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高尾山ミヤマクワガタ採集記2。外灯採集ルッキングのコツと最終ケーブルカー以降の採集。

7月中旬の高尾山事情

梅雨明けも早そうな今年の夏。雨も少なく樹液の枯れが早そうな気配を感じて、再び夜の高尾山へ昆虫観察へ行ってきました。(4日ぶり)

ケーブルカーで登り早速樹液ポイントを見ていきます。なんと早くも中腹の樹液ポイントが枯れ始めていました。やはり雨の少なさが響いているような気配を感じます。

この日は37℃もの高温と蒸すような湿度、月も出ており風は強いとクワガタ採集には最悪のコンディションと言えます。

早速ミヤマ出現


こんな条件の悪い日にはより一層丁寧なルッキングが必要です。

やってきたクワガタが飛ばずに枝などにしがみついている可能性が高いからですね。

後は低いところの樹液を探していくのが重要です。今回は基本カブクワの付かないモミの木の隙間にてミヤマのメスを発見しました。

比較的新しそうな成虫です。ミヤマといえば金色の毛ですよね。これは新しければ新しいほどしっかり残っています。

ミヤマの良さを他の方と話してみると金色の毛が良い!という方は多いです。ミヤマらしい魅力と言えますね。

途中にはたくさんのコクワガタ

高尾山を見て回った感じこの時期においては樹液が出ており、点在するようにコクワガタが見られます。

100均の虫網では届かない場所も多いのですが、採集用の網であれば届きます。

コクワガタが来ているポイントであるため、タイミング次第では他のクワガタもついていると思われます。

良い樹液です。

ここは去年の7月下旬にも樹液が流れており、良いポイントです。

ただ通った人が100%見ているでしょう。高いところまで樹液があるのでそこに期待ですね。さて、山頂付近に到着です。この時点で18時30分とかそれくらいだったと思います。

暗くなるまで周辺を見つつ待機です。

現地で出会った方と採集へ


この日は特に採集者が少なく、私と山頂で出会った虫好きな方との二人しかいませんでした。

探す目も増えるので本日は二人で採集し、ケーブルカー最終時間が終わった後まで採集を行います。
これにより21:15分で帰る多数の方たちと大きな差をつけることができます。

ミヤマの死骸をちょくちょく見ました。今年の高尾はやはりミヤマが多い気がします。

日没早々クワガタの出現です。

先程までいなかったのにこうも早く出て来るとは。

やはり彼らの環境条件というのは現地で見てみないと分からないものです。

スジクワのちょっと大きめなサイズは珍しいですね。

今採集のミヤマ情報


外灯にてミヤマクワガタを発見です。

外灯下ではなく周囲の木に付着していました。風の強い日だったので予想通りですが、それが目論見通りハマると最高です。

外灯下にてミヤマです。

これは地面にいました。金色の毛が非常に多く、成虫なりたてでしょう。

来る外灯の傾向を探っているのですが、今のところ傾向はありません。強いて言うなら蛾や小型昆虫がよく来ている街灯は怪しいという程度のものです。

コナラの樹液にてミヤマです。

前回の採集時には出ていなかった樹液ポイントからです。

刻一刻と変化する樹液の状況を把握するためには、度々の訪問と粘り強いルッキングといった地道な作業が必要になりますね。こうした作業が成果に繋がります。

外灯にて大歯よりのミヤマクワガタです。こいつは飛んできました。

この日最大のミヤマで目視54mmほど。やはり大顎のミヤマは魅力的です。

樹液にて超小粒のミヤマ。小さくてもミヤマはミヤマ。どんなミヤマでも見つけたときの嬉しさは一級品です。

この日のミヤマは♂5♀2
内訳は外灯3
樹液2
ルッキングが2
風の強い日だったからか開けていない場所に姿を表しているのかなという印象でした。最終ケーブルカー以降に出会えたものは3匹でした。

捕まえたものはミヤマ目当ての同行者に差し上げました。本日の滞在時間は17時~22時30分の5時間30分で、9時半辺りから虫類の訪れが明らかに悪くなりました。参考にどうぞ。

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7月下旬以降の樹液採集はこちら。65mm超えミヤマに遭遇です。

外灯の珍品イタヤカミキリ


外灯にて現場では正体不明のカミキリを発見。

確保して調べたところ東京都絶滅危惧1類のイタヤカミキリであることが判明しました。

高尾山においても非常に珍しい種類なようで、全体的にまとまって見られる種類ではない珍品種です。

ヤナギ類やイタヤカエデなどのモミジ類を加害しますが、私も遭遇するのは初めてです。白帯が非常に美しい良いカミキリですね。

その他樹液などで見かけた虫たち


いつかちゃんと写真を取りたかったムクゲコノハ。

高尾山はこの時期とても多いようで、樹液の多い木には2~4匹程度来ていました。

間近で見ると光沢もあり非常に美しいです。大きさは大人の手の拳くらいで迫力も十分、樹液吸蜜中は比較的写真も取りやすかったです。

ウスバカミキリは広葉樹を広く加害するカミキリで、彼らはクワガタ採集における影の貢献者です。

カシ類やイヌブナなどから樹液が出ており、ウスバカミキリがやってくれたのではないかと思います。

これまでイヌブナはイマイチの樹木でしたが、ノコギリが落ちてきました。夏に向けて発酵が進んだ場合注目する価値があるかもしれません。

一部界隈で人気の地上徘徊性マイマイカブリ。オサムシ系も結構見られるんですよね。この時期はカエル、カマドウマなどのバッタ、甲虫などなどいろんな生き物が目に付きます。

多数のミヤマと珍品のイタヤカミキリ。かねての目標であったムクゲコノハなど多数の生き物に遭遇でき、大変満足度の高い観察となりました。まだまだ見たい昆虫がおり、夜の高尾山を楽しまずにはいられません。

今回のように人がいないケースはほとんどありません。ライバルが少ないのはメリットですが、夜の山に二人というのもなかなかに怖いですね(笑)採集には二人以上もしくは音楽やラジオなどの音声がおすすめです。

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次回はこちら。