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冬に楽しむムササビ観察の要点。ムササビを探すコツは食べ物の痕や鳴き声を探すこと

冬こそムササビ観察の時期

冬のムササビは非常に観察しやすい時期であり、要点を抑えておけば初心者でも簡単に姿を見ることができます。

冬は観察しやすい条件+繁殖期のベストタイミング

樹木の葉が落ちるため夏に比べると姿が見やすく、鳴き声は聞こえたのに姿が見えないといった残念なことが起こりにくいだけでなく、豪快に飛翔する際に邪魔になる物が少ないというメリットが挙げられます。

今回の記事ではムササビ観察の実体験を元に初心者がイベントなどに頼ること無くムササビを発見するための要点を紹介していきます。
ムササビを見たい方は是非参考にしてみてください。




ムササビとは?

ムササビはハムスター等と同じげっ歯類の仲間です。

等身大?高尾山麓のムササビ像

大きさは意外と大きく、尻尾を含めると70cm近い大きさになります。

飛翔時のサイズは座布団のサイズと例えられることからかなり大きいことがわかります。

類似種のモモンガが20cm程度の大きさであることから種類を間違えることはないでしょう。

スギの何かを食べていたムササビ。豪快な飛翔が見られた

食性は植物食で、スギの実やクヌギなどの各種樹木の葉、冬芽や植物の種などを食べており、特有の食痕を残すことから生息地では痕跡が多数見られます。

年中観察することが可能です。その中でも冬と初夏頃が繁殖期に当たるため、夜の森の中で活発に移動したり鳴くなどの行動を取ります。

ムササビの生息環境と営巣について

北側に面するムササビの巣

ムササビはどんな場所に住んでいるのでしょうか?環境条件が良ければムササビは営巣した場所に長いこと定着してくれます。

そこで繁殖をし続けるとその森にはムササビがたくさんいる可能性があります。

ムササビは針葉樹、広葉樹ともに巣を作りますが、私のアクセスできる範囲と過去の観察事例からみると針葉樹のスギ林に多く営巣しているように思います。もちろん広葉樹林にもいます。

ムササビが生息している森は木の密度と開放空間が重要

環境は樹木密度が高すぎると見られる割合は減るように感じます。鳥と違い滑空する性質があるので、ある程度の飛翔空間の確保が重要なようです。

ムササビは木の中に営巣することが多いのですが、自分で硬い木を掘り進むことができません。そこで重要となるのがキツツキなどの樹木に穴を開けてくれる生き物の存在です。

小型キツツキのコゲラ。巣利用は大型のアオゲラ

アオゲラなどの大型キツツキは営巣のために樹木に穴を開けます。

その利用しなくなった穴を再利用するパターンが多いと思います。
あとは検証はされていないと思いますが、キツツキ類がカミキリムシ類を捕食する際に開けた穴に雨水等が染みて腐朽菌が侵入すると、ムササビが掘り進めるのではないかと思います。

ムササビの観察時期について

年中見られるムササビですが繁殖期に当たる夏の時期と冬の時期が特にその存在を発見しやすくておすすめです。

段階3の姿が見えるムササビ。この段階から初心者でも明確に嬉しいはず

ムササビ観察にはいくつかの段階があります。レベルとしては樹上などで動く音が聞こえる→鳴き声が聞こえる→姿が見える→飛翔が見えるという段階です。

ぶるるるるるというプロペラのような特有の音はかなり観察できる

この内動く音と鳴き声は生息地に行くとそれなりに高い頻度で観察できます。

ムササビは気まぐれなので数週間程度同じ場所で食事を取り、その後また別の場所を餌場として選定します。

夏の観察の場合ネックとなるのがその餌場が葉の茂った場所になってしまうパターンです。こうなると姿を見るのが難しくなってしまいますよね。

せっかく観察に行くなら姿や飛翔を見たいと思うはずです。

なぜ冬がいいのか?

