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春に見られる白いお花12選 身近な山野草を観察してみよう

春の白いお花はたくさん!

白のお花はいよいよ春の到来を感じさせてくれる

春は白と黄色のお花が多い季節です。種数の多い植物は図鑑とにらめっこしても分からないものも多いですよね。

今回の記事では身近な場所を歩いていると目にする白いお花を紹介していきます。

花の雰囲気さえつかめれば似ているお花の名前も分かる場合が多いので、形にしっかり注目してみましょう。
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山野草に興味のある方に私が一番オススメする図鑑です。



ミドリハコベ

七草でおなじみのハコベラとはこのハコベのことを指しています。

花壇や道端でおなじみの植物。とても良く目にするはず

ハコベはナデシコ科の植物でこの仲間は5枚の花弁を持つという特徴があります。

一見すると花弁は10枚あるようにしか見えないのですが、しっかりと確認してみると1枚の花弁に深く切れ込みが入り2枚に分裂しているように見えています。

花弁は完全に分かれておらず、実質5枚であるのが面白い。

なぜこのような切れ込みが入るのかは不明なのですが、類似のナデシコ科の植物にも同様の花弁の分裂が見られ、何かしら生存に有利な形質であることが推測できます。

似た種類にはコハコベやウシハコベがおり、このうちウシハコベは外来種のハコベであるため要チェックです。

見分けのポイントはシンプルで、花の中央にめしべが見えるのですがここが3つなのがミドリハコベ、5つあるのがウシハコベ。という解説が一般的です。

林縁や薄暗い環境に多いのがハコベ。外来種は撹乱の多い場所に生えやすい

しかしウシハコベは他のハコベと比べて圧倒的に大きいので一度種類を確認できさえすれば簡単に見分けられます。

ハコベ類の活用としては七草がゆが有名です。早春の葉は柔らかく、かき揚げなどにしても食べられますが何か味わいがあるかと問われれば特に何もないと言えます。

天日干ししたハコベをすり下ろしたり、煎ったりして作るハコベ塩は緑色の塩になり中々面白かったです。

生える環境としてはやや湿度のある場所に生えていることが多く、道の端などに多いことから取る際には除草剤やペットの糞尿に気を付けてください。

ミチタネツケバナ

湿度の高い環境で目にする外来種のアブラナ科植物です。

撹乱のある半日陰的環境にとても多い。その辺を見れば生えている植物

在来のタネツケバナと比べるとかなり小さく、こじんまりとまとまっています。

春になると白い上り旗のような花茎をロゼットという地べたに張り付いた葉の中心から伸ばして白いお花を付けます。

ミチタネツケバナは食べることができる雑草でもあります。根の張りが非常に浅くスポット抜けることから採集していて楽しい植物です。

特有の種子散布戦略により広範囲かつそんなところに!?という所にも現れる

味わいはほとんど記憶にないので多分ハコベと同じく印象に残っていないのだと思います。

アブラナ科の植物にはカラシナやユリワサビなどに代表される特有の辛みがあるものがあります。そういう味わいがあれば積極的に採集していたかもしれません。

この植物は群生していることが多いです。

おそらく上のコンクリに母体があり、弾けたもしくは雨でコンクリに種子が流れ込んだ

ミチタネツケバナは種子が乾燥により弾けて種を飛ばします。この種にはかなりの粘度があり、はじけ飛んだ後に張り付きます。これにより周囲に種をばらまくので群生するのです。

春の中頃にタネツケバナを撫でるように刺激してあげると手が種だらけになります。結構面白いのでお勧めです。

ハナニラ

ヒガンバナ科の植物で、ネギの仲間に近い植物です。

人が管理している場所で非常によく目にする植物。

園芸用として非常に幅広い所に植えられている植物であり、最近では野生化しているものもよく目にします。園芸種であることから外来種の植物です。

ヒガンバナ科の植物には有毒な植物が多く見られます。

ハナニラも有毒な植物なのですが、ネギ臭がする有毒植物として注意が必要です。

ネギ臭は身近なニラやノビル、アサツキなどの山菜を判別する際に使われることも多い見分けポイントなのですが、そうした香りで安全を確保しようとする人を罠にはめるのがハナニラです。

