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紫色のタマムシ?ムツボシタマムシとケヤキナガタマムシやクロホシタマムシ採集記 in神奈川 

6月、タマムシが激熱!

今回紹介するムツボシタマムシ。金色の点が美しい美麗昆虫。

6月になると春先から出る種とおおよそ5~6月頃から出る遅めのナガタマムシ類の両方がそろい始め、タマムシ採集がとても楽しくなってきます。

今回は立ち枯れにやってくるムツボシタマムシという紫がかった美麗タマムシをお目当てにしつつクロホシや各種ナガタマムシを狙っていきたいと思います。

今回はムツボシタマムシを中心とした採集記です。




立ち枯れ採集

昨年末から温めていたポイント。これぞという感じの立ち枯れ。

狙いのムツボシタマムシは私的な観察の範囲では衰弱木というよりは枯れた木(枯れた直後でまだ鮮度がある)に飛来してくるタマムシという印象です。

この程度は人の感覚では分かりにくいものですが、虫たちは明確にそれらを見分けているようです。

大きさはこれくらい。遠目の立ち枯れでも意外と分かる。

ムツボシタマムシはクヌギやコナラ、クリなどを始め広範囲の枯れ木に飛来することが知られています。

このことからクヌギやコナラ立ち枯れに飛来するのを狙っていくのが分かりやすく遭遇しやすいです。
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以前の記事では5月上旬にてクロホシタマムシやサトウナガタマムシを狙いましたが、時期を1月ほど遅らせるとムツボシタマムシが狙えるようになってきます。

枯れ木に日差しが十分に当たる時間帯に行ってみるのが重要ですね。

ムツボシタマムシ採集へGO

ムツボシタマムシは体長1.5㎝もない程度の大きさですがタマムシとしては大きい方です。

およそ1cmと考えると良い

最初の一匹を見たことがない人は想像するタマムシよりもだいぶ小さいことに驚くはずですね。

加えてこのムツボシタマムシですが、幹に張り付いているときの動きがとても素早く、木についているモリチャバネゴキブリのようにしか見えません。

樹皮に張り付いているカサカサした平べったい虫を探していきます。

枯れ木についているタマムシたち

まずは現地でよさげなポイントを開拓する必要があります。

とりあえず関東圏ではナラ枯れがまだ発生していて立ち枯れが多いのでそれを目安によさげな枯れ木を狙っていくことにします。

私自身は昨年よりタマムシ科をそこそこ熱心に観察していたため、その下見情報をもとに今回のポイントへ来ました。

こんな高さから木の一部も見下ろせるため、虫の飛来がわかりやすい!

現地は下見の通り雑木林に隣接した橋であり、これにより見上げることなく立ち枯れコナラを観察することができる絶好のタマムシポイントとなっていました。

周辺の下草も数分に1度掬っていく。タマムシが入るはず。

昨年のシラホシナガタマムシの伐採木採集での経験から、立ち枯れを中心に下草などにもタマムシ類はよく飛来することが分かっています。

そのため低木も頻繁に掬っていきます。

上から立ち枯れを見下ろせるのは首の負担もそうですが、下から飛んでくるタマムシ類もよく見られるため絶景ですね。

木々には早速怪しい動きをするゴキブリ様の虫を見つけました。

この色と速度はムツボシタマムシ!

こういう細枝についている虫はビーティングの要領で枝を叩いてあげると網に入ることがあります。

開始早々ムツボシタマムシを採取できました。網の中でもまるでハエのように活発に素早く動き回っています。

米粒のような小ささ。しかし日に照らすと渋い光沢が!

