平地の身近なシロオビナカボソタマムシ
タマムシハンドブックによりタマムシがとても身近に観察できる時代が訪れてワクワクですね。
今回はナガタマムシやチビタマムシよりも大きく、普通種でありながらナカボソタマムシであるシロオビナカボソタマムシを紹介します。
食草はバラ科で私自身2年ほどふとした時に見ていたのですが、ようやく遭遇出来ました。タマムシの魅力が詰まったとてもいい虫です。
シロオビナカボソタマムシとは?
早口言葉のような難しいタマムシですね。体長は1㎝程でバラ科のイチゴの仲間につくことが知られています。
今回の観察個体はクマイチゴと思われるキイチゴの仲間についていました。
発見区域ではモミジイチゴ、クサイチゴ、ナワシロイチゴ、ニガイチゴ、エビガライチゴなど様々なイチゴがありますがついていたのがクマイチゴだけであったことから選択性が強いのかもしれません。
平地の普通種でありタマムシハンドブックで見ても難易度はかなり低い種類のはずなのですが、もしかすると局所的な種なのかもしれません。
ナカボソタマムシの名の通り腹のあたりが部分的に窪んでいます。
ムネアカチビナカボソタマムシと並んで平地でも遭遇することができますが、より大型種であるため見ごたえ抜群のタマムシです。
出現期は4月の下旬頃~夏の終わりごろまでと幅広いです。
シロオビナカボソタマムシの環境
一般的にタマムシの仲間は日当たりのよい場所を好む傾向が見られます。
枯れ木性のナガタマムシ類は日当たりのよい枯れ木に飛来しますし、スウィーピングでは高所の枝先の日当たりがいい部分を掬います。
このタマムシは食草が低木であり、どちらかというと林縁環境に生える傾向が強いことから日当たり関係なくついている様子が見られました。
参考までに紹介すると今回の写真のほとんどは日陰の写真です。
このタマムシの観察経験は今回が初めてなため、あくまで今回の観察を基にすると日向を避ける傾向があるように感じましたね。
性質としては日向のものは他のタマムシ同様かなり敏感です。m単位の距離では問題ありませんが30㎝くらいの距離からは近づこうとすると落下するか飛ばれてしまうケースがかなり多かったです
これを逆手に取り上からはたくようにしてやるとジップロックなどでも簡単に取ることができました。
出現環境はやはりイチゴ類に依存する都合上林縁でしたね。
周囲にあるクサイチゴやモミジイチゴには食痕もありませんでしたが、クマイチゴと思われるキイチゴにだけはハッキリと食痕も残されていました。
食痕はこのような感じで他のタマムシ同様淵から掘り進むように食べていく傾向があるようです。
シロオビナカボソタマムシの観察
このタマムシは日向と日陰で随分と印象が変わるタマムシです。
日向にいる個体は名の通り白い帯を持っており、色としては黒字が目立ちます。
一方で日陰にいるとムラサキを帯びたような色合いに金色ととてもゴージャスに見えます。
初見は日陰の個体だったのでこれシロオビか?と疑問に思ってしまうほどでした。
食痕はチビタマムシのようなギザギザの強いものではなく、幼虫の食べ方を連想する円月型のもののようです。
あればわかりやすそうですね。
フォルムはナガタマムシのものと明らかに異なっています。ムネアカチビナカボソタマムシよりもサイズが大きいため、葉についていれば明らかにわかりました。
難点は身近な種でありながらたくさんいる感じではないという点でしょうか?
一生懸命とは言いませんがバラ科があれば見ているぐらいには探していたのですが、2年ほどかかっての遭遇となりました。
タマムシハンドブックでも普通レベルの遭遇難易度と記されていますが、自身の観察地域や季節ごとの捜索対象などによって難易度は変わってくるのかもしれません。
とはいえようやく大型ナカボソタマムシに遭遇出来て嬉しいものでした。
美麗種とされるミヤマナカボソタマムシや希少種のサビナカボソタマムシなど、記録の薄いような種類を狙っていきたいものですね。
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