最も目にする黒いクワガタ
人気の昆虫カテゴリーであるクワガタムシの中でももっとも普通に目にする種類がコクワガタです。
日頃昆虫採集しない方からすると見つけるのは大変なように感じますが、要点さえ押さえてしまえば見つける難易度はとても低いクワガタです。
コクワガタの生態などを理解することで捕まえる可能性をかなり上げることが可能です。
やみくもに探すのではなく、なぜそこにいるのか?を掘り下げた一つ進んだ昆虫採集に挑んでみましょう。
コクワガタとは?
コクワガタは体長1㎝~5㎝程の小型のクワガタです。
黒味が強く平たいのが特徴で、ヒラタクワガタやオオクワガタなどの人気のクワガタと同じ仲間です。
オスにはサイズに応じた顎があり、真ん中あたりに牙のような突起が1つと先端にフックのような牙があります。(内歯)
サイズによりこの顎の形が異なり、小さいものと大きいものでは別種のような印象を受けます。
♂の顎は樹液を取り合うための武器でもあり、交尾をした後に♀を守るためのものでもあります。(メイトガード)
この顎の大きさは幼虫期の餌資源量によって決まっており、たくさんの餌を長期間食べられればサイズも大型になりやすいです。
自然界での♂は54㎜のものがギネス認定されています。50㎜以上の個体に出会えることはほとんどありません。
平地~山地のあらゆる箇所で見られる普通種のクワガタです。利用する木々もクヌギやコナラなどの雑木林の定番種から河川敷のクルミ、山地のカエデ類などなど非常に幅広いです、
♀には大きな顎はありませんが代わりに短い強力なあごをもちます。
カブトムシとは異なり朽木を利用する性質があります。♀の顎はこの朽木を砕き、産卵するためのものです。そのため、このクワガタの出現は朽木に依存しています。
産卵樹種は広葉樹であれば幅広く利用します。そのため発生の条件がそろえば街中などでも姿を見ることが可能です。
時期について
採集における最重要事項が時期です。
コクワガタはミヤマクワガタやノコギリクワガタなどの大型種と比べると寿命も長く、活動期間も長いクワガタです。
もしこのクワガタを捕まえたいならば梅雨明け前の頃合いがベストでしょう。
この時期は採集歴の浅い親子はまず採集しておらず、ベテラン採集者はコクワガタなどは目にしないのでとても捕まえやすい時期です。
7月以降になると平地では業者による乱獲や親子による乱獲が始まるため、慣れた人でも成果を上げにくくなります。
私自身そうした乱獲する人間を多数見ており、これらの人々の活動時期が7月上旬でした。クワガタ自体は5月下旬からいるのでそこで差を付けましょう。
越冬を行うコクワガタは活動も早く、4月の暖かい日から樹液で観察できることがあります。
個体数を安定して見られるようになるのは5月の中頃からであり、この時期であれば夜の樹液ポイントを押さえておけばライバルも少ない採取ができます。
5月下旬になると本格的にシーズンに入り、あらゆる木々の樹液で目にすることができます。
コクワガタのピークはおおよそ7月中旬ごろまでがおススメのタイミングで、それ以降も安定して9月上旬ごろまでは姿を見られます。
夜の気温が下がると次第に姿を減らしていきますが、10月中ぐらいまで姿を確認しています。
環境について
コクワガタの出現は非常に幅広いエリアで見られます。
具体的には雑木林、山地、河川敷の3種の環境で目にしますが、規模の小さい雑木林でも十分捕まえられます。
神社や公園などの環境も実はよくいる場所で、植林されるドングリの木にもついています。
コクワガタは臆病なクワガタであり、隠れる場所がとても好きなクワガタです。木の洞や樹皮のめくれ、樹名板などの裏などあらゆる隠れられる場所に潜伏しています。
多くの方がこれらを剝がしてしまうのですが、剥がすということは後続の隠れ家がなくなるということです。
自然を利用させてもらっているという気持ちを持ち、破壊するような行動はとらないことをルールとしてしっかり理解した人のみが採集するようにしてください。
雑木林
昔ながらのクヌギコナラ林があればコクワガタは生息していると考えて大丈夫です。
昨今の日本ではドングリをつけるブナ科樹木を専門で攻撃するカシノナガキクイムシによるナラ枯れにより、小規模の雑木林であっても多量の樹液が供給されています。
これにより関東圏ではまたとない採取のチャンスが訪れていると言えるでしょう。
木々の種類やナラ枯れを知りたい方は別記事ですがご一読ください。
山地
雑木林などと比べると木の種類も本数も圧倒的に多く、良い条件の木を見つけるのに苦労します。
初心者はクワガタは山でとるものだと考えがちですが、難易度はむしろ高いです。見る樹木は平地と変わらずクヌギやコナラ、慣れた人ならば他のカシやシイ類のドングリの木を探すことで効率よく探せます。
平地の雑木林や河川敷などで成果を上げられるようになった人向けです。
河川敷
初心者向きです。河川敷は意外な穴場ポイントであり、主に初夏頃~のクワガタシーズン本格化前であればライバルもかなり少ないポイントです。
山地と異なり探すべき樹木がクルミとヤナギに絞られているのもいい点で、2種の樹木は葉の形が特徴的であることも相まってかなり効率よく成果を上げられます。