春であれば星形の特有のお花が咲いているため、そこで見分けましょう。

ハナニラは開花していれば平面に開く花のお陰で分かりやすい。写真は紫色

一方で野菜の中にはハナニラという食べられるものもあったりします。これは文字通り花を付けたニラのことで、ニラは餃子とかでおなじみの植物ですよね。

食べても問題ないハナニラと有毒なハナニラがあるというのがややこしく、この点はしっかり理解しておいてください。

食べられるハナニラは写真がありません。しかしハナニラ(可食)とハナニラ(有毒)は植物の属レベルが違うので花の形が全然違います。

ネギ臭のする植物を取って食べる場合には必ず理解しておいてください。

この中間の色合いのものもある

ちなみにハナニラには白いものと紫色のものがあります。結構綺麗ですし、球根でまとまっていることも多いので私的には割と好きなお花だったりします。


ハルジオン、ヒメジョオン

主に4月頃から目にするキク科の植物です。

ハルジオンとダイミョウセセリ。昆虫がよく訪れるお花

踏みつけに強いロゼット状の葉と、風散布に長けたスラっと立ち上がる花茎、林縁などの幅広い環境への適応などの要素により、およろ初夏頃にかけて非常に幅広い場所で目にします。

キク科植物は筒状花(とうじょうか(筒のような細いお花))や舌状花(ぜつじょうか(舌のような花))といった面白いお花を付けますが、ハルジオンやヒメジョオンは1つのお花の中に筒状花と舌状花の両方を持つ身近な植物としてキク科の観察に適しています。

