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ツツジの種類を紹介。身近なツツジと私的おすすめ品種

サクラと並ぶ春のツツジ。

しっかり管理されたツツジはサクラをも凌駕する

地上を彩る魅力的なツツジたち。

しかし似た形質が多いツツジは交配による種が多様過ぎて種類まで絞り込むのは難しいです。というかできないものも多いと思います。

そんな多様な品種が魅力的なツツジの中でも、街中や公園などで見かける機会が多い種類をピックアップして紹介していきます。

詳細(○○ミツバツツジなど)は省き、あくまでどんな種か絞るものとしてみてくださいね。
また、管理する中で得られた知見や園芸店での発見具合をもとに私的なおすすめなどを書いています。

オオムラサキ

大輪を付けるヒラドツツジ系列のツツジです。花期はおおよそ5月の上旬前後です。

ヒラドの品種オオムラサキ。見かける機会が多いものの剪定により花数が大きく減るため、やや難しい

大きい紫色の花をつけ、都市部の道路沿いから公園の花壇まで非常に幅広いエリアで目にします。
大気汚染に強いことや日当たりを好むことから初心者向きともいわれ、フラワーショップなどで容易に入手できます。


ヒラド系ということで葉と草丈がとても高いのが特徴です。葉が淡い緑色で手刀くらいの大きさの葉をしていたら本種の可能性が高いです。

とても人気な種類で丈夫故、可哀そうな管理をされている場合が多く、花が見られない場合も少なくありません。

花は基本的に花芽から1~2個程度で2個咲かない場合も見られます。

オオムラサキなのか分からない白と紫が出るヒラド

基本的にはとても丈夫なのですが、新梢の伸びも強く背丈がぐんぐん伸びるうえ内側にも枝が生えてきてしまうため、植えるなら剪定に関する基礎的な部分を抑えた方がいいと思います。オオムラサキを始めとするヒラド系は花期が遅いこともあって後述のクルメ系よりも花の維持に生態的な理解が欠かせません。

楽に満開なお花を目指したい方は他の品種を選ぶ方がいいと思います。花の維持が楽でないことはその辺に植えられたオオムラサキの花が咲いていないことを見れば明らかです。

一方で生態的な視点からツツジを理解すれば管理しやすいツツジと言えます。
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花つきを増やすならこの記事が役立ちます。



ヒラドツツジ

様々なツツジが自然交配する中で生まれた種の総称です。

白や赤、紫などいろいろある

おおよそ大輪であり、色は白や紫、赤や絞りなど非常に多くの種類が見られます。
クルメやキリシマなどのカテゴリーのようなものです。

花期は5月前後に咲くものが多いですが、由来とされるリュウキュウツツジやモチツツジ、キシツツジなどの大輪系の自生ツツジと比べると花期が遅いのは面白いものです。

ヒラドツツジの有名品種が「オオムラサキ」です。

ヒラドツツジも品種によるのかもしれませんが、日当たりを好むものでありながらも日陰環境で枯れることなく生育します。花付きは悪くなりますが丈夫な印象が強いです。

鮮やかで色に富むことから人気の高いヒラド系ツツジですが、花を良く咲かせるのはなかなかに難しい品種です。

導入する場合にはツツジの花芽を付けることに関する生態や、剪定という技術的な面をしっかり押さえないと年々花付きが減っていくことになります。

特に刈り込めばいいやと考えている人はヒラド系は向いていません。幹が年々太くなり、葉が入らない程度になります。

逆に言うと盆栽のようにしっかりと枝ぶりを見ていきたい人にはとてもおすすめできますね。

リュウキュウツツジ

こちらも大輪系で、モチツツジやキシツツジなどの自生種が自然交配をしたのち生まれたとされています。

白地のリュウキュウツツジにピンクの蜜標がある

園芸品種の「セキデラ」には強烈なネクターガイドのピンク色が見られ、美しい種類と言えます。

花期は4月中旬~下旬頃、背丈も管理しなければ2mを超えてくる大型種ですね。

リュウキュウツツジはヒラドよりも病気に強い印象を受けますが、個体差かもしれません。

大型種で花期はヒラドに比べれば早いですが、この種も刈込や剪定の影響を大きく受けます。花付きの維持にはツツジの生態と剪定の知識が必要となるので気を付けてください。

しかし大輪のセキデラはそのあまりにも濃いネクターガイドの色から苦労を掛けて育てる価値のある見ごたえバッチリな1輪を付けてくれます。

落葉

冬には葉が落ちます。強剪定に弱い品種が多いのでマメな管理を必要とします。根張りも浅いので水切れにも注意が必要です。しかし前提として刈込む姿ではないことや花期が速いことから花付きは維持しやすい種類が多く、初心者向けだと考えます。

