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コナラの木の見分け方。 クヌギやアラカシなどの類似種との見分け方と虫探しのお役立ち情報

夏の2大人気樹木コナラ

夏は昆虫採集の影響でクヌギとコナラが圧倒的人気を誇る時期です。

コナラのドングリ。身近な代表的ドングリ

分かりやすいクヌギに対してちょっと難しいのがコナラです。

今回の記事ではコナラの見分け方を紹介し、カブクワ採集をしたいならば木を見分ける必要がないという新しい視点や、同じく2大巨頭であるクヌギとの見分けなどを紹介します。

なぜコナラを見つけたいのか?

この記事にたどり着いた方はなぜコナラを見分けたいのでしょうか?それはおそらくコナラの樹液にはカブクワが来るからではないかと思います。

クワガタを見つけたいならばより効率的な方法があるので提案しておきます。

2024年現在、初心者がカブクワを神奈川や東京などの都市部で探す場合、最も効率が良いのは樹種関係なく探せるナラ枯れ樹液採集です。
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この探し方はクヌギもコナラも見分けずに親子で簡単に樹液性昆虫を探せる最新の探し方なので、もし樹液に来る虫を見つけたいのであればそちらをご覧ください。

この記事の最初に方法が乗っています。全くの初心者にとってはクヌギやコナラといった特定の樹種を見抜くのが難しいので、下げられるハードルは下げておきましょう。

次からはコナラを見分けたい人向けです。

コナラとは?

コナラはブナ科に所属するいわゆるドングリを付ける植物です。

雑木林の普通種としてよく目にするコナラ

白い樹皮と個体差や成長の度合いにより変化する樹皮の凹凸革質のある葉に細長いドングリと、イマイチ類似種との決め手になる要素が難しい初心者最初の壁と言える樹種です。

一方で雑木林の普通種であり見かける機会が多いことから観察は容易です。

樹木としては広葉樹でありおよそ3月の芽生えから11月の落葉まで幅広い期間に様々な生き物が利用します。

コナラといえばしいたけ。シイタケも里山の産物

クヌギと並んでかつての里山環境の代表的な樹木でした。これはかつて燃料用の木材としてクヌギコナラを育てていたからでそうした森は薪炭林と呼ばれ、樹液性の虫、シイタケなどなど我々の身近なものでした。

一般の方の認知度が非常に高く、サクラと並んで有名な樹木です。

コナラは難しい

まず初心者にコナラは難しいです。クヌギとコナラ2種とも知らないという方はまず分かりやすいクヌギから学びましょう。
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コナラ(左)とクヌギ(右)のドングリ。コナラはドングリだけで決定的な見分けにならない

樹皮、葉、どんぐりなどに唯一の特徴が見られるクヌギに対してコナラはそれ単体で種を特定するのが難しかったりします。

とはいえ類似種の中で特定するのが難しいという話なので、要点さえ押さえられればカブクワの来る木は見分けられますよ。

似たドングリのアラカシ。ややこしいが樹液の虫を探すならどんぐりの木は見分ける必要がない

初心者向きに説明しますとまず雑木林には広葉樹林針葉樹林2者の混じる林があります。

コナラが生えるのは広葉樹林か2者の混じる林ですね。

典型的な針葉樹林。木が直立するのと茶色なのが初心者でも分かりやすい

針葉樹林はスギやヒノキなどが平地の代表種です。

これらの樹木はマツに代表するように葉が細長いという特徴があります。

それ以外にも樹皮が茶色で縦方向に割けていることや、木が上までまっすぐに立ち上がっているなどが針葉樹林として挙げられます。

冬の針葉樹林(左)と右の広葉樹林。雰囲気の違いが分かればまずok

広葉樹林であれば落ち葉などが堆積していると思うので、初心者は探す林を間違えないように木をつけましょう。

樹皮

コナラの樹皮はやや白みを帯びています。

樹皮に白い斑点が出るものも多い。個体差はある

しかし割れるかどうかなどは個体差?によるものも大きいです。

基本的に凹凸は緩やかであり、遠目から白っぽいな?コナラか?と判断する程度のものです。

雑木林では白い雰囲気を持つ樹木というのは多いです。

ザラザラで時にコルク質なものもある。縦割れもある個体が多い

コナラの樹皮は非常に多様で傾向を語ることしかできないのですが、樹皮はザラザラで引っかかる感覚が強い。

大木ではコルク上の凹凸が見られることがある。クヌギのように凹凸が激しいものもあるなどあくまで判断材料の1つとして樹皮を観察した方が良いです。

葉はドングリの仲間とは似ていますが、それ以外の仲間と比べるとおおきくちがいます。

若いコナラの葉。クヌギと比べ葉の特徴が弱く判別に困る

コナラの葉は先端にかけて凹むように湾曲しているのが特徴的です。

柏餅で包まれている葉はカシワというブナ科の植物なのですが、アレもよく見ると葉の先端がぐにゃりと曲がるようになっていますよね。同じ仲間としてコナラにもその特徴が見られるのです。

