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クワガタやカブトムシはいつから取れる?時期に関して紹介。

人気の昆虫たち、ピークはわずかに違う?

採集期間が非常に長いコクワガタ。初心者向けのいいクワガタ

今年はカブクワ採集に挑戦しよう!時期は夏休みから頑張るぞ!と意気込んでいる方ももしかしたら既にいるかもしれません。

しかし種類によっては夏休みではピークが終わっているものもいます。

今回はカブクワ採集ができる時期と身近な種についての経験的なピークなどを紹介します。採集するならぜひとも覚えておきたいポイントです。

クワガタ採集の時期について

結論から述べると採集に適した時期は6月下旬~7月上旬が特におすすめです。(平地性クワガタの場合です)

6月下旬から一気にピークが始まるミヤマクワガタ。6月上旬に見たことはない

昆虫慣れしていない層の方からすると、カブトムシやクワガタはおよそ子供たちの夏休み頃(7月20頃)に捕まえるという感覚が強いと思います。

これについて採集の現場で観察している立場から述べると、遅いというのが正直なところです。

クワガタは種にもよりますが、早いものでは5月下旬ごろから姿を見られるようになり、およそ6月中~7月上旬ごろに個体数をたくさん見ることができます。

7月中旬頃にカブトムシは出てくる。しかし最速では6月上旬に見たこともある

そして7月の中旬ごろになるとカブトムシがピークを迎える影響で個体数が減少していきます。

もし効率的に採集していきたいと考えているならば、時期に関してはしっかり理解しておきましょう。

ピーク時のクワガタの数というのはかなり多く、採集に関する座学的な部分の知識が薄くても運でとれる場合も多いです。

雑木林をいけすにたとえれば、ピーク時はいけすに100の個体がいるのに夏休み時では体感50程度の個体数です。

同じ場所で採集しているのに時期がわずかに違うだけでこんなにもハンデがあります。

なぜその時期に個体数が多いのか?

カブクワの出現は何により制限されるのでしょうか?ここでは虫の出現要因を考察していきたいと思います。

カブクワの出現は何と強く関連しているのか?考えてみましょう

個体数が多い理由は餌資源の供給問題であると私的に考えており、以下に理由を述べます。

虫の出現には当然餌資源が関わってきます。クワガタの場合には樹液ですね。

樹液はカミキリムシやボクトウガ、最近ではナラ枯れを引き起こすキクイムシによって木に穴があけられることで流れます。

ブナ科に穴を開けるシロスジカミキリ。かつての樹液の主要流出源

一方でただ穴が空けばいいかと言われるとそんなことはありません。

糖分を含む樹液が発酵しなければなりませんね。そのためには温度と水が必要です。

黒く湿る染みは樹液が流れた証拠。ここから発酵するかは条件次第

6月の梅雨は蒸した空気感と継続的な雨により水分が豊富に供給されます。

これにより樹液量が多いだけでなく発酵にもいい条件がそろっているんですね。

7月中旬や8月ともなると日中気温が高すぎて乾燥してきます。

これにより根から吸い上げる水分量が減る影響か夏休み時期に見られる樹液量は6月頃の60~70%程度に感じます。

同じ木でも7月上旬と中旬で随分流出量が違う木もあった

これもまたいけすの例のように同じ雑木林でもチャンスが減ってしまう要因なんですね。

恐らくクワガタはそれを経験的に理解しており、栄養を効率よく摂取するために6月中旬~7月上旬に集中しているのだと思います。

なので彼らのおススメ採集時期は餌資源の樹液がピークとなる梅雨後半~梅雨明け頃となるのです。

外灯では?

