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神奈川のクワガタ採集事情。宮ヶ瀬や愛川など山地のミヤマと河川沿いのヒラタクワガタ。平地のシラカシでコクワやノコギリ。

神奈川のクワガタ探しは難しい?


クワガタには種により難易度があります。地域によっても出会いやすさが変わり、その出現傾向を知ることで成果の上げやすさはガラリと変わります。

今回は神奈川県における夏に人気のカブクワたちの採集方法と、実際に採集した経験に基づく種類による難易度を説明します。

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採集前に安全面の確保や網の種類、使い方などを理解しておくのがおすすめです。

まずは入門のコクワガタ


まずはこの種から探しましょう。

相模原、町田、海老名、平塚、更には境川や相模川などの河川敷など木があればどこでも出会えるくらいたくさん遭遇できます。


コクワガタを満足に探せないのであれば、カブクワ探しの基礎知識が足りていないと考えるべきでしょう。
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このブログではクワガタに関する初心者が成果を上げる情報をまとめています。座学は必要ですが、成果を挙げている私が実践している思考法などを言語化しています。自身で捕まえたければぜひ。


コクワガタはちょっとしたクヌギコナラの林があれば姿を見られる位には普通種で、付く樹木の幅も広く、町中の公園などでも十分姿を見ることができるありがたいクワガタです。

数を見れるからこそ個体差を楽しめ、私も毎年野外の最大種と最小種を探すことを楽しみにコクワガタを愛でています。

ひとえに樹液に集まると言っても大型のノコギリクワガタとは異なり、樹皮のめくれやうろを好むなどクワガタは種類により性質が違います。

コクワガタは隠れるのが大好きなクワガタなので、めくれや樹液が流れる木の溝、樹皮の隙間などに潜んでいることが多いです。

これらを破壊することはクワガタの減少を引き起こすので絶対にやめましょう。

樹液の探し方さえ覚えておけばどこでも容易に出会えるとてもいいクワガタです。活動時期が5月~10月と長いのもいいですね。
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各種の詳細は別記事の形になりますが大ボリュームでお伝えしています。入門種のコクワの要点さえ押さえればノコギリ、カブトを探せるので、知識としてぜひ抑えておいてください!

ノコギリクワガタはコクワと同レベル


神奈川でノコギリクワガタは難しいとみなす方もいるかも知れません。

しかし樹液採集の現場に出ればコクワガタとさほど変わらない遭遇率で出会えるのがノコギリクワガタです。

今年は特に多いようで、私の地域ではコクワガタよりもよく目にします。

つまりコクワガタを見つけられるようになると自然とノコギリクワガタにも遭遇できます。特に難しいことは必要ありません。

神奈川の相模原、町田、本厚木や平塚、横須賀、河川沿いなどほぼコクワと変わらない条件、同じ木で遭遇できています。

昼間でも遭遇しやすい分コクワより目につくかもしれません。
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やはり必要なのは樹液採集の基礎知識です。それさえ覚えておけば苦労はしないはずです。強いて言うならばカブトムシが本格的に出てくる7月中旬以前に探すのがいいでしょう。
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個別はこちら。

カブトムシは場所によっては難しい


カブトムシは腐葉土環境に依存しているため、人が管理しているような場所に現れます。

すなわち自然度の高い場所よりは公園などの落ち葉をためて腐葉土化しているような場所で見られます。

公園や雑木林、緑地などにこういった腐葉土置き場があるか確認するとカブトムシが出るか分かります。

特に平地の雑木林や緑地などにおいてはコクワ、ノコギリを探していると普通に見られます。山地ではやや難しいかもしれません。

昔から人里に生息している虫です。身近な公園などでは場所によっては採集が禁止されている所もあるので注意しましょう。
また、カブトは昼間に見かけることも結構多いです。昼間に樹液の場所を探していると見つかることも多いです。

ただしクワガタとは時期が違い、7月初旬中旬以降から非常によく目にするのでタイミングには気をつけましょう。

ここで上3種が簡単に見つかる?嘘だろう?とお思いの方へ

基本3種の夏の甲虫の探し方を紹介しました。しかし、会えないから苦労してるんだよ!と思われた方もいることでしょう。

そんな方へのシンプルな解決策はこれです。

樹液を探さずスズメバチを探せ。
御存知の通りクワガタは夜行性です。では夜クワガタが来る樹液に昼誰が訪れているかというとスズメバチなやカナブンです。

危険すぎる印象から見かけたら逃げろという過剰反応を示す方も多いスズメバチですが、私などはむしろハチがいたらそのハチがどこの木に向かうか追いかけます。

そして樹液の場所を虫に教えてもらい、日が落ちてからそこを訪れるわけです。樹液採集の基礎ではありますが、ここを抑えておけば上3種には本当に簡単に出会えます。

ちなみに獰猛な印象が強いですが、6,7月辺りはまだ大人しいので近づきすぎなければ大丈夫です。

採集圧を気にせよ

アクセスしやすい、カブクワ情報が出ている。

そんな場所にばかりアクセスしていませんか?それでは夏休みの他の親子も考えていることは同じです。
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例えばクヌギコナラ以外の樹木は分かりやすい差別化要素です。

