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ノコギリクワガタ採集に挑戦してみよう。「水牛」と呼ばれる人気クワガタの探し方。

ノコギリクワガタを見たいなら

中型の大きさのノコギリクワガタ。よく見かけるサイズ感

特有の赤み掛かった色合いと水牛の名で知られるグワッと曲がった角から圧倒的な人気を誇るノコギリクワガタ。

初心者の方は壁を感じるかもしれませんが、要点さえ押さえておけばコクワガタなどと同じレベルで遭遇できる平地の代表的なクワガタです。

夏に向けて人気クワガタとの出会い方を紹介します。

ノコギリクワガタとは

ノコギリクワガタはおよそ3㎝~7㎝程の大きさを持つ大型のクワガタです。

都市部の町中で発見したノコギリ。やや緑があれば十分観察できる

赤色の強いクワガタであり、クワガタ自身のサイズにもよりますが大型のものでは水牛と呼ばれるかっこいい姿をしています。

この姿のものは子供たちから圧倒的な人気を持ちます。

成虫はおよそ6月上旬ごろから出現し、8月中旬ごろまで探すことができます。

早いと5月中にも出てくる。ピークは6月中なのでその時期がベスト

山地の印象が強いかもしれませんが平地のクワガタで、個体数もそれなりに多いです。

広葉樹の樹液によく訪れ、山地ではクヌギ、コナラ、カシの木、シイの木などのブナ科樹木や、イタヤカエデなどのモミジの仲間で目にすることが多いです。

河川敷ではヤナギやクルミなどに普通についています。

河川敷のクルミにいたノコの♀。ヒラタかと思った

♀も赤みが強いものが多いのですが、たまに黒い個体がおり、河川敷では遠目で見るとヒラタの♀と間違えることがあります。

クワガタ採集に関する基礎知識を理解していれば苦労することなく遭遇することができます。

採集場所について

クワガタ採集においては自身の力で採集ポイントを開拓する必要があります。

探し方さえ分かれば樹液には簡単に出会える

もしネット上に名が出ているような環境に足を運んでも同じような考えの人が来ているので成果は上げられないでしょう。

クワガタ採集の基本は採集地の選定下見の2点が大事で、これにプラスして自身の採集経験や樹液の出る木の探し方、見分け方、採集時期などの要素が関わってきます。

採集地の選定というのは都市部であればグーグルMAPなどで緑のあるところを探してみたり、河川敷を中心にポイントを探ってみるのがおすすめです。

山の中の無数の木の中から樹液の出る木をピンポイントで見抜くのは大変

特に初心者は植物の違いが分からないはずです。であるならば無数の植物が生えている山地よりも植生が偏りがちな河川敷を選ぶのが無難です。

河川敷はクワガタが見られる要素になる発生木とその供給、樹液の発生などの条件が整っており、夏場にアホみたいに熱いことを除けばとても理想的な採集環境です。

河川敷のクルミはとにかく丸い実が分かりやすい。似た植物もない、数も多い。

特にオニグルミとヤナギだけ見ればよいというのが優しいです。河川敷に生える植物というのは母数が少ないので、慣れてくれば木の輪郭を見るだけでも樹種の判断ができます。

エリアを選んだならば私的には下見を推奨します。

MAPだけでは下草の高さやコンビニ、トイレの事情、樹液の雰囲気など分かりません。

確実に成果を上げたいならば昼間に一度訪れておきましょう。スズメバチやマムシ、マダニなどの出現しそうな環境なども予測することができ、結果的に安全に繋がります。

危険生物のいそうな雰囲気を事前に調べておくのはめちゃくちゃ重要

下見では危険な対象の出現しそうな場所と樹液を好んで訪れる虫の2点を集中的に観察してください。

危険な対象はスズメバチ、マムシ、マダニはおおよそどこの地域でも最優先事項で、標高のある土地や水の綺麗な土地ではアブやブヨ、動物密度が高い場所ではヤマビルへの注意も必要です。


樹液を訪れる虫については神奈川の平地をベースに考えますと、ヒカゲチョウやサトキマダラヒカゲ、カナブンの仲間やスズメバチを探します。

王道のカナブンを探す。カナブンがいる樹液をとにかく覚えるのが下見

こうした樹液を好む虫が昼間についている場所には夜にクワガタが来ますので、樹液性の虫をしっかりと覚えておいてください。

見る樹木について

山地や河川敷、どこで採集していくのかにもよりますが覚えておいて欲しい木々というのは決まっています。
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平地のもので特に初心者については分かりやすい記事でまとめてあるのでそちらを読むのが速いと思います。

