ムササビにもよく出会える高尾山
自然豊かな高尾山では、舗装された一号路沿いで比較的簡単にムササビに遭遇することができます。
夏期間に甲虫目当てで夜の高尾に訪れた結果、80%位の確率でムササビの姿、鳴き声を発見することができました。
観察で得られたムササビ探しの要点を紹介します。
(夏のデータですが、日没後+○時間のものはそのまま冬も使えると思います)
ムササビ探しにはエリアと時間が重要
(よく見る4号路との分岐ポイント)
ムササビを探しに幅広い山の中を探すのは大変です。
彼らは日没数十分後を目安に巣穴を飛び出し、周辺のエリアを徘徊しながら葉や芽などの食物を食べまわります。
巣を出る→移動→食事→様子見→移動→食事のようなルーティンをしているようで、動いているタイミングに目にすることが可能です。
なので出没エリアを理解しておいて日没直後にその周辺で待機してみると言うのが有効です。
出現確認エリアなど
まず高尾山のムササビは薬王院周りを中心に観察することができるということを覚えておいてください。
薬王院周辺
中でもおすすめなのは薬王院~山頂を結ぶ階段の入口(写真)付近です。
ここは姿も鳴き声もよく観察できます。日没30分~1時間程度にこのエリアを訪れるとブルルルル~というようなプロペラ音のような変な音が聞こえます。ムササビの鳴き声です。
薬王院入り口付近~薬王院内も姿鳴き声共に見せることがあります。
写真の入口付近は樹木の密度が高く、鳴き声は聞こえるのですが、姿を見ることはなかなか難しいです。
この辺のエリアまではたまに地域の大学生研究グループらしき人たちが赤いライトを持って巡回していることもあります。
そのことからも出現頻度の高いエリアであることが推測できます。
山頂エリア
山頂を降りて大きなトイレが有る先の開けたエリアもおすすめです。
生えている木は非常に大きいのですが、それが良いのかここも高い確率で姿を見れています。
樹上に風ではないガサガサ音が聞こえたら見上げてみましょう。
ここは位置は高いですがムササビの姿をはっきりと見ることができます。
見ていると高尾山のムササビはこちらを気にもとめずに動いています。
薬王院~富士道の入口
薬王院から山頂まで登る道には2種類あります。上で紹介した階段の道と、薬王院の横を抜けていくコースです。
間近で見たければこの薬王院を抜けた直後の場所がおすすめです。いい場所なので場所の写真はなしです。
この道は斜面を走っており、地面から生えた杉などの針葉樹の中腹ほどの位置を歩けます。
ここで遭遇することができると目先5m程の位置でムササビを観察することもでき、運良く飛んでくれた時にはムササビの力強さをすごく感じられます。
とても近い距離なのですが、やはり人間を気にしているような気配はないですね。
人の気配が薄いからかここの観察率はとても高いです。こちらは別日なのですが、やはり間近で見ることができました。
ムササビは意外と大きいんですよね。座布団ぐらいの大きさがあります。
4号路分岐点付近
この分岐点の下側の外灯付近も鳴き声及び飛翔を見たことがあります。
鳴き声自体はよく聞くエリアなのですが、目の前に出たことがあります。ここでは大迫力の飛翔を見せてくれました。
ポイントとしては薬王院を中心とした上記の3つがおすすめです。
出現確認時間など
巣穴出現→移動→食事→休み→移動→食事のようなローテーションが有り、それを一晩で3~4回ほど繰り返すと言われています。
私の昆虫観察夜高尾は18時~22時30頃までを活動としていますが、やはり日没後1時間程度の範囲と、帰路についている21~22時過ぎ頃に見かけることが多いように思います。
例えばここの4号路分岐点では22時30頃に目先7m程の木の根元にいた事があります。
鳴き声に関してはどのエリアでも出現とは関係なく聞こえてきます。
山頂付近のこのエリアは、夏季は人の往来もあるからか最終ケーブルカー以降の時間21時30~22時過ぎくらいで見かけることが多いです。
この時間は山頂エリアに人がいないことも多く、動物の音がよく印象に残っています。このムササビは21時22分でした。
薬王院横の富士道はそもそもマイナーな道なので最終ケーブルカー以前も人が来ません。
この個体との遭遇は19時52分です。
その他にも遭遇してはいますが、写真として見られるのはこれくらいです。鳴き声は姿を見た回数の2倍位は確認できます。
事前にムササビの鳴き声を動画などで聞いておくのがおすすめです。
ムササビの探し方について
ムササビ探しは昆虫採集に比べるとだいぶ簡単です。
動物の目は遠くからでもよく光を反射します。上記のルーティンで食事もしくは様子見をしている個体は、ライトで木々を照らしていくと2つの目だけが反射している場面に出くわせます。
夜の世界で生きている彼らは人間よりも先に我々に気がついています。
なので丁寧に木を見ていくよりもさっと木々を照らしていくほうが効率よく探すことができます。
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一応今回は写真のために白い光を使っていますが、野生動物観察には赤い光を利用するのが良いとされていますので、可能であれば意識しましょう。(上のライトは珍しく広範囲の赤ライト照射が可能です)
視覚で探したい気持ちはわかりますが、動物相手なら聴覚を使うのも重要です。
目よりも耳で探すのが夜の醍醐味
木々の揺れる自然な音を理解し、耳を傾けてみるとその中に不自然な物が動くノイズが聞こえます。
樹上で活動する彼らの物を食べる音や移動時の音は、しっかり聞けばかなり聞き取ることができます。
自分が食物連鎖に入り、獲物を探すような気持ちで自然の中に耳を向けてみてください。
このように樹上の音を感知すればムササビが!?
高尾山においては樹上に登る動物はムササビだけではないようです。
暗い闇の中の音に目を向けたらハクビシンがいました。
ムササビ以外にもこのようなタヌキ、アナグマ、ハクビシン、テンなどの動物に遭遇したことがあります。
割りとこの辺には出会えるので動物観察のナイトハイクも楽しいですね。
ただし大型動物のイノシシには注意が必要です。小さい動物に会うために静かにしたいものの、イノシシに出会いたくないので音楽を流さざるを得ないのが山の怖いところです。
安全第一で観察を楽しんでください。
時期について
ムササビ観察は日没が早く木々の見通しが良い冬が良いとされています。
私はこの真夏の時期も活性が高くよく出会えると感じているので、見にくさは多少ありますが夏もおすすめです。
6月~2月頃なら高尾山では割と簡単に出会えると思いますよ。
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ムササビ観察全般に対する知識の紹介です。主に冬の観察で役立つ情報を提供しています。