冬の山には遮るものが少ないため見つけやすい

冬場にムササビ観察のイベントが多いのは、葉が落ちることによって夏場ならば動く音が聞こえたケースと鳴き声だけが聞こえたケースにおいても姿を見られる可能性があるためです。

また、ムササビは日没直後から活動を開始する動物です。

夏の日没直後の食事で出会えた個体

日没→巣から出る→→移動→食事→休憩→移動→食事のようなルーティンを組んでおり、移動と食事と休憩を夜の間に4~5ルーティンほど繰り返すと言われています。

例えば冬ならば日没が早いと16時30分頃ですよね。ということは夜遅くなる前に観察できるため、時間の都合上もいいのです。

夏場は19時を過ぎないと日が落ちませんから観察すると21時を回ってしまいます。

条件を見れば見るほど冬が適しているのが分かりますよね。

ムササビを探す上での注意点

まず観察地の選定がとても重要です。

私的には観察地はスギ林ばかり

広い森があれば生息している可能性はありますが、0から探すのは大変です。

ムササビ情報はネットでも出ている事が多いので、住んでいるかどうかは調べたほうがいいです。

東京神奈川ならば高尾山や宮ヶ瀬のあたりが有名で、ここらでは秋冬にかけてムササビに関するイベントもやっています。

真っ暗なのでそれなりのライトを推奨したい。安全に直結する

注意すべき点は夜の山での行動となるため、なるべく複数人で行動したいものです。
観察中は自身は動かないので結構寒いです。暖かい服装とそれなりのライトを備えておきたいです。



日没後のムササビの行動パターン

ムササビの行動パターンはある程度検証されており、日没後15分程度を目安に巣から脱出→うんち→移動→食事→休憩をします。

休憩中と思われる個体。止まっている個体はなかなか発見が難しい

移動食事休憩のルーティンを繰り返すわけですが、食事と休憩中は動きません。なので観察が難しいタイミングになります。

初心者はとにかく移動中の個体を見つける必要があります。そのために日没以前にムササビ観察エリアで事前に待機しておいて、最初の移動を捉えるもしくは日没後の2度めの移動を捉えるのがおすすめです。

ムササビがよく食べている植物

よく食べる植物を覚えておくと目にする可能性が高まります。昼のうちに食べ痕を探しておくのもいいと思います。(食べ後は写真がないので後ほど)

ツバキ


一年中厚い葉をつけており、人気の高い木です。冬には種子もついており、ツバキ自体が耐陰性植物であることから込み入った林床にも生えています。

イヌシデ
イヌシデの枝。芽が大きく人気らしい

冬芽が大きくて美味しいのかたまに食事中の場面に出くわします。夏や秋も種や葉を利用していると思われます。(写真の球体は蛾の繭です)

クヌギ
歯を研ぐために枝を噛み切ることもある

雑木林の普通種であるため数が多く、葉や冬芽が食べられている物を目にします。

もみじ


冬に種があり、これを利用しているようです。

スギ、ヒノキ


エサ資源として重要に感じます。

葉や実を食べている場面に高頻度で遭遇します。スギの松ぼっくりを見ると、明らかにげっ歯類によってかじられたあとが見られるものがまとまって落ちています。直近でムササビが来ている餌場があるのかもしれません。

巣穴探し

スギやヒノキなど各種樹木に空いた穴を探していきます。

ムササビの巣探しと言うよりはキツツキの巣探しという方が良いかもしれません。

巣穴写真のストックがないので勘弁を

針葉樹は広葉樹と比べるとまだ柔らかいためよく利用されています。最初はスギを探していきましょう。

キツツキ利用の穴は北側に向いてついていることが多いです。

あらゆる生き物の天敵、猛禽類

太陽が南側から当たるため、猛禽類などの天敵から巣の位置を見にくくするための戦略だと考えています。

もしくは鳥が飛翔時に揚力を得るために山の上側から吹いてくる風を利用するためでしょうか。

ライト

ムササビを始めとする哺乳動物の観察には一般的には赤色ライトを利用するのが良いとされています。

赤色の強い光を放てるmarauder miniは動物に関わる人におすすめ

ただこれの出処に関しては正直不明であり、webのあらゆるところで「と言われています」という言葉が使われています。

ムササビに関してはどの程度かは不明ですが赤色ライトが見えています。

夜の山では気配を探したいが怖いので光をつけざるをえない

これがどの程度ストレスを与えるかというのは難しいお話なのですが、高尾山のムササビに関しては糞中に蓄積したコルチゾールの濃度を測定することで人の活動による影響(昼間の人間活動)を受けていない可能性が示唆されています。

夜の影響は不明ですが高尾の個体は確かに光を気にする気配はないように感じました。(主観)

