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クワガタやカブトムシは夜行性なのか?昼間でも捕まえられるルッキング採集で捕まえよう

カブクワは夜だけでなく昼間も見つけられる

昼間に捕まえたノコギリクワガタ。コツさえ掴めば昼でも取ることは十分可能

カブクワは夜捕まえるものであるという認識をしている方は多いと思います。もしくは早朝に捕まえるですね。

一方で真昼間でも捕まえることが可能であるということを知らない方もいるのではないかと思います。

今回は昼間に使えるルッキング採集を紹介し、成果を上げるためにどのように探していくのか?という点を紹介していきます。

夏に向けて必見の記事です。

クワガタは夜行性?昼間は取れる?

まず事実としてクワガタは夜行性です。

積極的に行動しているのは圧倒的に夜

夜の方が活発に行動し、姿を見せている個体数も圧倒的に多いです。

加えてクワガタ類は朝方、日が昇り始めると木や樹液から降りていくなどの明確な忌避行動を取ります。

これは夜明けとともに天敵であるカラスなどが活発に活動を始めるからではないかと個人的に推測しています。

夏の外灯周辺で朝になるとカラスがガヤガヤしているのはおそらく虫を食べている

つまりは夜に探す方が採集効率はいいです。

一方で昼ならば採れないのか?と問われれば答えはNOです。 

樹液の摂取が足りない個体や忌避的な感覚が鈍い個体、隠れ家として樹上や幹、枝の隙間などを選んだ個体が潜んでいる場合は多いです。

今回紹介する昼間の採集方法、ルッキングと蹴りを組み合わせれば昼間でも成果は全然挙げられます。むしろこれらは昼の方でこそ成果を発揮する採集方法です。


また、採集者が多い平地や都市部のエリアであれば、夜の採集におけるライバルとの競合が強烈なので昼間の方が取れたりする場所というのもあります。

もし夜に採集をして成果を上げられないならば、他の人がしていない昼間に探してみるというのはいい手です。



ルッキング採集とは

ルッキングとたいそうなかっこいい名前がついていますが、要は木々を見ていく(look)採集方法です。

木についているクワガタを目視していく。つまりクワガタの生態を知るほど有利

樹液や樹種などを見分ける前提知識が必要で、採集者の経験値がかなり現れる採集方法です。

具体的には樹液の出ている木々を根元から枝先までしっかり確認していく。

という単純なものなのですが、例えば過去の採集経験から付きやすい部位、隠れやすい部位の傾向などのデータがあるか無いかで成果の上がり具合が全く異なります。

採集の経験値があるといそうなセンサーが働く。初心者はそれを鍛えるために座学が必要となる

私は親子向けカブクワイベントの主催を経験しており、夏にカブクワを対象にしてご家族を案内するとほとんどの場合見つけるのは私です。

木のどこかにいますよとアプローチしても見つからない場合も多く、経験値的な部分というのはかなり大きく出てしまいます。

初心者はまず捕まえるクワガタの種類や色の変異、大きさや木についているときの雰囲気などを押さえておくことをお勧めします。

これは何クワガタの死骸でしょうか? 

ノコギリクワガタを想像してくださいと言われてその姿や色が思い浮かばない段階でルッキングをすると、木にいてもおそらく分かりません。(写真はノコギリの中サイズの死骸)

探す対象をしっかりと認識してからルッキングに挑むようにしてください。
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どんなクワガタがいるのか?についてはこちらで写真とともに紹介しています。
神奈川ならばそのまま情報も使えます。

これもノコギリクワガタ。

特にクワガタはサイズによって顎の形が違う特徴もあります。
大顎ばかり探していると認識していないちびサイズを見逃したりします。




探し方ですが、執念です。樹液の出るいい木を見つけたらその木に絶対いると思って探してください。

写真だと簡単なのですが、どこかにカナブンがいます。

クワガタは薄いのと、木についていると樹皮に似ていること、そして前述の姿があまり分かっていない問題により虫探しに慣れていない方の目を見事に欺いています。

スズメバチは樹液に来る。つまり樹液があるとスズメバチがいる。

まずはスズメバチなどを頼りに樹液自体を見ます。その後樹液の周囲~枝先の休めそうな所まで隅々まで見ましょう。

細い枝先まで見ていくと虫が結構いることに気がつくはず

私的なプロセスを述べると 樹種の判断→幹の虫の有無を確認→樹液周辺の確認→樹液周りの確認→根元から幹の確認→枝先にかけての枝の確認→蹴りという感じです。複雑ですね。

枝先は見れる範囲全てで行うため時間もかかります。


蹴り採集に関しては詳細なものがあります。昼間探すなら抑えておきましょう。
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ルッキングは最初は大変ですが、経験値が積みあがっていくと無意識にやるようになってきます。

しかし筆者のように樹種も分からないし、樹液だって分からないというのが初心者の切実な悩みのはずです。そこで昼間採集に役立つ当ブログの記事を貼っておきますので、分からない場合には活用してください。(次のトピックです)


成果を上げるために覚えておきたい項目

ルッキングの段階に入る初心者にはいくつか覚えておきたいものがあります。

樹液

樹液はどの採集方法でも重要となる基本の要素です。
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初心者にとっては判別が難しいポイントとなるかと思います。樹液の探し方などについてはリンク記事最初の初心者向け(ナラ枯れ樹液採集)のものを参考にしてください。
分からない場合にはスズメバチなど樹液性の虫を探すのが効率的です。