樹液の話は分かったよ。外灯はどうなんだ?と気になる方も多いと思います。

樹液と外灯の時期は違うのか?疑問を持つ方は多いハズ

外灯は紫外線への嗜好性を利用した採集方法ですね。

彼らがどのようにして感知しているのか?有効範囲はどのくらいなのか?そういった具体的な情報は不明です。

ただ一つシンプルなことは分母(個体数)が大きければそれだけチャンスも多いということです。

例えば私の新潟県での外灯採集を例に挙げると、7月10日頃と8月20日頃に行ったことがあります。

越後湯沢の7月上旬適当採集の記録

前者は外灯においてよくないとされる満月のコンディションでしかもゲリラ豪雨の直後にもかかわらずミヤマのメスやアカアシの♀、コクワやスジなど10頭以上を採集できました。

一方で一般的にも遅いと思われる8月の方ではミヤマ♀の死骸1のみ。月の条件など覚えていない要素も多いですが差は歴然です。

クワガタのピークである時期に採集を当てるだけで、外灯採集の効率に関するノウハウなどの影響少なく楽しむことができます。

もちろんこのピーク時の最中でより成果を上げるとなれば差をつけるための知識を知っていればより効率的に行えるというのはそうです。

高尾山ミヤマは7月上旬~中旬にかけてはとても遭遇しやすい

ただ、ノウハウは料理のアレンジレシピのように基礎を理解してようやく意味が出るものだと考えています。

基礎的な時期や樹液の見つけ方などを理解した上で、採集方法に関するノウハウを理解しましょう。

外灯採集の方法をバッチリ理解しても9月にやっていたんじゃ取れませんよね?そういうことです。


種別の所感

特に身近な種についてどの時期が取りやすいのか?を紹介していきます。

コクワガタ

6月~7月下旬頃までがおすすめです。

6月下旬頃はかなり多い。早ければ4月には活動しているものもいる

越冬性のため5月中旬ごろから観察可能ですが、明確に個体数が増えてくるのは6月15日頃からです。
その後樹液のピークとなる6月下旬~7月中旬にかけて目にします。
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ノコギリクワガタ

6月下旬~7月中旬ごろまでがおすすめです。

都市部の平地でも意外と目にする。早ければ5月下旬からいる

毎年新成虫が出るため、6月の上旬から個体自体はいます。しかし多くは無いです。
明確に個体数が多いなと感じるのは6月下旬です。平地の樹液ではカブトムシが出る前の時期ということもあって、とてもよく目にします。

自然下での寿命は短いのか、平地では採集ライバルが多すぎるのか夏休みシーズンを境にめっきり姿を見なくなります。
あくまで平地のお話です。

採集したい方は6月下旬~7月上旬に頑張りましょう。
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ミヤマクワガタ

7月上旬~中旬までがおすすめです。

取りやすい時期はかなり短いのかもしれない

個体自体は6月下旬~8月下旬ごろまでいますが、これらの時期は早すぎるor遅すぎるため、ピーク時と比べるとあまりにも効率が悪いです。

ピークは短い印象ですが、その分ピーク時の個体数は多く、外灯への嗜好性も強いです。

集中的に採集することで都市部でも成果を上げられると思います。

私的な観察では7月下旬ごろから観察の機会が減ります。
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採集したい方は7上旬~中旬に頑張りましょう。

カブトムシ

7月中旬~早めの下旬程度がおすすめです。

意外と狙うと取れない虫。山にも川にもいる

8月に入っても姿を見れますが都市部の平地では人気が高すぎてなかなか出会えないと思います。
夏休みの僅か前ぐらいがいいと思いますね。

樹液の虫の中でも強い種類なのでカブトムシのピークになるとクワガタの個体数が減ります。

逆に言えばカブトムシシーズン中は樹液の見つけ方さえわかればいる可能性が高いので分かりやすいです。

採集するならば7月中旬~8月頭位を目安にしましょう。


今回の記事ではクワガタ、カブトムシの時期に関する点を紹介しました。

時期の理解は最も土台となる基礎の部分。ここを理解したうえで採集方法や樹液の見分けが生きてくる

途中でいけすを例としたように、適切な時期に採集を行えることはそれだけで採集ノウハウを凌駕するほどの成果に結びつきます。

虫に慣れ親しんでいる方とそうでない方で最も大きな差はこの時期にあると私は感じています。

今回この記事を読んだ皆様は今年はバッチリ良い条件で虫たちに挑めますので、ブログの記事を活用して次のステップとなる採集方法や樹種、樹液の探し方などを理解してみてください。

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初心者が成果を上げるためのノウハウはみっちりと記していますので、参考にしてみてくださいね。