フチトリヒメヒラタタマムシの集団に遭遇
フチトリヒメヒラタタマムシといえばタマムシをやっていると名を聞く珍しいタマムシの一種ですよね。

タマムシハンドブックの発売に伴い私も毎年初夏の時期に探していたのですが、ナガタマムシこそ見つけられてもこの難易度の比較的高い種類に遭遇することはかないませんでした。
今年は見つけてやろうと意気込んでいたのですが...?
フチトリヒメヒラタタマムシとの遭遇
このタマムシはクヌギなどの幼木や枯れ枝などに飛来することがよく知られており、SNSなどでもタマムシの有名な方たちがそうした情報を上げてくださっていることから、探す際にはその情報を参考にしました。

また、ヤマボウシやノイバラなどの白いお花に来ることもよく知られています。
この時期には色彩変異に求むフタコブルリハナカミキリといういいカミキリムシがいるので、フチトリヒメヒラタを狙いつつフタコブを狙うことに。
花つきの良い日当たりの良い花を掬っていくわけですが、コアオハナムグリやキイロトラなどのいわゆるよくいる奴らばかりなわけです。
そんな大きな奴らを見ていつも通りかと思っていると?
小さいコメツキ?にしては幅が広いな?
この前胸背の縁の赤い模様は!!

フチトリヒメヒラタタマムシ! そんなこんなでフチトリヒメヒラタタマムシを見つけてしまったわけです。まさか花掬いで入るとは思わず、2年越しの遭遇に感動します。
しかし網の中を見てみるとありゃ?同じようなやつがいるぞ?まさか一掬いで2匹!?

となんと2匹も捕まえてしまいました。このタマムシはいないことはないけれども多くはないようなタマムシという認識であったため、驚きました。
追加を求めて掬う
2匹に遭遇できたのでもしかしてフチトリヒメヒラタタマムシって増えているのかな? この木が当たりなのか?と疑問が湧いてきます。
そこでタマムシのセオリーである日当たりの良い枝先のヤマボウシの苞を掬っていくと...

なんだこれ?
とりあえず捕獲したのは12匹。一緒にやっていた方も8匹ほど捕まえてこれ以上はいいかなと言うことになりました。

ヤマボウシの花には眼の前に飛来するわ、飛んできたのが目で見えるわ、たまに腕とかに止まってくるわでフチトリヒメヒラタタマムシのレア度の概念がぶっ壊れてしまうような光景でした。なお、目視での個体数は40~50以上はいました。
思わず本当にフチトリヒメヒラタタマムシだよな?と確認してしまうぐらい個体数が多く、よく言われるスウィーピングを頑張って1匹捕まえられるとは無縁の環境でした。

念願のこのタマムシとの遭遇がとても衝撃的なものになってしまいましたね。
原因は不明
この珍種の大量捕獲ですが、原因がよくわかりません。

このエリアのヤマボウシをある限り救いましたが、距離がある場所で1個体、近場で1個体の追加が得られました。
フチトリがついていたヤマボウシは花つきは段違いでよく、付近に衰弱したクヌギがあることがプラスに働いたのではないかと思いますが、フタコブについてはここ2.3年ほど同じ場所で探しているのに過去同じヤマボウシにいたような記憶はありません。
こうした珍種の増加としてはナラ枯れによるクロホシタマムシ、サトウナガタマムシ、ルイスホソカタムシ、アカアシオオアオカミキリの大増加と次々上がる報告が思い浮かびますが、このタマムシも枯れ枝などに飛来することからナラ枯れの影響を受けているのでしょうか。

その仲間の中でもマイナーで小さいことからあまり存在を知られていないなどでしょうか。とりあえず天候条件や花が終わっても総苞に来るのかなどの条件を追ってみたいと思います。
原因は不明ですし再現性も無いのか情報がそもそもないので増えているのかも不明ですが、出会いたかった虫にたくさん出会えて嬉しいですね。

タマムシ屋の方でこの時期にヤマボウシを掬う方はあまり多くはないのではないかと(サビナカボソなどいるが)思うので、雑木でヤマボウシなどを掬ってみると思わぬ再現性や増加の情報などが出てくるのではないかと思いました。
こうした珍しい種類がいてくれるのはいいですね。最近のヒラタクワガタに続きいい波が来ているようです。
フチトリヒメヒラタタマムシとは?
フチトリヒメヒラタタマムシは体長5mm程度の小型タマムシです。

タマムシハンドブックによる難易度は★★★であり、身近なタマムシの中では比較的遭遇難易度が高いとされるタマムシです。
成虫は4月~7月頃まで出現し、クヌギなどの葉の上にいることが多く、そうした場所のスウィーピングもしくは白いお花などに来ることも知られていますので、そうした花掬いで見つかることが多いとされています。
また、クヌギの枯れ枝にも来ることから詳細なライフサイクルは不明ですが、クヌギに依存している可能性がありそうですね。

成虫には前胸背の縁に特にメスにおいて明瞭な赤色の模様があることで判別が可能です。

腹部も赤色をしているため、分かりやすいです。

オスには縁に赤や緑など多少の個体差があるようですが色がついており、頭部は緑色のものが普通であるようです。
活性は高く、花上で写真撮影などは難しそうでした。
情報もあまりない種類なので増えるといいね
このフチトリヒメヒラタタマムシはタマムシハンドブックのおかげか虫仲間にも名前を出しても通じることが多く、興味のある方はとても多いものと思われます。

しかし私もそうだったようになかなか出会うことができず、生態や詳細な出現環境も不明で単発で偶発的に捕まる虫という印象が強いです。
なのでこのような大量の遭遇というのはあまり事例がないのではないかと思います。
いい虫なので類似例でも、ナラ枯れで増加しているのかなどわかればいいなと思います。あくまで自分が偶発的に遭遇した可能性も高いですが、こんな事例が合ったことを報告しておきます。
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タマムシ類の採集編です。トガリバシラホシナガタマムシはナラ枯れで見る機会が増えている気がします。
クロホシやムツボシも多いですし、サトウナガタマムシは明らかにナラ枯れで増えていますよね。