中心の黄色と外周の白で花の形態が違う

白の花弁や赤の花弁、中心が黄色いとその色合いは紫外線の反射を意識しているものと思われ、事実このお花には非常に多くの昆虫がやってきます。

ハルジオンとヒメジョオンはどちらも外来種であると考えられている植物です。詳細を見分けたい場合には花には個体差があるので茎を割ってみるのがおすすめです。

中空のハルジオンと中身の詰まったヒメジョオンは似た植物でありながらも明確な違いを見られるために面白いです。

クサイチゴ

春の林縁で目にする機会が多い植物です。

かなり日当たりの良い草地、もしくは林縁で頻繁に目にする。町中でもちょっとした雑木林があれば目にする

イチゴの名の通りバラ科の植物であり、サクラなどと同じく5枚の花弁を持ちます。

バラ科の多くに見られる特徴としてはおしべの数が多いというものがあり、クサイチゴも例にもれず中心がとてももじゃもじゃとしています。

中心が木苺になる部分。見えている細長いものは人の感覚では種という部分

クサイチゴはとても身近な食べられるキイチゴであり、その味は環境条件にもよりますが当たりのものはそのまま食べても美味しいものもあります。

しかしそれだけのいいものに当たるのはなかなかに難しいらしく、私的には生では食べないキイチゴです。

外れると青臭みが口に残るため、結構不快感が強いです。美味しいキイチゴを食べたい場合にはオレンジ色のモミジイチゴを探しましょう。

これぞ木苺。しかし当たり外れはかなり強い

クサイチゴの果実はイチゴと同じく花托が膨らんだものです。食べるとプチプチとなる乾いた種のようなものが植物学的には本当の果実です。

こうした花托が美味しくなる植物は時折見られ、別の植物でいえばケンポナシ辺りも似た戦略を持ちます。

美味しくないと種が食べられないので、偶然甘みを持つものが生存していったのではないかと個人的に推測しています。

クサイチゴはジャムなど加工すると大変美味しく食べられるので興味のある人は色々な食べ方を探してみてください。

生える環境は林縁が多いのですが、日当たりはかなり好む植物である印象です。

普通種の植物なので苦労することなく遭遇できるとは思いますが、山地などでは動物のご馳走であるため、ライバルは多いです。頑張って見つけましょう。

スズメノカタビラ

日当たりのよい草地などで目にするイネ科の植物です。

これも定番の雑草。そのへんで普通に目にする

芝のような雰囲気を持っており、似た雰囲気の植物も多いです。

イネ科の植物ということで特有の花穂をしています。イネ科の花はマメ科の蝶形花のように上と下両側から挟み込むようにガッチリとサンドイッチされています。

花期になるとこの上下の隙間が緩くなりおしべを始めとする器官が出てきます。

イネ科は風媒花の植物であり、イネ科の花粉症を引き起こします。

イネ科の草地。スラリと背が高く米のような花をつけるのが特徴

スズメノカタビラがどの程度貢献しているのかは不明ですが、カモガヤなどの大型イネ科草本に比べればかわいいものであると考えられますね。

スズメノカタビラはイネ科でありながらも地面を這うように葉を広げていきます。

私的な観察では花茎も真上というよりは斜上するようについている印象があり、開けた草地の踏み付けにかなり耐性を持っているように感じます。

この花茎ですが非常にしっかりとした作りをしているので草花遊びに利用できます。花茎をお互いに1つずつ摘んで十字になるようにクロスさせ、引っ張り合うのです。

子供たちに大人気のバトル形式の草花遊びです。次世代のために全滅させない程度に気を使ってあげて楽しんでください。


ナズナ

やや湿り気のある日当たりのいい環境で目にする機会が多いです。

いい写真がないので雰囲気だけでも。アブラナ科なので白い花が対で計4枚つく

春の七草の1種にあるナズナで、昔からなじみの深い植物です。

特筆すべきはやはり種でしょうか。

ナズナの種は三味線のバチのような面白い形をしています。アブラナ科の植物はユニークな種を付けるものが多く、このバチ状の種というのもナズナにだけ見られるという訳ではありません。

しかし外来種を除いて見つけやすさでいえばナズナが一番だと思います。

花は段々につき、これが後述のペンペン草の由来となる種になる

アブラナ科の植物であり、食利用が可能です。しかしやはりユリワサビのような特徴的な風味や味というのは無く、かき揚げなどの笠間市要因かなというのが個人的な意見です。

別名にぺんぺん草があります。バチ状の種を利用した草花遊びに由来すると考えられます。

ナズナが種を付けたらならばその種をちぎらない程度に付け根の花茎ごと下にひいてみましょう。

これを繰り返していくとまるで楽器のような姿になります。茎を持って回転させてあげれば中身の種がカラカラと揺れる楽しい楽器の出来上がりです。

この音がぺんぺん聞こえたのでしょうね。




オランダミミナグサ

荒れ地や開拓地、花壇などの人の手が頻繁に入る環境に隣接する場所で目にするナデシコ科の植物です。

一見するとハコベに似ているが、花弁の切れ込みが先端にしか入らない

ハコベに似た雰囲気を持ちますがハコベよりもよく立ち上がり、茎回りもがっしりしています。

一方で色合いは鮮やかなグリーンをしていて濃い緑のハコベとは明確に違います。

ナデシコ科の花弁は切れ込むという話をしましたがオランダミミナグサの場合には花弁の先端に僅かに切れ込みが入る程度にとどまります。

身近なお花でこの軽い切れ込みがある白いお花というのは少ないので、種の特定は簡単ですね。

オランダミミナグサ(左)とハコベ(右)花の違いは比較すると明らか

荒れ地や花壇などのかく乱環境に現れることからお察しの通り外来種の植物です。

種子が土に紛れてやってくるため、人の出入り、人間活動が激しい場所によく見られます。都市部などではハコベなどよりもよっぽど目にするかもしれません。

オランダミミナグサや在来のミミナグサなどはその花弁の形が耳っぽく見えますが、実際には葉に由来していると考えられています。

太い茎(写真下部)につく葉がウサギの耳のように太くて丸い

茎を包むようにつく2つの葉が動物の耳のように見えませんか?

こうした葉の特徴を名前に付けるというのは実にその植物らしい名前がして私は好きです。

数はかなり減少していますが、ミミナグサという在来種もいるので探してみてください。

ニワゼキショウ

主に芝生環境で目にするアヤメ科の植物です。

芝生を白く彩る。芝生の花ではなくニワゼキショウ

アヤメ科の植物はシャガやノハナショウブに代表されるように花びらが6枚あるように見えます。

このうちガクが3枚、花弁が3枚でありよく見るとそれぞれ内側に3枚、外側に3枚と付け根の位置がしっかりと分かれている様子が観察できます。

最も身近な同花被花といえるかもしれない。観察に最適

こうした同質のガクと花びらを持つ者は同花被花(どうかひか)と呼ばれユリの仲間などにもみられる面白い特徴です。

何のためかと言われると不明ですが、おそらく訪花性昆虫への優位性なのではないかと推測しています。

例えば緑の額が3枚に白い花びらが3枚よりも白い花びららしきもので6枚の方が紫外線反射による虫へのアピールは有利であるように思えます。

花の中心部が黄色くなっている。色による虫へのアピールと考えられる

ニワゼキショウはネクターガイド(蜜標)と思われる紫色の模様が入っており、これも花びらの枚数が多いほどよりアピールができそうですよね。
真偽のほどは不明ですがユリの仲間などにもネクターガイドを持つ者は多いのでわざわざこの性質を持つ以上何かの優位性があるのだと思います。

