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神奈川県で探す絶滅危惧種オオムラサキ。エノキで越冬し、樹液に集まる生態を理解して生息地を探してみよう。

神奈川のオオムラサキは絶滅危惧種


豊かな自然環境にいるという印象が強いオオムラサキ。国蝶ということもあり、幻のような扱いを受けています。

しかし神奈川でもいる所にはいます。

今回は夏の僅かな期間に現れる圧倒的人気を誇る蝶、オオムラサキを見つけるための要点をお伝えします。



エリアの選定が重要


神奈川の平地においてオオムラサキを見ることはなかなか難しくなっています。

県のレッドデータでは準絶滅危惧に指定されており、市町村によっては絶滅危惧2類など最近格上げされた場所もあります。

できるなら平地よりも山側のエリアを選ぶのが良いでしょう。

県内でおすすめなのはやはり自然の多い宮ヶ瀬エリアです。

私がよく行くというのもありますが、ここ数年はナラ枯れの影響を受けて樹液の流出が盛んになり、多くの個体数を見られるようになりました。

夏場ならミヤマクワガタなんかを探しながら樹液を歩いていたら遭遇できるのではないかと思います。

宮ヶ瀬においては遭遇難易度はあまり高くはありません。

オオムラサキの出現環境について


オオムラサキの幼虫の食草はエノキという樹木です。

この樹木は雑木林や河川敷などどこにでも生えています。そのためどこにでもいそうなものですが、なかなか見られません。

幼虫の環境


オオムラサキの幼虫はユニークな特性を持っており、エノキの足元に堆積した落ち葉の下で冬を越すということをします。

なので足元が吹きさらしの環境では発生できません。

同環境にはオオムラサキを含む3種の幼虫がいますが、オオムラサキの幼虫は背中の4つの突起が等しい大きさを持つという特徴から分かります。

(オオムラサキの幼虫)
幼虫はエノキの胸高直径が1mいかない位で、林縁や沢沿いなどのやや湿度のある環境で見つかることが多いように感じます。


成虫の環境


また、成虫は発酵した樹液を訪れます。

適度に樹液が流れる湿度の多い雑木林環境が必要で、樹液流出に貢献するカミキリムシ類、広げるスズメバチ類など多様な生き物が生息する環境がなければなりません。


平地で緑が残る場所は公園や緑地などになりますが、管理されすぎて落ち葉を掃いてしまったり、樹液に貢献するシロスジカミキリの減少がオオムラサキの減少にも繋がっています。

そのため、オオムラサキを見ようとすると昔ながらの里山的な環境が残る場所、もしくは落ち葉が飛ばないような雑木林環境になります。

成虫に遭遇するために必要なこと

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まず樹液の知識が必要です。エリアを把握して樹液の雰囲気が分かれば、クワガタ探しの片手まで多数見られるくらいにはまだ遭遇できます。

時期や時間も重要

オオムラサキ成虫の出現時期は6月下旬~8月中旬くらいまでです。

最も見やすいのは7月下旬頃でまさに今なのですが、この時期には既にボロボロになっている物も多いです。

美しいオオムラサキに出会うためには出現の少ない7月上旬ごろに探す必要があり、とても苦労します。

出現時間は現地観察の結果日中9時~16時程度まで幅広く現れ、樹液にいなくとも頻繁に飛んできます。

ナラ枯れの樹液流出以前はアキニレやイタヤカエデなどのマイナー樹木の樹液にも来ていましたが、最近ではシラカシやクヌギなどナラ枯れを起こすキクイムシの影響を受けたブナ科樹木での発見ばかりです。

なので例えば宮ヶ瀬ならばミヤマクワガタ探しのついでに遭遇できるというわけです。

樹液以外にこんな場所にも


生息密度の高いところでは樹液以外でも遭遇できます。

視界の開けた高い所や枝先などで自身の縄張りを貼る姿(テリハリ)を見ることができます。

(大きな人間さえ威圧する!)
他の虫や鳥などにさえ威圧的に追い払うこのテリハリ行動はオオムラサキらしい勇ましい姿を見ることができ、非常に感動します。

ぜひ見ていただきたいです。

美麗なオオムラサキは虫好き必見!


要点さえ抑えておけば神奈川でもオオムラサキに遭遇することは可能です。

ナラ枯れの樹液流出により一時的に個体数が増加傾向にあると感じていますが、先日のアカアシオオアオカミキリと同様に一時的なものだと思われます。
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4~5年前と比べここ2年ほどは非常に遭遇しやすくなりました。

図鑑でしか見たことがなく実物を是非見たいとお考えの方は今が最高のタイミングなので探してみてください。

そして見かけた際にはオオムラサキを取り巻く環境を作る多様な生き物たちにも目を向けていただきたいですね。



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身近で目にするタテハチョウのツマグロヒョウモンと珍しいヒョウモンの仲間たちもオススメです。