本来は赤色ライトで照らすべき

人馴れしていないような地域の場合にはムササビを警戒させない(移動中に光の気配を感じると止まって見つけづらくなる)ためにもライトの照射は抑えたほうが良いです。

ただムササビ本体に照射しない程度の足元を照らすようなものであれば赤色である必要は無いと思います。 

移動中は足元をしっかりと照らそう。怪我しては元も子もない

ムササビ本体を照らしたい場合には赤色系を使っておきましょう。根拠は見つけられていないのですが、高尾山HPに置いてムササビ観察者へのお願いの中で赤色ライトを推奨しています。

実践的な探し方

目ではなく耳で探すのがおすすめ

夜の山は怖いのでライトを使いたくなりますよね。

ムササビの気配と思いきや樹上にいたハクビシン

しかし夜間活動する生き物はとても気配に敏感なので人間の目で彼らを見つけるよりも前に我々に気がついてしまっている可能性が高いです。

彼らの生活圏では話し声や足音を可能な限り抑えて耳で探すのが経験上最も遭遇率が高いです。

何かを察知したら消灯して気配を探る

人の五感も闇の中では研ぎ澄まされるため、意外と木々が揺れる自然の中の異音に気がつけます。

ライトは控えめにして警戒させないこと

LEDライトの白い光はものによく反射して動物によく捉えられているようです。

視力がかなり悪いアナグマ。お構いなく横を抜けていった

これはシカに対する経験的なものなのですが、夜の闇で光を感知したシカはほぼほぼ停止してこちらを見てきます。

移動の際に足元を強い光などで照らしてしまうと、高尾山のような人の多い場所の事例を除いてムササビに気づかれてしまい気配を潜められてしまいます。

赤色ライトは結構怖いのが欠点

見る確率を高めたいならばライトは弱いか赤色が使えるものを採用するのがおすすめです。

もし赤色ライトがあれば目の反射を探すという手段をとれます。

前述の通り赤色ライトは白ライトほどではないもののムササビに見えています。

目を探すのはかなり有効

照射されて違和感を覚えたムササビがこちらを見ることで目に光が反射し、容易にいる場所を特定することができます。
これは広範囲照射の赤ライトを持っている人ならではの探し方だと思います。持っていれば成果の挙げられる探し方です。
(体感白より逃げられにくい)

経験的に風向きは関係がありそう(揚力)

滑空するムササビがどのように揚力を得るのかという視点でここ1年ほどムササビの出現場所を見ています。

猛禽類の飛翔からムササビの滑空のヒントを貰う

トンビの飛翔に見られるように広げた翅や膜に風を受けることで上向きの力が得られます。これを意識してからムササビは林を抜ける風上の方で目にするような気がしています。(主観)

もしムササビを探す上でどこを見たらいいかわからないという場合には1つ参考にしてみてください。おすすめです。

雨と風のある日は✗

雨のしずくは光を反射すると動物の目のように見えるため、雨の場合には反射を利用した探し方が使えません。

ムササビの活動も鈍いように感じました。

風の強い日には耳から得られる情報がほとんど無くなるため難易度がかなり上がります。

ムササビ観察場所の事例

高尾山
今回画像のものは全て高尾山。アクセスしやすくおすすめのポイント

有名スポットであり推奨スポットでもあります。

薬王院周りには10近いムササビがいると言われており、夏にクワガタ観察のついでに訪れた感じでは80%くらいの遭遇率でした。

宮ヶ瀬
巣穴の場所は公開非推奨。あいかわ公園は見やすい位置にありおすすめ

県立あいかわ公園でムササビのイベントが毎月開催されており、現地を観察した結果巣穴もありました。

夜間アクセスは難しいかもしれませんが巣穴の雰囲気観察や食痕探しなどはできるため、雰囲気づかみとしておすすめです。

まとめ

ムササビ観察のポイントを紹介してきました。

ムササビ観察は昼間のうちにその生活圏と痕跡に当たりをつけておくことが重要です。それ以外にも天気や風向きの気象条件も重要となります。

要所を抑えておけば観察自体はそこまで難しくありませんので、ぜひこの冬に挑戦してみてください。

野生動物の遭遇と安全にだけはしっかりと注意を払ってくださいね。

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高尾山の情報です。夏場のものですが日没直後からの発見時刻の感覚などそのまま使えると思います。


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動物観察用おすすめライト。高いですが赤色広範囲照射が使えるため、星空観察やナイトハイク、屋外ソロ活動をする際にとてもおすすめできるライトです。私の愛用ライトです。