樹液関連はこれでバッチリになります。

採集時期について

ノコギリクワガタは平地でとても人気のある昆虫です。本来は6月中旬~7月下旬ごろまで目にしますが、都市部での採集は7月中旬以降なかなか厳しい印象です。

6月下旬の人が来ない雑木林ではこんなパラダイスがあることも

なので採集したい方は6月下旬頃を目安に採集を行いましょう。平地においてはこの時期が最も個体数を見られると思います。

カブトムシを軸に7月下旬ごろに採集を行う方も多いかと思われますが、クワガタについてはやや遅い時期です。

都市部における採集時期は樹液の出る木以上に重要なキーポイントになると思います。

しっかりとクワガタのピークを押さえて採集を行いましょう。

水牛ノコギリクワガタとは?

水牛というのは愛称のようなものです。

至高の姿。何度見ても目を引かれてしまう艶感

一般的には大歯(だいし)という大型の個体が持つ顎のことを指しています。

およそ50㎜を超える個体からこの水牛型が見られ始め、55㎜を超えればほとんどが水牛型であると思われます。

子供たちのあこがれの存在ですね。

一方で顎の形には多くの種類が見られます。

ノコギリの小歯型。小さいものの挟まれると本当に痛いうえ、気性も荒い

ノコギリに限らずとも小歯(しょうし)、中歯(ちゅうし)といった顎の違いが見られます。

この点がとても面白く、大歯型の小さいサイズだとか中歯なのにやたら体長が大きいだとかの違いが楽しめます。

採集方法について

樹液採集

王道の採集です。前述した樹液の出る木を見分けて夜そこに来る昆虫を捕まえます。

樹木に染み出す樹液の後を追うことで見つけられる。ライトの性能差が出る

樹液の出る木とそれを利用する虫さえわかれば誰でも楽しむことができます。

一方で理解するためには座学が必要なので、初心者は苦労するかもしれません。樹液採集では樹液の出ている箇所に加えてそれ以外で休んでいる個体や枝先に飛来した個体などを見逃さないように隅々までしっかりとその木にいるつもりで探す必要があります。

丁寧な観察と下見が十分であるならばノコギリの捕獲には苦労しないはずです。

外灯採集

ノコギリは平地ではあまり外灯に来ている印象がありません。

外灯採集できる場所は山地寄りに多い。近場では高尾

都市部の外灯はLED化も進んでいるため、個体数が多いなどの理由がない限りあまり見ることができません。一方で紫外線ライトなどのライトトラップや昔ながらの白色灯にはぼちぼち来ているという印象です。

都市部ではあまりお勧めできない採集方法です。樹液に集中しましょう。

蹴り採集

ノコギリ採集でとてもおすすめできる採集方法です。

上寄りにノコギリがいる一枚。太い木であっても蹴れば落ちてくることがある

クワガタはカラスなどの天敵から逃げるために衝撃を受けると体を硬直させて落下するという行動を取ります。

甲虫の多くに見られるこの行動を逆手に取り、樹液の出ている木をまず丁寧に見てから蹴りを加えましょう。

蹴りは公園などの樹木では傷つける行為とみなされる場合もあります。なので河川敷などのエリアでやるのがおすすめです。
2発ほど蹴って落ちてこなければ別の木を蹴りましょう。結構落ちてきます。

まとめ

ノコギリクワガタを捕まえたい場合には初心者ならば河川敷を中心に探していくのがおすすめです。

執筆時は2月だが、情報収集は早ければ早いほどいい。

理由は見る木が少なくて済むからという点と蹴り採集を行いやすいからです。

そして採集時期を真夏の7月下旬ではなく、6月下旬~7月中旬ごろに設定すればノコギリクワガタは取れたようなものです。あまりに簡単に出会えてびっくりしてしまうかもしれません。

今回の記事ではノコギリクワガタ採集の基礎的な部分だけを紹介しました。

より包括的に網羅した記事もありますので、もっと知りたい、成果を確実に上げたい場合には利用してみてください。
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東京神奈川でクワガタ採集をしたい方へのあらゆる内容を網羅した記事です。非常に長いですが、高標高地のクワガタを除いて採集できるようになります。プラットフォームとして活用してください。

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王道採集方法の外灯採集について初心者でも成果を上げるようまとめています。

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樹液採集についてはこの記事からどうぞ。
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神奈川だけならば神奈川在住の私がクワガタ情報を集めたこの記事がおすすめです。