小型のシラホシナガタマムシのような美麗種
ナガタマムシが楽しい時期となっていますね。
タマムシ好きの方々はきっと採集に夢中になっていることと思います。
昨年の話ですが珍品とされるトガリバシラホシナガタマムシに遭遇しました。
ナガタマムシの採取数は現在まででもそう多くはないもののビギナーズラックの様に遭遇できた珍品に胸が躍ったことを覚えています。
今回は1度は遭遇したい珍品美麗タマムシとしてトガリバシラホシナガタマムシを紹介します。
トガリバシラホシナガタマムシとは?
トガリバシラホシナガタマムシは主に初夏頃にクヌギの大木に産卵しに来ることが知られているタマムシです。
詳細については不明な点が多く、webなどで検索しても情報がほとんど出てこないことから希少な種類であることが分かります。
タマムシハンドブックによればそのレア度は3.5でエサキキンヘリタマムシより難易度が高いとあることからも珍しい種類だということが分かります。
東京神奈川では僅かながら採取例が知られているようですが、マニアックな虫故にそもそも存在が知られていない可能性が高そうです。
今回遭遇した個体はナラ枯れの土場に飛来したものです。
シラホシナガタマムシと図鑑上は似ている種
このタマムシに遭遇したのはタマムシを本格的に始めた昨年でした。
この時はクロナガタマムシやその辺のよくいる種類位しか知らなかったもので、シラホシナガタマムシか?シロテンナガタマムシか?程度に考えていたものです。
発見時は曇りであり、タマムシ類が晴れと曇りで発色が異なることも考えることなども知らなかったので青い小さなタマムシがいると思っていましたね。
タマムシハンドブックで調べているとシラホシそっくりの6つの点に翅の先端がバッチリとがっているなどトガリバシラホシナガタマムシのポイントに合致していました。
こういう珍品種は山の中や上流部などより自然度の高い場所に生息していると思っていた私はまた会えるだろうとリリースして結局再会できていないのです。
その後シラホシナガタマムシなどに遭遇していく中で明らかに小さいじゃん!や、シラホシこんなに青くないじゃん!などの突っ込みを入れたのは当然です。
トガリバシラホシナガタマムシの環境
トガリバシラホシナガタマムシに遭遇した場所は実は町中の雑木林でした。
いい土場を事前に見つけていたので、撤去される前に何がいるか確認しようと訪れたんですよね。
管理されている方に許可をいただいて1時間ほど定点観察をしていたのですが、ふと見るといたという感じです。
ブナ科が枯れる現象はナラ枯れと呼ばれていますが、今現在この影響で太いブナ科がどんどん伐採されていますね。
トガリバシラホシナガタマムシは大木を好む傾向にあると言われているので昨今の情勢は追い風と言えそうですね。
土場の構成はクヌギとコナラがほとんどでスギヒノキが10%ほど混じるレベルでした。
見られた昆虫としてはキイロトラカミキリ、クビアカトラカミキリ、ナガゴマフカミキリ、ニジゴミムシダマシやキマワリの仲間などが見られるなど特にこれといった傾向は見られません。
クロホシの採集と同じようにクビアカトラが来る木というのはタマムシが来ているように感じますね。
該当地区では変わらずナラ枯れがひどいようなのですが、土場のようにまとまった枯れ木が積み上げられるかは不明です。
こうなるとその地区の立ち枯れに張り付いて飛来するかどうか確認する必要があり、かなり大変です。
当時の天候が曇りであったことを考慮すれば晴れの日には相当のトガリバシラホシナガタマムシがいてもおかしくないのかなという感覚はあります。
神奈川では少ないと言われていたクロホシタマムシは数年によるナラ枯れの影響か2024年には定点観測値で午前中に10匹ほどと過去最高数を確認できましたし、2年前に記録の出たサトウナガタマムシも珍しいものではなくなっています。
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なのでもともとこの地にいてナラ枯れ被害木で増えるのであれば個体数は増えていると考えられます。
絶滅寸前であったアカアシオオアオカミキリ(クヌギの大木利用)はこの種に近い生態なのかなと指摘には考えていました。
アカアシオオアオカミキリが大繁殖して今では神奈川南部まで拡散したことを考慮すると、トガリバシラホシナガタマムシも多いのではないでしょうか?
いずれにせよ神奈川の緑が多いところでこうした希少種が発見できるのはいいことですね。
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