に立つアイテム

沢沿いに生えるイタヤカエデは蚊やブヨ、アブに悩まされます。虫よけの中でも強力なディート30%配合の虫よけは効果が期待できます。カミキリに加害された細枝を見るイタヤカエデの採集では枝を叩く棒があると最高です。
欲を言えば長竿網で叩いて網に落とすのが効果的ですよ。細枝ルッキングではmarauder miniのスポットモードが最強です。高所の枝まではっきり見え、落とすときには拡散光で落下地点まで見えます。
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上記商品のうち長竿網とライトは採集において特に有用なので個別レビューもぜひご一読ください。文字通り世界が変わります。