雨や夕立の多い季節 カブクワは樹液に来るのか!?
カブクワ採集に天気は重要でしょうか?
経験に基づいて答えると環境によります。基本は晴れの続いた日が良いですが、多くの方が訪れるポイントなどでは採集圧の影響で雨の日のほうが採れるなんてこともあります。
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今回の記事は↑の樹液の探し方と合わせると理解が深まります。記事を読んで更に知りたくなったらアクセスしてみてください。
天気に関わらず基本の樹液周り
今年はナラ枯れの影響で樹液の流出が非常に多いです。おかげでカブクワの量も多く、今回の記事の実践もしやすいです。
ここで1つ雨の日も晴れの日も共通して行えるナラ枯れ樹液採集について詳細を省いて説明します。
キクイムシという非常に小さな虫がブナ科の木に穴を開け、大量の樹液を出す。そのため木を見分ける必要がなく、写真のように幹に黒ずんだ樹液跡がある木を見ていく。というのがナラ枯れ樹液採集です。
ブナ科の木というのが重要で、クヌギコナラ以外のカシやシイなどのドングリを付ける木も対象木になります。そのため街路樹やっちょっとした公園、雑木林などあらゆるところで実践することができます。(木を見分ける必要がない)
神奈川ではそこら中の雑木林や公園で黒ずんだ樹液が見られますので、ここはマストな前提知識として理解してください。
そして探す樹液の姿はこれです。
イメージの樹液とは違うはずです。白く泡のように、もしくは固形物のように見えるものを探してください。これが虫が大好きな発酵した樹液です。かしの木の樹液は良質なものが多く、何年か継続して流れる傾向にあります。
こんな樹液見たことがないよ!という方も多いかと思います。実は樹液にはタイミングというのがあるのです。
発酵した樹液の探し方
すべての樹液が発酵しているケースというのはあまりないです。
この幹に滲んだ黒ずみ、晴れの日が3日ほど続くと自然界にある酵母菌などが付いて発酵します。
お酒の作りと同じでアルコールができるのです。
雨がふると流されてしまい弱くなってしまいますから、採集初心者は夕立などがない晴れが続いた日の後に採集に行ってください。お酒の甘い香りが雑木林に漂っているはずです。
雨でもクワガタは現れるのですが、幹が黒ずみ樹液の場所がわかりにくい。特有の香りが弱くなる。音などの五感に雨が干渉してくるなど初心者にとってかなり厳しい戦いになってしまいます。
線状の樹液に来ているノコギリ。晴れなら樹液の後が一目瞭然ですね。
2021年以前に探索した場所は変化していると思え
ナラ枯れ樹液採集の面白いところはキクイムシの性質上幹に数百~数千の樹液ポイントが生まれることです。
本来樹液ポイントというのは平地のような乾燥しやすい場所では多く生まれません。そのため強い虫が餌場を独占してしまっていました。
ナラ枯れ樹液採集の優れている点は、1本の木で無数の樹液が流れ、地上10M程度の高いところまで餌場が点在しているところです。
私は敬意を込めてご神木と呼んでいますが、条件のいい木では1本の木に20程度のノコ、コクワが付き、スズメガの仲間やキシタバなどの樹液性の蛾が取り付く昆虫パラダイスを拝むことができます。
このような好条件の木がひっそり息を潜めているんです。
しかし毎年同じ場所を定点的に調査する人はいません。
特に1度訪れてドングリを付ける木はあったけどもカブクワがいなかった。ならその場所を訪れることはもうないですよね。
そういったポイントが穴場になっている可能性があります。
初めの1歩は大変だけども、そのハードルは極限まで下がっている!
クワガタ採集は初心者にとって大変です。木、ポイント探し、樹液などに加えスズメバチなどのリスクもあります。
しかし2021年にキクイムシが神奈川に現れることで戦局は大きく変わりました。
それから2年たち、増えた樹液でクワガタの個体数が増えたのかもしれません。今は本当に初心者にとってハードルが下がったタイミングだと思います。
キクイムシは木を枯らします。
そのためこの最高のタイミングは長くは続きません。
ですからクワガタを捕りたいと思っている方は思い立ったが吉日。早速近場の雑木林などに再度足を運んで様子を見てみましょう。黒ずみを発見できたなら素晴らしい夏の体験が待っているかもしれませんよ。
以下はこの日に撮った写真とコメントです。
キクイムシにやられた木は写真のように木屑が出ます。樹液の判別に役立ちます。
1本に数十匹もついていると強力なライトや声の振動でクワガタが落ちてきます。
この日最大の62mmノコギリクワガタ。数が多いとサイズはもちろん色やサイズに対する顎の形などを観察するのも楽しい。
7月中旬以降はカブトムシだらけになりそうな予感。クワガタは7月中旬まで、カブトなら7月中旬~お盆頃まで。
甲虫だらけの樹液は何歳になってもワクワクしますね。