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高尾山ミヤマクワガタ採集記6 8月のミヤマ採集は外灯ではなく樹液の出る木を見るべし。樹液で65mmをGET!

結局王道の樹液採集は強い


高尾山に足を運ぶと外灯を巡回している親子もいれば人気のないエリアでひっそり採集しているような方もいます。
成果を上げやすいのはもちろん後者です。(リスク有)

今回は高尾山における採集経験を元に8月は外灯ではなく樹液を探すべしという理由についてお話します。

高尾山におけるミヤマ採集の方法


主に2種類の方法に分かれます。

まず有名なのはケーブルカー駅~薬王院間の外灯を巡回する外灯採集です。

明かりもある安全なエリアを徘徊できるため人気が高く、夏の時期には多いと10人とかそのレベルの人がいます。事実としてLED化されているとはいえ虫たちは飛んできます。

現地での観察と、ミヤマ採集をしている方の採集状況を聞いてみると飛んで来やすい時期があります。

6月頃の発生初期から7月中旬位までの発生中期くらいまで活発にやってくるようで、私も過去のクワガタ観察においては7月上旬~20日頃にかけて外灯においてミヤマの採集をしています。

この時期には平均3匹くらいのミヤマに外灯下、付近で遭遇していました。

ライト層にも挑戦しやすい良い採集方法ではあるのですが、発生後期となると飛来する数が非常に少なくなるようです。

高尾においては7月中旬ぐらいまで非常に有効な採集方法なのではないかと推測しています。(それ以降も来ないわけではない)

7月下旬以降自身の調査と、周囲の聴き込みでミヤマがいないという話が上がりました。
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外灯に飛来する個体数が減るのか、環境条件なのか、時期的に総合的な個体数が減っているのか?というのは分かりません。そこで外灯ではなく人の少ないところの樹液を見て回ることで、ミヤマの出現はどうなのかというのを調査してきました。

8月以降の樹液ミヤマ採集について

今回の調査日は風が強く満月に近いコンディションで灯火採集には不向きな日です。逆に言うと外灯を見に来る人が少ない条件ということで、樹液採集には向いています。

外灯に目もくれずにこれまで手を伸ばしていなかったエリアに目を向けてみた所、数が減ったと判断していたコクワガタをとてもたくさん発見することができました。外灯に目を向けるあまり人の少ない場所を探すという基本を忘れていたようです。

驚くべきはナラ枯れを引き起こすキクイムシによって新しい樹液ポイントが多数生まれていたところです。

真夏で雨が少なくても樹液が流れているので、この時期以降もしっかり樹液採集が楽しめそうな予感を感じます。


ちょっと登り口が斜面で、写真を撮る余裕がありませんでした。

樹液1本に絞り、暗い人のあまり来ない樹液を開拓した結果、ミヤマクワガタを9匹発見することができました。


サイズは高尾山にしては巨大な65mmのものが最大で、外灯と比べて出現個体が明らかに大きいです。

こちらも現地で得た経験ですが、樹液が出ていても目につくような場所にはいませんでした。

長竿網(5m)に大人の身長を合わせた位の高さで、葉が密集しているような環境。いわゆる見つけにくい場所にいることが多かったです。樹液発見と丁寧なルッキングの両方の知識は必要となります。
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(樹液発酵はこの辺が分かりやすいです)

恐らく昼の採集者の目をごまかす事ができるような場所が良いポイントとして彼らの集まる場所になっているのでしょう。

この日樹液で見られた個体は65mmが最大ですが、取りこぼした個体もそれくらいはありそうでした。

♂は中歯が1大歯が3と7月上旬の外灯で20以上小歯を見続けてきたものが一気にガラリと変わり、偶然かもしれませんが面白い結果となりました。

高尾採集ではかしの木が熱い

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今回探したのはクヌギやコナラではありません!

今回は採集圧を避けるため、それ以外の木に注目してみました。

密集環境にも生えるカシの木の仲間です。山のカシの木は茂ったうっそうとした場所によくあり、結構気合がないとアクセスできなかったりします。

小粒のミヤマばかりだったのでこの出会いはとても嬉しいものとなりました。

採集の基本ではありますが自身の知識で新しいポイントを開拓し成果を得るという虫取りの醍醐味を最大限味わえる採集となりました。

高尾のミヤマは総数が減っているわけではなく、外灯に来なくなっているだけなのかもしれませんね。

この点は今後も調査していきたいと思います。

まとめ

結構な頻度で通っていた夜の高尾ミヤマ採集ですが、6月~7月中旬にかけては外灯。7月下旬以降は樹液採集がミヤマ遭遇に適した採集方法なのではないかと思います。

今回の採集では一応ミヤマの♀2を外灯で採集していますが、♂に関してはしばらく見ていません。

樹液に切り替えると山なので多少のリスクは出てきますが、動物なら音声などを出す、斜面などの危険箇所には入らないなどを徹底すれば今回のようにミヤマに遭遇することができるのではないかと思います。

こんな結果が出ると改めて樹液採集の虜になってしまいますね。
大型のミヤマ。ぜひとも見つけたときのあのワクワク感を味わってほしいものです。

(観察後65mm以外は逃しています)
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8月の二次発生ミヤマ狙い外灯採集はこちら。ピカピカの新成虫含む4匹ものミヤマに外灯で遭遇です!

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こちらは外灯+月齢を意識した7月中旬の採集です。ネブトやアカアシに遭遇したいなら外灯がおすすめです。



昆虫を食べるハクビシンを短時間に2匹見つけました。外灯周りを徘徊しており、せっかく来た虫が捕食されているというパターンも有るようです。カミキリムシが犠牲になっていました。