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高尾山クワガタ採集記5 7月下旬~8月上旬にミヤマクワガタが取れない理由はなぜなのか?

夏休み期間の高尾山はどんな感じ?

世の夏休み期間はアクセスの良い場所のカブクワ採集が難しくなります。大自然高尾山のこの時期の状況はどうでしょうか?調査してきました。



環境コンディション


この日のコンディションは満月で風はなく、あまり蒸した感じもありません。満月というのが外灯採集には厳しい条件ですね。

8月の頭になると日没もやや早くなるため、これからもどんどん夜間の活動時間が増えていきます。
18時45分頃から虫が外灯に飛来し始めました。先に結論を述べますが、今回の採集ではミヤマに遭遇できませんでした。
その要因を考察して行こうというのがテーマです。

この季節に外灯に来る虫は?


満月であっても甲虫類は飛んでくることがよく分かりました。

これは高尾山の外灯が開けたところに少なく、閉鎖的な森の中にあるからだと思われます。月が見えないならば虫たちも月ではなく外灯に飛んでくるということです。

しかし飛んでくる大型の虫は7割ほどが写真のウスバカミキリです。

遠目で外灯に飛んでいると分かりませんし、無視するわけにも行きません。また、ウスバカミキリは体長の幅も非常に広く、お目当てのヨコヤマヒゲナガカミキリかもしれないため取らざるを得ません。

外灯付近の幹や低木も見ていきます。現地で出会ったカミキリ屋の方はこうした場所をスウィーピングしており、夜間の外灯スウィーピングという手法が有効なことを教えていただきました。

ルッキングだけでは見落としてしまうような虫や小型の虫が入るのでかなり有効ですね。しかし高尾山のような電線が低いところにある場所では感電するリスクがあるので十分注意しなければなりません。

今回は大型カミキリばかりですが、外灯に飛来するアカアシクワガタやネブトクワガタなどの小型クワガタの場合、枝先スウィーピングをするほうが絶対にいいと思います。

カミキリに次いで多いのがこのコガネムシです。スジコガネとかでしょうか?こいつも遠目に飛んでいると小型のクワガタか?と思うことがあり、厄介でした。満月の夜でも飛んで来ることがわかったのが今回の大きな収穫ですね。

8月上旬のミヤマはまさかの0匹!


ここからは7月中を通して夜の高尾山に通った経験から考察をしていきたいと思います。
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7月頭のここから夜高尾を始めました。

ここでは満月に近いコンディションでありながらミヤマ計5匹に遭遇しています。少ないながらもアカアシにも会い、コクワガタに関しては20とかそのレベルで遭遇しています。
一方今回の8月頭採集では、同じ満月という条件でありながらミヤマは0。

それだけならば私の腕の問題と捉えられますが、他の採集者に話を聞いても下旬以降取れないという話を聞けました。

クワガタは発生初期に特に外灯などの明かりに来やすいとは言われています

であれば発生一月は経つ7月下旬に数が少ないというのは分かります。しかし驚くべきは樹液につくコクワガタの少なさです。今回は5匹くらいしか遭遇できていません。

外灯にやってきたスジクワガタ。今回の貴重なクワガタです。
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7月中旬の記事では樹液外灯共にバランスよくミヤマが取れており計7匹採集しています。今年はミヤマが多いなぁと感じる程でした。
しかし7月下旬の採集ではミヤマは1匹しか捕まえられていません。ミヤマに限らずこの下旬にはクワガタ層全体が衰退しているのを感じました。

この辺りの情報を見てみると考えられそうなものは採集圧と想定するのは簡単です。

しかし町中の公園ならともかく大規模な山である高尾山のわずか1号路の一角での採集が与える影響は僅かなものだと思われます。(資源が多いので採集されても別のところから来る)

この間に大きく変化したなぁと思うものは3週間ほど雨が振らない超高温期間です。

7月頭は今年少なかったものの梅雨の後の水分が豊富で湿度のある雰囲気がありましたが、ここ最近はカラカラの空気感で、1ヶ月前にクワガタが付いていた樹液が干上がってしまっているのを見てきました。

ミヤマは神奈川においては広い森がある環境であれば標高が高くなくても生息していますが、東北や近場では奥多摩などの標高があり気温が低い場所に生息しているクワガタです。(適温は22~24程度)

そういった環境では渓流沿いなどの湿度の高い環境のイタヤカエデやヤマハンノキなどでも見られ、ここ最近の真夏環境とは真逆の場所に生息している虫です。

また、近年ではその気温からノコギリに生息地が入れ替わりつつあり、衰退しているという話もあります。

そしてこの時期の貴重な樹液にはカブトムシという圧倒的な強者が訪れます。

これは現場で見てきた体感の話ですが、カブトムシが現れるとノコギリやコクワなども見かけなくなります。

ミヤマにも同じことが当てはまるのではないかと思います。高尾においてカブトムシを初発見したのは
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7月の15日でした。驚くほど都合がいいですが、この採集記3の後の新月のときはまだミヤマに会えていましたが、それ以降はボロボロの成果です。

ミヤマに合わない異常高温と乾燥の連続、その時期が枯渇する樹液にカブトムシが集まる時期と重なることで7月下旬~8月にかけてのミヤマの大幅な個体数の低下に繋がっているのではないかと思ったりします。

現地でミヤマクワガタを取りに来ている方たちの話を聞くと、今年は特にサイズが小さいという話を聞きました。

私の採集記~5までの間に見たミヤマは30近くになると思いますが、この内60mm超えは1個体のみ。50mm後半が1。中盤が1。残りはすべて50mm以下の小型個体です。

推測するに高尾のミヤマは数が多く個体数も多い小型の多い期間と、2次発生で数が少ない大型個体の入り混じった期間があるのではないかなぁと思います。出現が丁度U字の曲線のようになっており、この7月下旬が底。カブトの衰退になる8月中旬辺りから大型個体の新成虫が出始め、外灯や樹液で再び数が見られるようになるのではないかと推測します。

これから大型が発生すると言われる2次発生期を迎えます。この期間にも足を運び、再びミヤマが見られるようになるのか?サイズ感はどうなのか?月齢に応じた出現具合はどうなのか?雨の後に樹液が復活するのか?などの様々な要因を現地で観察していきたいと思います。

やはりこの辺の現地で味わう自然の変化というものが楽しいですね。現地を訪れた方などはなにかご意見があればぜひ。



カブクワ採集に役に立つアイテム

高いところにつくカブクワを落として捕まえるために長竿網があると捕獲の可能性が高まります。
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次はこちら。外灯に来ないという仮説を立てて樹液に絞った所、巨大ミヤマに遭遇しました。

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高尾でも有用な外灯採集の基礎編です。虫の知識+採集方法の知識の両方が合わさると鬼に金棒です。