詳細は別記事に任せてここではルッキングにおいてはなぜ樹液が重要となるかを説明します。夜行性の通りクワガタは夜に活発に行動します。お目当ては樹液ですよね。

なので必然的に樹液に来る木にいる可能性が高くなります。そして日が昇ってくるとクワガタは身を隠す行動を取ります。

地面に落ちたクワガタは即座に落ち葉の下に逃げようとする。また、光と逆方向に逃げる

例えば地面に潜る、樹皮の隙間に隠れる、幹の影に隠れる、葉の影に隠れるなどです。

木の上に残る選択をした個体は当然夜樹液を食べていた木にいることが多いので、ルッキングにおいても樹液の出る木を見ていくのが重要となります。

当ブログおなじみのノコギリクワガタ探しクイズ。実際はエリアも決められてない木で見つけないといけない

もちろん樹液にそのままいるケースというのも多々あります。特に都市部の平地ではいかに他の人が見なさそうな所まで探したか?というのは重要です。

樹種

昼間探していくうえでは幅広い樹木を見ていくことが可能です。

このうちおすすめなのがクヌギ、コナラ、カシ類です。いずれも近場の普通種としてあらゆるところで目にします。
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河川敷ではクルミやヤナギですね。

どの種も重要種として個別記事を用意してあります。
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自身がどこで採集したいのか、どんな種類を取りたいのかに応じてみるべき木も変わってきますのでしっかり何を捕まえたいのか事前に決めておきましょう。

初心者へのおススメはコクワガタ、ノコギリクワガタ、カブトムシです。

これらは前述の全ての樹種にて採集が可能です。

探す場所の選定方法

種類を決めたら場所の選定ですね。初心者はグーグルマップの航空写真を使って怪しい場所を発見しましょう。
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MAP利用はかなりおすすめな方法なのでクワガタ採集したい方は覚えておきましょう。

昼間採集の注意点

昼間ならではの危険があります。事前に押さえておきましょう。

スズメバチ

昼間の採集を避ける方が多い理由です。

一番出会う虫になるはずです。過剰に恐れず適度に恐れる必要があります。舐めてはいけません。

昼間の樹液はカブトムシも逃げ出すほどのスズメバチ天下です。

遭遇率は間違いなく100%なので注意してください。しかし夏の時期のスズメバチは比較的おとなしいです。

過剰反応して手を振り払ったりする方が危険なのは意識しておきましょう。

対策としては肌の露出を可能な限り分けます。首にタオルを巻いて服内部への侵入を防ぐ、帽子で頭をガード辺りはしておいてください。

近くで撮影していると段々慣れてくる。服などの隙間に事故で侵入されないよう隙間を埋めておくのがコツ

私的にはこの時期の大人しいスズメバチを利用してスズメバチという存在に対する免疫を付けた方がいいと思います。

木々を飛び回っているスズメバチから逃げるのではなく、ちょっと観察してみるのです。

虫慣れしていない方は過剰反応しすぎています。

とにかくこちらから攻撃する行動をしなければ大丈夫

推奨はしませんが私は樹液に来ているものは1m程度までなら安全圏だと思っています。それを利用してブーンという音に手が出ないよう慣らします。

また、ワーストシナリオとして刺される可能性を考慮しておいてください。

これは根性を見せろという話ではなくリスク管理の話です。

それを見越してポイズンリムーバーやムヒあたりの軟膏があると安心です。

今は衝撃を加えて瞬間冷却できるようなアイテムもあります。冷やし効果はハチ毒の周りを遅くさせる効果があるので、常備しておいて損はありませんね。

熱すぎる

ハチよりよっぽど危険です。河川敷で急に倒れたりしたら助けは来ないと思った方がいいです。

一番危ないのは熱中症。休憩と水分は多めに取ること。エネルギー摂取も多めに

帽子は必ずつけましょう。体感温度がかなり違います。

また、水分は多いくらいで構いません。エネルギー補給用の軽い食品も欲しいですが、保冷材などとセットでないと溶けます。

私は保冷剤を1つずつタオルで巻いてそれを2~3セットまとめて持っていきます。ともに冷やしあうため長持ちしますしそれくらいしてでも涼しい飲み物とカロリー摂取が欲しくなります。

カメラを持っていると保冷剤と外気で結露しそうなので昼の採集は諦めた

冗談抜きで昼間の河川敷辺りは笑えないので、覚悟はしてください。その代わり取れる可能性はあります。

夏の外で、ハチやマムシなど集中力を使う場合には15分に1度程度の高頻度で休憩することをお勧めします。

塩分の含まれる飲料やタブレットも利用しましょう。

昼間の採集で使えるルッキングを紹介しました。暑さだけが天敵ですが、この暑さも夏らしさと言えます。
夜の採集とは異なる楽しみも多いので熱中症対策だけはしっかりして挑んでください。

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初心者が成果を上げるための採集の基礎知識をまとめてあります。どこに行けば取れる?というような内容ではありませんが、これを理解すれば自力で全国どこでも採集できるようになるはずです。
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その他採集の記事などを読んで感覚を掴んでおくのも役に立つと思います。夜の高尾ですが。