いる所にはたくさんいるタマムシ
タマムシハンドブックの発売によって各種タマムシを非常に見つけやすくなり、タマムシ探しライフがはかどりますね。
今回は珍品ではないけれどもついついいないか見てしまうムネアカチビナカボソタマムシという素敵な虫を紹介します。
ムネアカチビナカボソタマムシとは
ムネアカチビナカボソタマムシはナカボソタマムシの仲間としては非常に小型のタマムシです。
ナカボソタマムシの仲間には体の中心にかけてくびれが見られる美しい特徴があります。
このタマムシも小型でありながらしっかりとくびれが見られます。
ムネアカチビナカボソタマムシは体長僅か3~4㎜程の極小のタマムシです。
付く樹木はアカメガシワで、主に葉に見られます。
アカメガシワは花期である6月頃になるとそのお花にいろいろな虫がやってきますが、葉を利用する虫というのは珍しいです。
この樹木を利用する虫でぱっと思いつくのはトラフホソバネカミキリくらいでしょうか。
付く虫は少ないですが、いい虫が付きますね。
このタマムシはアカメガシワの蜜を利用しているらしく、葉の付け根にある蜜腺にて頻繁に観察されます。
アカメガシワの好き嫌いがあるのか、好みの木には随分つきますが、お隣の木にはいなかったりします。
タマムシ科らしく何かと条件にはうるさいようです。
ナカボソタマムシの仲間としては、バラ科につくシロオビナカボソタマムシと並んで身近なタマムシなのではないかと思います。
ムネアカチビナカボソタマムシを探してみよう
タマムシの仲間であるため、食草の理解が必要です。
幸運にも食草のアカメガシワは赤芽の名の通り非常に赤みが強い葉であるため、見分けるのはとても簡単です。
アカメガシワは沢沿いや日当たりのいい環境など様々な場所で優占しています。
これは彼らがパイオニア植物であり、森林や雑木林などの密集地に人の手が入ったり、火事などで開けた場合にまず先に侵入する植物であるためです。
つまり人為的に切り開かれた場所やその名残があるような環境(雑木林のギャップ)、定期的に攪乱が入るような場所(沢や河川敷)でよく見られます。
その他は道路わきなども過去に攪乱が入った場所なので見かける機会が多いですね。
しかしパイオニア植物はタラノキに代表されるようにまずその地を占領するため、成長速度が非常に速いです。
葉をしっかりと見られるような都合のいい場所に生えている場合は少ないため、可能な限り長い網を使うのがおすすめです。
タマムシ採集では長い網がどうしても必要ですね。
アカメガシワを見つけたら
小さいタマムシは想像以上に機敏に動きます。
橋の上からアカメガシワにアクセスできる場所でこのタマムシを観察していると、特に日当たりがいいタイミングでは網の気配を敏感に察知して飛び去ってしまう行動が見られました。
ナガタマムシなどでも見られる行動なのですが、どこを掬おうか迷っているとどんどん逃げてしまいます。
また、ビーティングの要領で葉を揺らして落とすのもおすすめしません。
スウィーピングでしっかりと葉先を覆って飛ばさないようにして挙げた方がよく捕まりました。
ムネアカチビナカボソタマムシを観察
図鑑では見られない細部をじっくり観察して楽しみましょう。
捕まえればわかりますが本当に小さなタマムシです。チビタマムシに負けないサイズ感です。
色については個体差が激しいらしく、上部が金色っぽいものから赤みを帯びるものまで色々いるようです。
なんといってもナカボソ感がいいですよね。
私の地域では普通種のシロオビナカボソタマムシがなぜか全然見つからず、このタマムシが最も身近なナカボソタマムシとなっています。
今年こそは大型のナカボソタマムシを捕まえてじっくりと眺めたいものですが、どうでしょうかね。
そんな大型種への期待感を感じさせてくれるのがムネアカチビナカボソタマムシですね。
植物も分かりやすく、タマムシとしては小さいもののそこまで簡単にも捕まらないので微力な達成感も味わえるいいタマムシだと思います。
出現は9月末頃まで続くので、タマムシ好きや興味ある方は探してみてください。
タマムシ採集おすすめアイテム
言うまでもない必須アイテムです。側隆線を初めとする同定ポイントや実際の大きさ、何より眺めているだけでも楽しい素晴らしい1冊です。タマムシ採集で役に立つ長竿網に利用する玉の柄は必須アイテムです。これ1本で採集の幅が大きく広がりますよ。タマムシ関連記事
pljbnature.com
pljbnature.com
過去のタマムシ科探しも紹介しておきます。
pljbnature.com