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カラスアゲハなどアゲハチョウの集団吸水! 発見のコツは湧き水にあり!

初夏~真夏にかけてアゲハの給水が熱い!

まさに初夏のオアシス。水辺で涼しいのに見た目的にも軽やかで涼しげ。

日が温かくなり人間も熱中症対策のために水分摂取が欠かせない日々となりました。

昆虫にも水分摂取の行動があることはよく知られており、吸水行動として特にアゲハチョウの仲間が知られています。

今回はアゲハチョウを例にとり憧れのカラスアゲハなどの集団吸水に遭遇するための情報をお届けします。

アゲハと集団吸水

こちらは先日遭遇したアゲハ類の集団吸水です。

こんな大群には初めて遭遇したのでワクワクだった

カラスアゲハを中心に数種のアゲハが入り混じっており、夢のような空間でした。次々にアゲハが飛来してきて蝶好きには至福の時間でしたね。

こういう体験をぜひ皆様にもして欲しいので、集団吸水を発見するためのポイントを紹介してみます。

残念ながらミヤカラは目視だけなので代用としてカラスアゲハ

アゲハチョウの集団吸水行動としては、チョウ界隈でも人気が高いミヤマカラスアゲハという蝶のものがとくに有名です。

春型は宝石のように美しく、昆虫好きとしてはぜひとも観察したい一品なのですが、特に都市部においては山地でもそう多いものではありません。


では集団吸水は見られないのかというとそんなこともありません。

現地に数回足を運んだところ、来る種には傾向があるらしい。

アゲハチョウの仲間には頻繁に吸水に訪れる種類がおり、山地から平地にかけて彼らの好む水が分かれば吸水に出会うことも可能だと思われます。

種類としては私的な観察によればクロアゲハ、カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハ、アオスジアゲハ、ナミアゲハ、モンキアゲハを確認しています。

いろいろな種類のアゲハチョウ。種類がわかりますか?

このラインナップを見るに恐らく全てのアゲハが来るのではないかと推測できます。(吸水か微妙ですがウスバシロチョウも来ました)

アゲハチョウには同種を判別する能力がある?らしく、黒いアゲハが水辺にたむろしていると次々と飛来してくる様子が見てとれます。

ミヤマカラスアゲハのトラップとして見つけた翅の死骸を置いておくとやってくるなどのものがあります。

カラスアゲハの発生初期だからなのか、山地の優占種なのか特に多い。

効果の実態は不明ですがカラスアゲハの割合が多い吸水集団にはカラスアゲハが飛んできやすいと感じますし、アオスジアゲハが多いと飛来するものもアオスジが多いように感じます。

私の観察地は山地であるため、カラスアゲハの割合が多くなるのですが、集団吸水の観察には山地の方が圧倒的に優れていると思います。
集団吸水を観察するにあたり意識したポイントは以下です。

1,集団を形成するカラスやミヤマカラスなどの割合が多い
2,吸水で求められるミネラル分の多い湧き水が多い
3,人気が少ない
4,天候
5,シーズン初期を狙う

集団を形成するカラスやミヤマカラスの割合が多い

とても目に付くカラスアゲハ。キラキラしている。

前述の通りアゲハチョウの集団吸水行動は仲間を目印にして集まっている可能性があります。

あくまで仮説ですが、飛翔しているアゲハが吸水している仲間を発見して、安全に吸水できる水辺だと判断している可能性はあり得ます。


特に集団の中心となりやすいカラスアゲハの分布が山地よりに多いことを考慮すると、山際の方が集団を発見しやすいと言えますね。

6割位がカラスアゲハという印象であった。多い種を中心に発生時期を選ぶのは効果がありそう。

私自身はアゲハの集団吸水行動を数えられる程度しか見ていません。話に聞く場合も含めてその多くが山間部に集中しています。

平地には庭木のミカン利用するナミアゲハやクロアゲハなどそもそもの母体数が少ないことから、多摩丘陵のような湧き水地帯でも集団吸水を見かける機会が少ないのではないかと推測しています。