コナラと似た雰囲気のアラカシ。同様に葉の先端部が柔らかく曲がる特徴がある

ただこれはドングリの仲間に広く見られる特徴の1つであり、例えばアラカシなどのドングリにも同じ症状が見られます。

アラカシに出た樹液。虫を取るのが目的ならドングリまで見分ければok

樹液性昆虫の採集という視点ではドングリの樹木は見分ける必要はありませんので、写真の雰囲気の葉を探してみてください。


ドングリ

ドングリも見分ける上では重要です。

特に似ているコナラとアラカシ。帽子の形が違う

虫を探すうえではドングリがある時点で樹液の虫が来る木ですので安心してください。

ドングリの中でコナラを見分ける場合には形と帽子が重要です。

再度メジャーな2種のドングリ。違いをしっかり覚えておこう

類似種のクヌギとはドングリの形が違います。コナラは細長いのに対し、クヌギは丸いドングリですね。

厄介なのはアラカシやシラカシという樫の仲間です。この2種は葉の雰囲気も似ていますしドングリの形も似ています。

コナラのドングリ(左)とアラカシのドングリ(右)。帽子の違いは明らか

形が似ているならば帽子の姿を見比べてみましょう。樫の仲間は帽子に横線が入っています。一方でコナラはスポンジのような特有のぶつぶつ感が見られます。

要点さえ押さえておけば見分けは簡単ですね。

その他シイの仲間などもありますが、これらはドングリこそ似ているものの葉の雰囲気が違うため見分けられます。

コナラは比較対象に応じた見分けポイントを理解しなければならないので難しいですね。

見分けたら

コナラの見分け方を覚えた後に求める情報は樹液の探し方でしょうか?

ナラ枯れ樹液採集があるとはいえ見分けられるに越したことはありません。雑木林でコナラを見つけたならば次は樹液を探す方法を覚えておきましょう。

生き物で探す方法
怖い印象のスズメバチも6月7月は心強い味方。この時期はおとなしい

雑木林ではコナラやクヌギなどを一生懸命見分けるよりも、我々よりも樹液の先輩であるチョウやスズメバチ、カナブンさんたちに頼った方が効率的な場合が多いです。

具体的には飛んでいる彼ら、もしくは木の周りを飛び回っている彼らを探します。

その子がついている場所が樹液の出ている場所であると考えられますね。

正直なところ人が一生懸命考えるよりも楽というのが答えです。虫の付いている樹液の個所をたくさん覚えて、夜にその場所を訪れてみましょう。

昼にハチが群れていた場所による来れば、クワガタパラダイスが!

きっと簡単にカブクワに遭遇できるはずです。

そんな都合のいい場所をどうやって見つけるんだよ!という方は航空写真を利用して怪しい場所を見つけ出してみましょう。そして下見をしておきましょう。
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臭いで探す

香りで分かる?そんな馬鹿なと思うかもしれませんが、発酵した樹液というのは3~40m位離れていても分かります。

白く発酵した樹液が見つけるべき樹液。強烈な香りが楽しめる夏の風物詩

雑木林を見つけてコナラがありそうであるならばそこを歩いてみるというのはお勧めです。

あるタイミングで甘酒のようなにおいがしてきたら、それに惹かれるようについていきましょう。

香りがすると言うことは相当良質な樹液である可能性が高いです。

夏の道を歩いているとふわりとお酒のような香りが漂っている。発生源をたどる

臭いで探したい場合には樹液の発酵が重要です。発酵には気温と雨が降らないことが重要なので、この記事を読んでいる初心者の方は雨や夕立が続いていない日を選ぶと分かりやすいはずです。

慣れてきたら香りはあまり使わなくなるので、慣れるまでは頼りにしてみてください。

コナラで慣れてきた人は?

クヌギやコナラはバッチリさ。他の種も狙ってみたいなとお考えの方や、採集結構面白いかも?と思った方は他の樹種を利用してカブクワを探してみると楽しいはずですよ。
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例えば河川敷はカブクワが取れる優良スポットですが、探す木はクヌギやコナラではありません。

またより包括的にしっかり学びたいという場合には基礎からがっつり学べるコンテンツを用意していますので、活用してみてください。
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オオクワやヒメオオなどは無理ですが、色んな種類のクワガタ採集に挑戦できるようになりますよ。