夏、アブが怖い!
真夏の怖い虫といえばハチが上がりますよね。
身近故に見る機会も多く、死傷事故など怖い話も多いものです。
しかし一度体験したならばアブの恐怖は自然界でもかなり上位のものです。
樹液などで目にするスズメバチと違い、血を求めて人に向かってくるアブのどう猛さは震えあがります。
しかし同じアブでも刺すアブと刺さないアブがいるようです。いったいなぜなのでしょうか?
アブとは?
アブはハエ目アブ科に所属する昆虫の仲間です。
似た仲間には花粉を食べるハナアブの仲間や便所ハエなどでおなじみのミズアブの仲間などがいます。
それらとは吸血をすると言う大きな違いがあります。
アブと聞くと汚い印象を受けるかもしれませんが、むしろ逆できれいな水にしか生息していません。
非常に綺麗な水に生息するために指標生物として用いられることがあるくらいです。
平地では馴染みのない虫であるがゆえに山地の上流部に夏キャンプや渓流釣り、涼みに行くことで大量のアブにまとわりつかれて悲惨な思いをするのは比較的起こりうる話です。
冗談抜きで渓流や沢のアブは夏のトラウマであり、車にまとわりつく何十ものアブに恐怖する経験は多くのアウトドア愛好者が経験することでしょう。
形態的なところを見ていくとアブとハチは非常に似た昆虫なのですが、アブには針がありません。
また、口も大きく異なっており、大あごを持つハチと針のように鋭いアブ(普段は露出していない)と違いがあります。
体の構造でいうとハチは4枚の翅をもちますが、ハエの仲間であるアブには2枚の翅しかありません。
しかし野外でアブに遭遇してこの違いを見抜くのは難しく、スズメバチ擬態のアカウシアブなどはスズメバチだと間違われて恐れられている場合がかなり多いです。
発生期は6~8月ほどで7~8月辺りにピークを迎えることが多いようです。
血を吸うアブと吸わないアブ
同じアブの仲間でも血を吸う吸わないものがいます。
この違いは何に由来するかというと蚊などのものが近いですね。
産卵のためのたんぱく質などの栄養を求める♀は栄養源として血液を求めて哺乳動物に攻撃を仕掛けます。
そのため、人にまとわりついて恐ろしいアブは♀ということになります。
♂アブと♀アブの違いは見比べてみれば一目瞭然です。(襲われているときにそんな余裕はない)
例としてこちらのウシアブと思われるアブを見てみましょう。
違いが分かりましたか?
複眼を見てみると♂の複眼は非常に大きく、隙間がほとんどない程度に隣接しています。一方で♀は複眼の間が広いですよね。
アブの仲間はこのめちゃくちゃに大きい複眼がチャームポイントです。
じっくり見る機会や余裕が無いので気持ち悪い虫としか見られていませんが、ゆっくり見れればなかなかに魅力ある虫と言えます。
このウシアブ型のアブにはヤマトアブというそっくりさんがいるのですが、複眼が緑身を帯びるという点からウシアブとしています。綺麗ですよね。
吸血性アブの餌は血!?
吸血性のアブは血を食事としている。
そういう風にとらえられてしまうのも無理はありません。それほど彼らの集団でのまとわりつきは印象に残ります。
しかしそれは産卵前の僅かなタイミングだけで普段は樹液などを舐めに来ています。
樹液のアブはとても臆病で、人や大型の虫が来るとすぐに逃げてしまいます。
ここではウシアブの♂♀ともに樹液に来ていましたが、♀も人に反応する様子は見られません。
昆虫には性成熟というものがあり、餌資源を食べていく中で繁殖できる状態に成長していきます。
この地域ではおよそお盆頃になるとウシアブが人にまとわりつくようになります。
しかしアブたちはどうやって人を探知しているのでしょうか?
アブの動物探知とアブをあぶり出す方法
吸血性の生き物は蚊やヤマビルのように二酸化炭素を検知したり振動を検知したり、体温を感知して動物の存在も見つけています。
アブの仲間も同様で二酸化炭素や温度を基に動物かどうかを判断しているようなんですね。
皆同様のセンサーを持つことから渓流などでは数十のアブと対処したり、逃げようにも車まで同行されてしまう場合も多々あるはずです。
被害を避けようにも自身でアブがいるかどうか試すのはリスクが高いです。
そこでおすすめなのが車で待機することです。
前述の通りアブは体温と二酸化炭素を感知してやってきます。
車の外装は太陽光で照らされてアツアツ、排気ガスに含まれる二酸化炭素でアブをヨセヨセ。
これにより排気ガスが流れるとともにアブを寄せることができます。
車は疑似的な動物としてアブの目に映っているんですね。
なので渓流や山地の沢など進んで車内待機することでその場所のアブ密度を調べることができます。
登山などでは使えませんが、川沿いや上流部ではアブの個体数を判断するのにとても役に立つ方法なのでぜひ参考にしてください。
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