これはこの後も期待が持てそうです。

時間はちょうど正午前後で日差しもいい当たりです。

タマムシ類は下から見上げるとシルエットしか見えませんが、上から見ていると光沢までもはっきりとわかるため結構飛来していることが分かります。

サトウナガタマムシ。白点と翅の先端が尖るなど特徴がわかりやすい。

大型のシルエットはクロナガタマムシが多いです。しかし中にはサトウナガタマムシが混じっていました。

この種は神奈川では報告されたばかりなのですが、昔からいたかのように入ってきますね。

お!中腹の枯れ枝に丸みのあるシルエットが飛来しました。

小さいながらも強い緑の光沢で分かりやすい。

クロホシタマムシのようですね。記念に写真をと見ていると、ムツボシタマムシが同じ画角にいることに気が付きました。ムツボシとクロホシのツーショット!

タマムシ好き至福の瞬間です。

クロホシの光沢はヤマトよりも好きです。

ビーティングの要領で叩いてクロホシタマムシ。

見かけるとついつい取りたくなってしまうとてもいい虫です。最近すっかり虜になってしまいました。まだオレンジ感が強いので成虫になりたてでしょうかね。

下草も掬っていきましょう。ここでは謎のナガタマムシが入りました。アサギナガタマムシ程度のサイズ感で太陽に照らすと金色味があります。

展足しないと詳細は分かりませんが、ロニノナガタマムシかミドリツヤナガタマムシではないかと推測しておきます。(ウグイスかも...)

また、サトウナガタマムシを一回り小さくして細くしたようなナガタマムシが入りました。これは何ものでしょうかね。(サトウの小型と予測)

クロナガにしてはやや小さい。このサイズ感は!

ふと緑ネットを見れば大型ナガタマムシのシルエットが! クロナガクロナガと思っていると胸が赤いではありませんか。

ムネアカか?と思いつつ翅の先端を見ると尖っています。これはケヤキナガタマムシですね!

ケヤキナガタマムシ。スウィーピングではなかなか取れず、過去の事例ではいずれも伐採木に飛来。

ケヤキを掬ってもなかなか入らないことから伐採木飛来の傾向が強いのかと考えていましたがもしかして付近にある枝はケヤキなのでしょうかね?

そんなこんなで飛翔するナガタマを吹き上げのように採取して、時折枯れ枝を叩いて色々なタマムシを採取できました。

ムツボシタマムシを昨年初めて探したときはそれは苦労させられたものですが、タマムシ経験が少し積みあがった今は比較的見つけやすいいい虫ですね。

1時間ほど枯れ木周辺をルッキングして4匹。取りすぎないよう気をつける。

4匹ほど捕まえて目視は倍くらい見つけました。

1時間ほどでこれほどたくさんのタマムシに遭遇できるとは思わず満足感が高いですね。

ではムツボシタマムシの紹介です。


ムツボシタマムシとは?

ムツボシタマムシは全国の山野に幅広く生息する広食性のタマムシです。

一見地味なタマムシに見える。いぶし銀なタマムシ。

色味は茶色をベースに紫色の光沢があります。
翅には6つの金色の点があり、これが名前の由来ともなっています。

体に対して結構大きい丸模様が6つある

タマムシの多くが特定樹種や特定カテゴリーの植物を利用します。(エノキのシラホシナガタマムシなど)

一方でムツボシタマムシは色々な枯れ木を利用することが知られており、有名なものとしてはクリが挙げられます。

webなどで情報収集してもクリの記述はかなり多い。

その他広葉樹の枯れ木ならば様々来るようでコナラやクヌギの観察機会が私的に多いことからこれらでよく目にします。

ムツボシタマムシは幼虫が枯れ木に穿孔します。また、成虫は樹皮食いであることが分かっています。

両方の生活において枯れ木を利用するというのは珍しい生態ですね。

ちっちゃいけれどもそれが可愛いとも言える。

体長は大人の爪位です。
出現期は5~8月頃とされます。今回の採集記では6月上旬ですが、個体数はかなり多いように感じました。

比較的鮮度の良い枯れ木もしくは枯れ木に近い衰弱具合の樹木を見つけたら、飛来しているかもしれません。

タマムシの魅力が詰まったいい虫なのでぜひ探してみてください。

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