なぜ河川敷なのか?という点は彼らの生態を想像すれば分かりやすいです。朽木に産卵するクワガタは上流から木々が流れて安定的に木が供給される河川敷に集まりやすいんですね。
神社や公園
まず神社は意外な穴場であることが多いです。
前提として神社のような場所では網などは使わないほうが良いと思います。
神社は薄暗い環境であることが多いです。そうした環境に適性のある樹種にカシの木が挙げられ、シラカシやアラカシが植えられていることはかなり多いです。
この木がキクイムシやカミキリムシに攻撃されると良質な樹液が流れて穴場になっているケースがあります。
公園においても同様でクヌギやコナラ、カシやシイの木が植えられていることはかなり多いです。
公園のような生物多様性が単一化している場所では以前はカミキリムシ類も少なく樹液の流出がありませんでした。しかしその影響を受けないキクイムシが現れたことで樹液が流れ、ここ数年はあらゆる公園でクワガタ類の大量発生を目にしますね。
探し方について
基本的な探し方を紹介していきます。主に樹液で対象を目で見て探すルッキング採集と外灯に飛来する個体を捕まえる外灯採集があります。
樹液
王道的な採集方法です。
発酵した樹液を見つけ出し、それに来ているクワガタを捕まえるという誰しも一度は体験したい採集方法です。
コクワガタに関しては他の採集ライバルがいないという前提条件の下であれば日没開始直後~夜明けまで普通に目にします。
おススメは日没直後ですね。特に夜間は隠れ家から出てきて活発に樹液に張り付くので、コクワガタの生態を理解していなくても簡単に見つけられます。
しかし実際に初心者がやろうとすると大変な方法です。
理由として
1,雑木林でクヌギやコナラなどの木々が分からない
2,コクワガタの生態的な特徴を理解していないので見つけられない
3,そもそも生息している場所を見つけられない
などの問題が生じてくるはずです。
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樹液編
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場所の見つけ方編
これに関してはここでは述べませんがそれぞれ対応した記事がありますので、自身の悩みに応じて活用してみてください。
要点さえ押さえれば樹液採集はとても簡単にできます。
外灯採集
関東近辺では運の要素もかなり強い採集方法です。
樹液よりも楽に捕まえられることもあれば成果が挙げられないこともあります。
月齢や風速、天気などの環境要因を予測することが必要不可欠であり、虫の知識が試される採集方法です。
具体的には発生初期~ピークの間に外灯の明かりに飛んできやすいので、6月~7月中旬程度の時期に外灯周りをするとよいでしょう。
風は無風に近ければ近いほどよく、月は隠れているほど良いです。
神奈川東京エリアであれば高尾山が外灯採集のやりやすい場所で、入門としてお勧めです。クワガタ以外の副産物も多く楽しめるでしょう。
自然の外灯が無い場合は自分で用意する必要があり、手間とお金もかかる手法です。
樹種について
クヌギやコナラを見ていくのも良いですが、真夏の時期などはそれだけでは取れません。
それ以外にやってくるカシやシイなどの樹木、河川敷のクルミ、ヤナギなどは絶対に覚えておきたいものです。
クワガタたちは人気なので、夏のピークシーズンとなると人気の場所やwebで情報が出ているような場所ではまず捕まえられません。
自分自身でポイントを開拓することが結局一番の近道になります。
コクワガタの難易度
この記事と記事についている情報をしっかり理解すればもう知識としては十分です。
あとは実際の現場に出て虫を見る目を鍛えたりしていけばコクワガタやノコギリクワガタなどのクワガタには出会えるでしょう。
難易度としては低い種類なので、コクワガタを最初のステップとして次のクワガタを狙ってみてください。
捕まえたらサイズを測定してかわいがろう
せっかくコクワガタを捕まえられたならサイズを測定してみましょう。
前述の通りコクワガタはサイズ幅がとても広いクワガタです。44㎜以上のコクワガタを捕まえたならずいぶん立派なものを捕まえたものです。さらに大きな個体を目指していきましょう。
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関東圏でクワガタ採集をしたいならばミヤマを取りたい方も多いのでは?コクワガタの探し方を適切な山地で行えば十分とれます。
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河川敷では相模川、多摩川、金目川などなどあらゆる場所で採集が可能です。
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そもそも採集の基礎がわからない方におすすめの記事です。
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夜間採集の必需品、ライトでお困りでしたらぜひ