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高尾山ミヤマクワガタ採集記8 8月下旬にミヤマクワガタはいるのか?検証

晩夏のミヤマクワガタ採集、成果は?


8月の終わりにミヤマクワガタは取れるのでしょうか?気になる疑問を調査してきました。
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(前回はこちら)
今回の記事は8月下旬に2回訪れた成果になります。結論を述べると数は少ないものの遭遇は可能です。

8月下旬のミヤマクワガタやクワガタの事情


8月終わりにもなると高尾山中腹付近はかなり涼しいです。

外灯に飛来する虫たちも18:35分頃からとなり、最終ケーブルカーまでかなり長期の採集が可能です。

採集者の人数にはかなりのばらつきが見られ、多い日では20人近く、少ない日には今回のように二組だけだったりします。

8月下旬にもなるとミヤマクワガタの個体数はかなり少なくなり、人の数が多いと外灯拾いのような採集での遭遇できる確率はかなり低くなります。

ただ屋外でのミヤマクワガタは9月中旬くらいまでは樹液で細々と見つけているので、外灯でもタイミング次第では採集可能だと思います。

最近外灯で見られているのは発生後期の♀と思われる個体ばかりで、私の記録ではこの日はミヤマ♀2匹を見ることができました。

他の人にも話を聞いてみた所、ミヤマが3、アカアシ1を捕まえており(いずれも♀)自身のルッキングの精度次第ではクワガタ自体を見ることはまだまだ可能であると思われます。

今回は外灯に加えて8月に好調だった樹液の方も調査してきました。
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樹液に関しては成果を上げたポイントが枯れてきていたり、木自体が枯れてしまっていたり変化していました。

それでも樹液が出ていればコクワガタや樹液性の蛾の仲間(シタバガの仲間)はよく見られました。

樹液の質としては発酵臭も強く放っており、まだまだ採集は可能です。餌不足からか夜間でもスズメバチを度々見かけました。

外灯のほうが虫が来る


ミヤマクワガタ層の衰退は残念ながら非常に感じます。

山内を漂う空気が秋になっているからです。

しかし昆虫自体はよく飛んできています。今の高尾山で最もよく飛来するクワガタはコクワガタになってきました。

外灯でも樹液でも見つかるのはコクワガタばかりです。代わりによく見つかります。

コクワガタは高尾山においては採集されないクワガタ(平地の普通種)なので見かけやすいでしょうし、そもそもが成虫越冬で遅いと11月ごろまで活動しています。クワガタ層の変化にもちゃんと理由があるんですね。

ノコギリクワガタもやってきました。

外灯周辺の木でのルッキングです。

およそ2ヶ月外灯採集をしてたので、外灯ルッキングにも慣れてきました。

外灯直下にいるケースは30%くらいで、残りはクヌギやコナラとは関係ないたまたまくっつけた場所に付いています。

外灯採集は簡単そうに見えて実は樹液よりも差が出やすい採集方法かもしれません。

ということで8月下旬のミヤマは2回分をまとめて♀2匹と他の方と取った3匹で5匹見ることができました。

今後9月にかけても二次発生は続きますが、なかなか渋い採集になるということを把握しておくといいかと思います。ミヤマ単品狙いではちょっと退屈かもしれません。

今採集のクワガタ以外の虫について

秋めいてきたこともあり、昆虫層が大きく変わってきています。むしろクワガタ以外の虫が楽しい時期かもしれません。

秋の蛾の代表格、アケビコノハに遭遇できました。

見るからに新成虫で大変美しいです。落ち葉に擬態して成虫越冬する面白い生態を持ちます。実は10m位先で見かけていたのですが、フラッシュライトの強力な光で呼び寄せられました。一度間近で見たかった虫なのでとても嬉しかったですね。
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美麗なヤママユの仲間、オオミズアオです。サクラやモミジなど幅広い植物を食べるので、平地でも見られます。ただ外灯に集まる蛾らしい雰囲気で出会うとより一層美しく見えます。フェンスの反対側にいたのが惜しいですね。

夏の終わりといえばヤママユですよね。

立派な♀で飛ぶのが辛そうでした。ヤママユの仲間は成虫の段階で口が退化しており、食事をしません。

出現期間は9月末くらいまでと長いのですが、いかんせん出会えるタイミングが限られます。

外国産クワガタっぽいゴホンダイコクコガネがいました。高尾山では初見の糞虫です。

ゴホンダイコクコガネはクワガタに負けないくらいの人気があってもおかしくないと思うんですよね。

糞虫なので見られるエリアが限られるのが厳しい点でしょうか?探すのは大変です。

ゴホンダイコクコガネの♀でしょうか。この日は外灯でよく見かけました。どれも真夏には見られなかった虫たちですね。

樹液にてキシタバの仲間です。いわゆるカトカラ類はこれから10月位まで見られます。樹液性の蛾は6月くらいから9月頃まで長く見られて癒やされますね。

まとめ


8月の下旬であってもミヤマクワガタに遭遇することは可能です。

しかし気温の低下や樹液資源の減少によって遭遇が難しくなっている時期で、代わりに越冬性のコクワガタの出現が増えています。

甲虫採集終盤のこの時期、高尾の活気も弱まりつつありますが虫たちを見ることはまだまだ可能です。

ただし♂のミヤマは結構厳しいのかもしれませんね。 余談ですが8月下旬の薬王院ライトアップがついでに見れてよかったです。

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高尾山ではありませんが今季最後のミヤマは10月20日となりました。9月頃までは効率は悪いですがチャンスはありそうですね。

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高尾のミヤマ出現情報や季節による捕獲数の変化など役に立つ情報が盛りだくさんの採集記もぜひ。
今季の高尾山ミヤマ採集はこちらの記事で終了になります。来年のためにも過去記事をご一読いただけると嬉しいです。