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高尾山ヨコヤマヒゲナガカミキリ採集記2 8月下旬のヨコヤマ外灯周り採集。

高尾の難関種、ヨコヤマヒゲナガカミキリ

ヨコヤマヒゲナガカミキリ(以下ヨコヤマ)は7月下旬頃から見られ始め、9月中旬の比較的遅くまで観察できるカミキリムシです。

高尾山は食草のイヌブナが多いことから有名産地とされており、webや現地で話を聞いて取れている人もチラホラいます。

しかしなぜか取れません! 

今回はイヌブナルッキングをしていた前回と異なり、高尾の外灯にやってきた個体を採集するという外灯採集の記録となります。
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(前回はこちら)

外灯でヨコヤマ採集するならば?高尾のポイント


ヨコヤマヒゲナガカミキリは深夜帯に活動のピークを迎えるという話が定説としてありますが、高尾現地のカミキリ屋さんや実際に夜間22:15分程度までの活動を計10日間し続けて出会った方々の情報ではピークという感覚は薄そうです。

現地では一晩中高尾山にいるツワモノとの出会いも多数ありましたが、真夜中に取れているという話は聞きませんでした。

日没直後に取れているケースもあれば21~22時頃に取れている方もいるようで、結局はタイミングなのではないかと思いますね。

高尾山の外灯においてはイヌブナに面した外灯にどれだけ貼り付けるかと言うのが成果を上げる上で重要になるのではないかと思われます。
(実際現地ではヨコヤマ目当てに外灯で張り付いている人が見られます。)

外灯のポイントについてはこの8月に入ってからは男坂女坂両方に外灯がつくようになり、ポイントも増えたことから外灯巡回だけでもなかなかに虫を見ることができました。

高尾の外灯はLED化されている物が多いのですが、LEDの波長が違うのか、設置場所のコンディションなのか虫の来やすさには強弱があります。

7月は外灯にはミヤマ目当ての方が多かったのですが、8月に入ると日によってはヨコヤマ目当ての人のほうが多く見られました。

その方々からの情報をまとめると、今季のヨコヤマの記録は男坂に偏っていることに気が付きました。

イヌブナの多く生えた谷に向いている外灯ですね。こちらのエリアでの記録が多かったので、外灯巡回後男坂で待機し飛来を待つということを繰り返していました。

外灯ルッキングの成果


外灯下の地面及び周囲の木々や下草のルッキングをしていきます。

カミキリ類は度々見つかり、その多くはウスバカミキリとノコギリカミキリなどの普通種です。それについで写真のクワカミキリやクロカミキリなどが見られます。

2種の普通種は至るところで見つかり、カミキリを捉えればこの2種類というパターンに悩まされるはずです。

(見飽きたウスバカミキリ)
この2種は幅広い樹種に傷をつけ、樹液を出したり弱らせることで他の衰弱木利用の虫たちに貢献するいい虫たちではあるのですが、ヨコヤマ採集においては厄介な虫です。

度重なる外灯ルッキングの結果、小さな虫や蛾の量はやってくる甲虫などにも関係している事がわかりました。

今季の高尾外灯ポイントにおいて有望であったのは、薬王院手前の茶屋より男坂1つ目のポイントと、4号路分岐点より2つ目の外灯が特に虫引き寄せポイントであることがわかりました。

引き寄せというのはあくまで虫の量の話であり、クワガタがよく来るとかの話ではないのでご注意を。

外灯下で見られた虫たち。

スジコガネの仲間

この仲間は外灯周辺で最もよく見られる虫です。この虫の量は昆虫が見えるLEDなのかの判断に利用できると思います。

実際この虫が多いところではコクワガタやノコギリクワガタを見ることができましたし、ウスバやノコギリカミキリなども飛来してきました。指標ですね。

ウマオイやヤブキリ、コロギス

光に集まる昆虫を捕食するバッタ類もよく集まってきています。飛来することも多く、こちらも虫が集まる外灯の判断に利用できる虫ですね。高尾においてはコロギスもよく見られ、直翅類のマニアにも遭遇したことがあります。

シロスジカミキリ

高尾において非常に少ないカミキリです。食草のカシやシイなどブナ科樹木は豊富にあるのに10回の夜高尾で遭遇できたのは僅か2回だけです。どちらも外灯周辺での発見です。

ビロウドカミキリ

探すと見つからないカミキリですよね。1号路ではない外灯にて遭遇しました。今季2回目の遭遇です。特有の毛並みがとても美しいカミキリムシです。外灯周辺の壁にいました。

ヨコヤマをついに発見?

女坂付近の外灯下草に見慣れないカミキリを発見しました。

ゴマダラと同じサイズ感で、翅には斑模様が散りばめられています。
色は擦れたヨコヤマのような雰囲気をしていたので、ヨコヤマがついに来た!とホクホクで持ち帰りました。

しかし大理石っぽくはあっても擦れてここまで色が落ちるか?と引っかかったので調べた所、センノキカミキリということが発覚し大変ショックを受けました。

ヨコヤマを捕まえたことがない方で、センノキカミキリを見た人の中には勘違いする人が絶対にいる気がします。この光沢感とかヨコヤマのイメージですよね。

計10回の夜高尾の末にようやく捕まえたそれらしいカミキリが違ったこともあり、なかなかに痛いダメージを受けた採集となりました。
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ヨコヤマ編最終回。11度目の正直。