吸水で求められるミネラル分の多い湧き水が多い

アゲハチョウは水を飲みに来ていますが、ただただ水分補給しているだけではありません。

断崖のコンクリ沿いに水が湧き出していた。山の保水機能から湧水を探すスキルが有れば、給水ポイントがピンとくるかも。

真夏に水だけでなく塩分や電解質が必要なように、蝶も微量なミネラルなどを求めてきていると思われます。

例として人工的な水辺を想像してみましょう。

水道水を貯めたプールや水道から放水した水を眺めていると、ハチやアブ、一部の蝶などは訪れます。

しかしその割合はかなり少なく、私の観察例ではナミアゲハやアオスジアゲハがごくまれに飛来する程度でとても集団の形成には至りません。

サワガニやうなぎ、ホタルなど湧水利用種がいる可能性も高い

一方で高低差の大きい場所から湧き出てくる水(湧水)は知られずにひっそりとポイントが形成されていることが多く、こうした場所に蝶たちもひっそりと来ています。

これらは降った雨が木の根を通じて地面に吸収され、土中の養分や岩石に含まれるミネラルが溶けて湧き出してきます。

例えばアルプスの天然水などのミネラルウォーターの成分表示を見てみればカルシウムやマグネシウムなどの微量元素が溶けていることが分かるはずです。

蝶たちはそれらの成分もお目当てにしてきているんですね。

ハリガネムシのように水面に反射する光などを感知しているのだろうか?

この成分を飛翔している蝶がどのように感じ取っているのかは不明なのですが、湧き水やそれらが流れ込む上流の沢に集団吸水箇所が多いことは明らかです。

なのでよさげな場所をあぶりだすためには高低差のある土地を狙ってみるのがおすすめです。グーグルアースの出番ですね。
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なかなか意識されることのない山の保水機能とそれらを利用するきれいな水を好む生物の発見方法です。
湧水は我々日本人とも馴染み深いものでありましたが、近年は軽視されているように感じます。

人気が少ない

集団吸水している蝶はとても敏感です。少し近づいていくだけでも舞い上がるように飛びあがってしまい、網を振ろうものなら散ってしまいます。

私の接近で一気に飛び回るアゲハたち。背を低くして這うように移動するのがコツ。

これはつまり人がたびたび歩いて来たり車が通るような場所では集団の形成が成されないということです。

過去の例を取っていくとどれも裏道や川沿いの人が入らない場所、車が入れないような場所ばかりです。
集団吸水の発見には人気を避けていきましょう。

天候

上記の条件がそろった場所にて集団吸水に遭遇しました。川沿いのひと気が無く、高低差があり湧き水が出ている場所です。

水辺も日差しがさしていないと来ていなかった。森の中の湧水ポイントなどではだめかも。

この条件で天候が晴れであればカラスアゲハを始めとする集団吸水の遭遇出来ました。

一方で曇りの日に訪れてみると何もいませんでした。

人間が暑い日に水分を求めるようにアゲハチョウも天気によって吸水の必要性が変わるようです。

また、午前の早い時間よりは正午に近い時間の方が個体数が増えてきます。
これも当然日中の気温によるものだと思われますね。

左は8時台、右は10時台の同地点。明らかに飛来数が違う。

例として朝8時過ぎ程度の時間では3匹ほどであったアゲハ蝶たちは、10時を過ぎると10匹以上になっており、午後になるとここからもう少し増えていました。

観察には10時以降ぐらいの暑さが良いのかもしれません。一方で日の移動による日差しポイントの変化には注意が必要です。

シーズン初期を狙う

私自身集団吸水を探した経験が浅いものですから語る程ではないのですが、集団吸水を探すにあたり個体が多い発生初期に探してみたのです。

前述の通り集団の6割ほどがカラスアゲハ。つまりカラスが出ていないと数は3~4割程度に減るはず。

これがいい方に当たったと感じています。

しかしナミアゲハやキアゲハ、クロアゲハなどは4月の上旬ごろには春の第一化が始まっています。

そこで対象をカラスアゲハに絞ったのです。

カラスアゲハは年2化であるため、春の5月頃と夏の具体的には不明な時期に出てきます。

とはいえ来ているアゲハ類はどの種も新鮮である場合が多い。新成虫が来やすいなどもありそう。

山地で探す以上吸水を形成する核となるのはカラスアゲハであると判断したため、カラスアゲハの発生初期、つまり一番個体数が多いタイミングを狙ってみました。

これはつまりもう少し早い時期に行けば黄色アゲハの集団吸水や早期発生のミヤマカラスなどにも出会えたかもしれません。


うーん夢が膨らみますね。いずれにしてもミヤマカラスを捕獲したいのでこのポイントは粘ってみようと思います。


集団吸水を見るために意識した点を紹介しました。

カラスアゲハでも十分集団吸水の観察としては満喫できた。

アゲハチョウの集団吸水は人の水分補給にかなり近いものが見られます。

ミヤマカラスアゲハのものがあまりにも有名ですが、春型のカラスアゲハの集団吸水も時間を忘れてしまうほど魅力的なものであるため、ぜひ興味のある方はポイントを探してみてほしいですね。

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