月齢によるクワガタ採集への影響
ミヤマクワガタなど各種クワガタを求めて高尾山を訪れる方は多いです。
しかしどうせなら最大の成果を狙えるようなタイミングで行きたいですよね?。
今回の採集記では、一般の方が訪れるであろう祝日の夜で、かつ新月の夜に高尾に行ってみました。
新月は人にも虫にも大人気
この日のコンディションは新月、風があまりない、涼しいという昆虫採集における素晴らしいコンディションです。
一方マイナス要素は祝日の夜で新月であるということです。
現地の採集者はかなり多く、20人はいたと思います。
早速木を見ていきます。いつものように道中の木にはコクワガタがついています。
この辺にもミヤマが付きそうですが、取られているのか見たことはありません。
さて、採集者は多いのですが虫もかなり多いです。
高尾山はLED化された外灯なのですが、それでも今日は虫が目に付きます。これが新月の力です。
月齢は初心者が気にすることはないと思いますが、現地に何度か足を運んだ感想としては意識したほうが良いです。
高尾には恐らくLED化してないと思われる外灯が一つあり、そこで粘ってみました。外灯の蛾の量が今までで一番の量です。
というか多すぎてこちらのライトに次々突進してきます。
恐るべし月の力!
灯火飛翔性の高いアカアシクワガタ
蛾の群れの中に小型甲虫が飛来!網で捉えると高尾山においてミヤマよりも珍しいアカアシクワガタの姿がありました!
高尾では初採集です!
アカアシは灯火にやってくる印象が強く、まさに新月ならではの出会いだったのではないかと思います。
アカアシクワガタは顎が非常にかっこよく、裏返すと赤い足をしている良いクワガタです。
高地では普通に見られるのですが、神奈川東京においては西部に行かないと見ることができないまさに珍品のクワガタです。
なんとこの日は別の方もアカアシを取っており、やはり新月による灯火の力を感じます。
本日はアカアシ 外灯1
他の方が自販機で1、後は不明ですが+1採集してました。やはり外灯です。
高尾外灯最難関のネブト
山中ではこういった黒いコクワガタの仲間を非常に良く目にします。平地ならスルーの筆頭格なのですが、ここ高尾においては危険です。
気が付きましたか?こちらはネブトクワガタの♀です!
スジクワの♀と思われる個体を見つけたのですが、どうにも違和感がありキープしていました。
この♀ですが知らない人はスルーしているでしょう。
しかしなんと!ネブトクワガタという高尾における最も希少なクワガタのメスです!
私事ですが珍品と呼ばれるネブトに一度遭遇してみたいと思っていました。
高尾においては外灯に来ることが知られており、やはり新月の夜に探したことが勝因なのではないかと思います。
ネブトのメスは丸みが強いのと筋張っている点、そして♀の顎が三味線などのバチのように面状になっているのが特徴です。
大きさは最大でも20mm程ととても小さいので、先にネブトを認識していないと間違いなくコクワのメスと思ってしまうでしょうね。
この子に出会えただけで今日来た甲斐があるというものです。
本日のミヤマ事情
新月の夜のミヤマはどうでしょうか?
採集者がとても多かったのにも関わらず、今回の観察では6匹のミヤマに遭遇することができました。他の方もミヤマを取っており、やはり虫全般多いように感じます。
いずれも小型サイズで50mmないようなものばかりではあります。しかも今回見つけたうち2匹は落下しました。
このサイズの♂が4匹。
あの人数でこれだけ見られるならば、月齢を合わせれば初心者の方でも坊主は避けられそうな気がします。
ただし♂はどれも樹液です。
外灯付近をメスが飛び回っていました。
先程のアカアシを含め、クワガタなどの甲虫が飛んでいる場面に遭遇したことはこれまでの高尾ではあまりありません。
本日のミヤマは♂樹液4
♀外灯2
他の方が外灯1
外灯に来ていた虫たち
新月の夜はカミキリムシが充実しています。ウスバカミキリはそこら中で見ることができました。樹液を出してくれてありがとう。
キボシカミキリ。カシの木の樹液に来ていました。夜に見かけるととてもキラキラしているように見えました。
ミヤマカミキリ。この子もクヌギコナラの樹液を出してくれるいい子です。昔はカブクワと並んで見られたそうですが、樹液で見かけることは稀な気がします。
この夏初遭遇のシロスジカミキリです。
この子は本当に見なくなりました。クヌギコナラなどブナ科樹木の樹液に貢献してくれる虫なのですがミヤマクワガタよりも全然いません。大きくてかっこいいカミキリですよね。
ゴマダラカミキリ。幅広い樹種を食べるよく見かけるカミキリです。夜も行動しているんですね。星空のようできれいです。
ムササビにもガッツリ遭遇
ケーブルカー最終の時間をすぎると一気に人が減ります。昆虫目当ての方はもうちょっと粘ることをおすすめします。
樹上で大きな音がするので見てみるとムササビがいました。
夜の高尾では結構ムササビに遭遇できます。小型中型哺乳動物にも遭遇でき、本当に飽きませんね。
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近くの樹液にはムクゲコノハ。もうボロになっていますね。この日は最終ケーブルカー後の山頂付近は人がいなく、ミヤマも見つかりました。外灯周りも二人しかおらず、車などの足があれば粘りたいところでしたね。
まとめ
環境条件による変化を調べに来た今回の観察では、人が多いにも関わらずネブト、アカアシ、ミヤマの人気3種のクワガタと外灯周りの多くの蛾類や甲虫類に遭遇できました。
数値化はできませんが、体感としては月の影響は十分考慮したほうが良いと思います。
何より他の方もそれなりに取っていたというのが裏付けていますね。
月の弱い日や曇の日などを採取日にチョイスすることで、LED化された夜の高尾でも十分成果が挙げられそうです。
今後夏休みなどで訪れる方はぜひ条件の良い日に行ってみてください。色々な生き物に出会えて楽しいですよ。
カブクワ採集に役に立つアイテム
月齢のいいタイミングで行くと外灯を飛び回るミヤマやアカアシを目にする可能性があります。止まらずに何処か行く場合も多いので待たずに捕まえる策を取るのがおすすめ。その際に必要なのが長竿網です。
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ミヤマで顕著ですがよく飛ぶので高所につきます。高尾ではそういった場所の個体を取るためにもぜひ欲しいところですね。外灯採集では周囲の木々を見ることになるのでライトの性能はかなり響きます。本記事で使用しているのはmarauder mini。かなりお高いライトですが、自身の知識をフル活用するためにはライトでボトルネックにならないようにする必要があります。
この2本の道具(ライトはこれでなくても良い)で"見つけて""取る"のクワガタ採集プロセスのスタートラインに立てます。これがないとそれを持つ人に差はつけられるので気をつけましょう。
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