ニワゼキショウの花。よく見ると中心にかけて層状に色がついている

ニワゼキショウには白色のものと紫色のものがあります。その違いはよく分かりません。

葉はイネ科のように細く、ある意味ではシャガの葉を小型に落とし込んだものと捉えることもできます。一方で芝生に生えることから芝と見分けるのは初心者には困難です。

刈込耐性はそこそこ強いことが分かっているので、芝刈りで巻き込んでしまってもある程度は大丈夫なようです。

群生しているととても綺麗な植物なので、見かけたらじっくり観察しましょう。

チゴユリ

ほとんどの場合薄暗い林床で目にすることになると思います。

かなり美麗な春の山野草。林縁では個体数も多い

雑木林の林縁や山地の林縁でよく目にする植物で、アーチを描いて先端に1つの花を付けている場合にはチゴユリだと考えられます。

春先のユリ科には非常に似たものが多く、より連なるアマドコロやナルコユリ、花は違うが葉の雰囲気が近しいホウチャクソウなどは似た環境にて非常によく目にします。

身近なユリ科2種。チゴユリ(左)はしっかり開花するがホウチャクソウは開かない

しかし身近なエリアでチゴユリのようにしっかりと開く花をつけるものは少なく、アマドコロとナルコユリやアマドコロとホウチャクソウのように芽出しや花の雰囲気がともに似ている訳ではありません。

加えてチゴユリは背丈も低いです。高くても20㎝程でアーチ状をしています。先端に1つの花というのも分かりやすいポイントですね。

チゴユリは林縁にぽつりと咲いていることから日本らしい詫び錆びを感じられる植物です。

4月中旬頃から林縁をチラりと覗いてみれば幸福が訪れるはず

山道で休憩をした時にふと目にするととても癒される植物と言えますね。今回紹介する植物たちの中では一番出合わないと思います。

そんなチゴユリですが有毒な植物です。ユリの仲間は似たものも多く、アマドコロやナルコユリが中々においしい食材であることから注意が必要です。

チゴユリは細く芯が弱い印象です。一方でアマドコロやナルコユリは背丈が70㎝近く上がるものもおり、支える茎は竹のようにしなりを持ちます。

ホウチャクソウは芽出しの時期はややこしいのですが、大型になると花茎が分岐するという特徴があるので分かりやすいと思います。

茎がはっきり枝分かれするのがホウチャクソウ。しかし花がつかないとわからない

ユリ科の見分けは難易度がとても高いので、初心者の方は手を出さないようにしましょう。


ユキヤナギ

公園や庭の低木としてとてもよく見かける種類です。

およそ4月頭の前後にかけて真っ白なお花が目に付く

動物の尾のような特有の伸びた枝がしなだれることでとても風情のある姿を見せてくれます。

見た目の印象とは裏腹にバラ科の植物であり、同時期に見られるサクラなどと似た形質を持ちます。例えば花びらが5枚である点は分かりやすい共通点です。

ユキヤナギは我慢が必要な植物で、ツツジ程ではありませんが秋ごろに花芽に分化します。

虫もよく来る。モモブトカミキリモドキ。

つまり秋と冬の時期にかけて伸びっぱなしの枝を放置してあげないといけません。他の植物を管理するノリで伸びている枝を切っちゃおうとやってしまうと、せっかくのユキヤナギらしさは台無しなので気を付けてください。

しっかり植物のことを理解した管理をしてあげれば、それに答えた見事な花付きを見せてくれるはずです。

ユキヤナギらしい美しい姿。

その密度の良さから低木として人気が高く、目線を隠すブッシュとして、並木のようにコーナーを作る目的として、単品で植えて真っ白な一画を作る目的として幅広い場所で目にするはずです。

病害虫としてアブラムシやカイガラムシに弱い印象があります。

今回は春によく目にする身近な白いお花を紹介しました。このブログでは他の身近な山野草も紹介しています。
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紫色の山野草シリーズです。よく目にするあの子達を紹介。
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黄色の山野草シリーズです。キク科が多くなりがちですよね。