成果を上げるためには基本的な探し方を覚え、自ら開拓していく必要があるのです。このサイトをぜひ活用してみてください。


続いて神奈川難関種の紹介をします。

ミヤマクワガタはエリアの選定と試行回数が必要


神奈川におけるギリギリ手の届く難易度のラインがミヤマクワガタです。

簡単には捕まえられず、しかしエリアなどの要点を抑えておけば出会える可能性は十分あります。

箱根や丹沢の上などに行かないと取れないと思われていますが、県西部の宮ヶ瀬エリア(田代程度から記録あり)、道志付近のエリアと横須賀、葉山~観音崎あたりのエリアにかけて記録があります。

私は西部側のみですが、体感として標高は必要ありません。広い森があれば生息しているという印象です。

楽に探したいなら該当エリアの街灯探しなどでも数は少なくとも根気強く足を運べば採集できると思われます。LEDは集まりにくいですが、集まらないわけではありません。

また、昆虫採集は禁止ですが宮ヶ瀬湖畔園地の当たりは観察に適しています。

しかし見つけようと思うと大変です。

イタヤカエデやヤマハンノキなど、平地のクワガタ採集では見かけない樹木を探す必要があるからです。

もちろんクヌギコナラにもいるのですが、神奈川西部でミヤマ探しを行いたい人はイタヤカエデとヤマハンノキの2種は覚えておくべきです。

ミヤマは湿度のある涼しい環境を好み、そういった環境に生えるのがこの2種です。樹液探しの基礎と山地の樹木を覚えれば、後は試行回数次第で成果を挙げられると思います。
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捕まえるのが目的なら高尾山のが可能性はあります。

神奈川難関種ヒラタクワガタ


神奈川における高地性クワガタを除いた中で最も難しいのがヒラタクワガタです。安定した産地がなく、1匹目の遭遇には相当苦労するはずです。

写真は県央付近で過去に遭遇した54mmのヒラタクワガタですが、細々と大型個体が潜んでいる知られざる場所が点在している感じです。

神奈川においては相模川流域がとても有名で、2019年の台風で場は荒れましたが2023年に訪れた感じ生息していそうな気配は感じます。
個体数は少なく、藪こぎやうろの掻き出しが必要になるので手間もかかります。

更にいうと河川敷ではオニグルミやヤナギといった雑木林のクワガタ採集と違う木を見る必要があるので初心者にはハードルが高く感じるかもしれません。一方で河川敷ではヒラタ以外にも多くのクワガタに出会えるので、ヒラタというビッグチャンスがある分楽しかったりもします。
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ヒラタクワガタは県のレッドデータにおいて2B類にいます。レッドデータにいるのは他はオオクワガタくらいです。

このことからも遭遇難易度の高さが伺えます。

小粒を狙うなら県内の河川敷で、大型を狙うならば情報の出ていない良い条件の木を1から探していくことになり、いいサイズのものを捕まえるのは非常に困難です。

しかし私は実際にこんな大型のヒラタクワガタを取ったことがあるため、希望がないというわけでなはいことを証明しておきます。

この個体は河川敷ではありませんが、現実的に狙うなら県内の河川敷を狙ってみるのがおすすめです。

個体数は少なく発生も局所的なようで、一度あたりのポイントを見つけて洞などから出すと別の日には他のヒラタが入っている事がありました。

同日に数匹のヒラタを見つけたポイントもあります。局所的なポイントをどのようにして見つけるかが重要です。

はっきりと伝えられることは湿度のある環境ということです。川沿い、地下水が多く湿潤な雑木林など過去の経験からヒラタと湿度は必ず関係があります。

その他神奈川ではスジクワガタやヒメオオクワガタなどのクワガタが存在しています。今回は比較的よく知られている種類にスポットを当てて神奈川における実際に採取した経験に基づいた現状の情報をお届けしました。これから夏に向けて参考にしてみてください。

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採取の際にはスズメバチなどの危険昆虫への理解と対策が必要です。

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こちらは神奈川では取りずらいアカアシ、取れないネブトの高尾山での採集記です。ミヤマ採集と合わせてどうぞ。

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採集ではマダニに注意してください。草地では対策必須です。理解しておきましょう。
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ここには載ってないオオクワを取ってみたいという方は県外の自然豊かな地へぜひ。有名な魚沼でのクワガタ採集編です。

これから採集する方は基礎的な部分もぜひ