青色のカミキリ?ルリボシカミキリが身近に!?
およそ5月頃から草の上で青いカミキリムシが目につき始めます。
青色といえばカマキリ先生も大好きであったルリボシカミキリを知っている方も多いと思います。
しかし草の上?と疑問に思えばそのカミキリは外来種のラミーカミキリというカミキリムシです。
今回の記事では青、白、黒と特徴的な色合いを持ちかつ小さいラミーカミキリと草を利用するカミキリを紹介します。
ラミーカミキリとは
ラミーカミキリはおよそ5~7月頃まで目にする体長2㎝程の小型カミキリです。
特筆すべきはその体色であり、水色をベースに白や黒といった派手な色合いをしています。
この特徴からとても人気が高いルリボシカミキリと勘違いされているカミキリでもあります。
ラミーカミキリは鮮やかな水色をしており、ルリボシは濃い水色を水玉模様と覚えておきましょう。
食草はカラムシを始めとするイラクサ科の嗜好性が高く、主に目にするのはカラムシ、ナンバンカラムシです。
この植物が開けた日当たりのよい環境を好むことからラミーカミキリの出現も開けた日当たりのいい環境になります。
とても臆病なカミキリであり普段は葉の上にいることが多いのですが、人などの天敵の気配を感じ取るとササっと葉の裏に隠れてしまいます。非常にかわいい。
ラミーカミキリに毒性はある?
派手な色合いをした虫で気になるのはその毒性ですよね。ラミーカミキリには毒性はありません。
しかしこうした青系の虫の中には毒をもつものや強力なあごをもつものなどもいるため、派手な色の虫はいったん警戒しておきましょう。
また、カミキリで気になるのは顎の強さだと思います。
草を食べるラミーカミキリは顎はやや強いです。ジップロックなどには穴を空けられる程度にはパワーがあります。(脱出経験あり)
大人の手は傷つけられませんが子供の手ではちょっと痛いくらいの力があるかもしれません。
カラムシとは
ラミーカミキリを探していくうえで大変なのは、この虫がつくカラムシという葉を見分けることになると思います。
カラムシは植物に慣れている人には簡単に見分けがつくのですが、初心者にとっては違いが分かりにくいです。
この植物は開けた環境の縁に生えていることが多いです。
人工物沿いや南向きの斜面、雑木林と歩道の境目などなど自然環境が大きく変わる場所(ギャップ)に見つかることが多いですね。
葉の感じは厚みを増したシソっぽく、触るとかなりふさふさしています。
カラムシはかつてはその繊維を利用して紙にされていたと聞きます。
それを裏付ける繊維感が強いんですね。触れてみれば和紙のようなちょっと高級さを感じさせる質感をしています。
また、5月頃になると背丈も高いです。
カラムシ自身は70㎝程度まで伸びる大型の植物です。
その頃には葉の大きさも手のひらほどになっており、地上から生える植物の中では群を抜いて大きいと思われます。
文字と写真情報では伝わりにくいかもしれませんが、1度見つけてしまえば結構わかるはずです。
確実なのは環境から探してラミーがついている植物を見つければいいですね。
カミキリの餌資源と顎の関係
ラミーカミキリは顎が強めという話をしました。
以前紹介した赤色のカミキリ、ベニカミキリはサイズ的には同じ程度なのですがラミーの方が強いのはなぜでしょう?
前提としてカミキリの顎の力はサイズが大きいほど上がりますし、本人の気性にもよります。
餌資源はベニが花粉、ラミーは草ですね。花粉食いや蜜食いのカミキリは顎が前についている場合が多いです。
一方で草や樹皮食いの場合には下向きであることが多いです。
つまり食べるものに応じて顎も種により違うというものですね。まああくまで傾向なので必ず当てはまるわけではありませんが。
樹液食いの種類としてウスバカミキリやアカアシオオアオカミキリ、花粉食いのベニカミキリやヘリグロベニ、樹皮や草食いとしてヨコヤマヒゲナガカミキリやラミーカミキリ。
ラミーカミキリは葉の中で血管ともいえる葉脈を食べるのが好きなカミキリです。
葉裏を見て筋状の跡が残っていれば姿はなくとも利用している可能性が考えられます。
草を食べるカミキリは樹皮を好むものもいれば葉を食べるもの、葉脈を食べるものなどここにも種の違いが見られます。
愛嬌があるカミキリ?
ラミーカミキリはとても愛嬌があるカミキリです。(もはや私的な好み)
カミキリムシの仲間の中でもフトカミキリムシ亜科に所属するカミキリの仲間はつぶらな瞳をしています。
正直そのままぬいぐるみとして出してほしいぐらいにはまんまの姿で可愛らしいです。
特にラミーカミキリは小型であることから臆病であることはすでに述べました。
フトカミキリの仲間には身近に目にするものとしてゴマダラカミキリなど大型のものが多いです。
それゆえ大型種のものは怖い印象の方が勝ってしまう方も多いと思います。
ラミーは小型のフトカミキリとしてはかなり身近な種類で、すぐ落下するなど臆病な性格と相まってお子様が虫に愛着を持つ対象としてとてもおすすめできます。
彼らは葉を突いたりするとびっくりして落ちて逃げてしまうのですが、こうした特徴の観察はクワガタ採集などにも生きてきます。
甲虫の多くは飛ぶのが下手であるため、飛んで逃げるよりも自重を生かして落下することで下草の中に逃げる行動を取るものが多いです。
こうした虫の生態を理解することはあらゆる昆虫採集への応用として繋がってきます。
ラミーカミキリを捕まえるなら
ラミーを捕まえるコツは餌のカラムシの理解と出現期の理解、後は前述の落下する性質を逆手に取ること。この3点です。
カラムシは前述の通り開けたギャップに出現しますので、そういった場所に5~6月頃訪れてみてください。
葉の表をよく観察しラミーが乗っていないか探し、いなくても葉の裏などを見ていくことで葉脈がくすんだようになっている食痕を見つけられるかもしれません。
そうした痕跡を基にいる場所なのかいない場所なのかを判断すれば取れたようなものです。
もしラミーがいたならば一度近づいて隠れさせましょう。
そして網を葉の下から近づけて、葉を上から手でたたいてあげれば網の中に入ってくるはずです。
刺激を与えて網に落とす。これはラミーに限らずあらゆる甲虫で使えるテクニックなのでぜひ覚えておいてください。
青色のカミキリを例にカミキリムシのいろいろな側面を紹介しました。
外来種ではありますが今は身近な昆虫としてその色合いから人気もあるカミキリムシです。探しやすい虫なのでぜひ捕まえてカミキリの魅力を観察してあげてくださいね。
同時期のカミキリとしてベニカミキリ。毒性のありそうな虫ですが、無毒です。竹を利用する意外な生態を紹介。
カミキリムシの仲間を捕まえたいならば、基礎部分をしっかり理解しましょう。春からシーズンが始まっています。
昆虫採集には口径の大きい網がおすすめです。