ヨドガワツツジ

チョウセンヤマツツジの園芸品種であるというのが通説とされています。

八重咲きが特徴的な変わったツツジ。枝枯れしやすい印象

フリル上の花は八重咲のもこもこしたかなり特殊な花です。
花期はおよそ4月上旬~中旬ごろです。

樹高の低いツツジであり、株別れして横に伸びていく傾向が見られます。

根張りが浅いようで水切れにより枝の一部が枯れることも多いです。また、日照が不足することでも結構簡単に枝が枯れます。

中々扱いの難しいツツジという印象なので美しく割いている場面を見られたらうれしい種類ですね。

庭木としては成長スピードがゆっくりかつ横に伸びる傾向が強いため、維持はしやすいです。

しかし花はついても満開にはなりにくいというのが私見で、原因が突き止められていません。

ツツジは満開であってこそというような方には向かない品種かもしれません。

レンゲツツジ

日本の主に高原地帯などに自生している植物です。

私的ツツジのおすすめではNo.1。色合いの美しさが素晴らしい

ツツジの中でも特に毒性が高いとされる一種ですが、そのお花は鮮やかなオレンジ色と大変美しいもので山梨や群馬などでは名所もあります。

成長は遅い方で分岐も少ないツツジという印象です。

根張りの浅さに由来するのか幹に負荷がかかると根元から枝丸々抜けてしまう場合があります。扱いには注意が必要です。

花期は4月中旬ごろからで鮮やかさゆえに遠目からでも非常に目立ちます。

春らしい1種。本来は高地のため、6月頃に見られる

新緑と合わせて非常に春らしさを感じられる1種なのでおすすめです。

庭木としてもおすすめできます。成長が遅く、密度が緩く、花が密集している。そして背丈も低いと庭木として非常に管理しやすい種類だと思います。

枝枯れや芽枯れする場合があるのがちょっとネックです。
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レンゲツツジは好きなツツジなので個別記事があります。

キレンゲツツジ

日本に自生する黄色のレンゲツツジです。

やや珍しい種類かもしれないが、レンゲツツジの仲間ということで淡い色がキレイ

黄色のツツジは珍しく、高山性のものやヒカゲツツジなど限られます。その中でもオーソドックスな黄色をしているのがキレンゲツツジです。
この種類も株立ちの分枝が遅く、成長がかなり遅いです。
逆に言えばクルメツツジのように叢生(そうせい)して高密度になりにくい低木であるため、管理はしやすいと思われます。
花期は平地では4月中旬~下旬頃です。

ヨシノ

一風変わった花付きを見ての通り、この付き方はシャクナゲの付き方です。

シャクナゲ交配種は花の密度が魅力的

ヨシノはツツジとシャクナゲの交配種で春に鮮やかな密度の濃い花付きを見せてくれます。

花期は3月中旬~下旬と比較的早く、クルメツツジと比べるとかなり樹木感が強い品種です。

クルメの花密度とヒラドの背丈、シャクナゲの先端に花を密に付けるといったいい点ばかりを集めたような品種であり、とても美しい種類であると言えます。

ツツジに興味のある方で特に花付きを気にする方は、ツツジとシャクナゲを交配した品種はとてもおすすめです。色合いも多岐にわたるため、お気に入りの色合いを見つけたら育ててみるとよいでしょう。

ヨシノに限らず根張りが浅いため、地植えや鉢植えの場合水切れに注意が必要です。夏場に日当たりが良すぎると地植えでも枯れる場合があるので、マメに様子を見てあげましょう。



ミツバツツジ

ツツジの枠を超えて人気が非常に高い品種です。

サクラと同程度に咲く濃いピンクがキレイ。剪定の頻度も少ない

〇〇ミツバツツジの名称で様々な地域で自生種がおり、多様性豊かなツツジです。

名の由来となる三つ葉は枝から出る葉が3枚になることを示しており、植物のミツマタのようなものです。

花期は3月下旬~4月上旬ごろと比較的早く、およそソメイヨシノの開花と時期が重なります。

ツツジの中では低木ですが、樹高は3~4m近く大きくなるため、導入にはそれを見越す必要があります。

また、低木ツツジとはいえ密度もかなり高くなります。ミツバツツジは剪定に弱い植物であるのが通説とされています。

マメな管理が必要となるので、しっかりお世話できるならその美しい花付きを維持できると思います。

クルメ

小柄な花をたくさんつけます。丈夫でなかなか枯れませんが、逆にそれにより不適切な管理でも生存してしまい、ツツジ管理の最低限の知識がないと花がつかなくなりがちです。

コチョウノマイ

紫色の代表種です。

手に入れやすいが、早咲きの傾向がある。暖冬の年には先走って咲いてしまうことも。

花が二重に咲くという面白い特徴があり、これにより簡単に種類の特徴ができます。

花期は4月上旬~中旬程度で、私が見てきたツツジの中では気温のトリガーが緩く、秋や春の手前の高温などで狂い咲きをしがちです。
同時期に単一の花を見事に咲かせたいならば他の品種を考えた方がいいかもしれません。

刈込耐性はやや強いですが、刈込だけしていると花付きが年々悪くなっていきます。

個体差にもよるが、芽の伸びは強い印象。

また、新梢の伸びが強い種類であり、刈込ばかりしていると面から30㎝以上伸びる強い枝がぐんぐん伸びて暴れます。とにかく形を整えたいというような方には美しい花付きを維持するのは難しいと言えるでしょう。

また、刈込を入れることで花付きが大きく低下する品種だと思います。管理にはツツジの生態的な知識と植物剪定に関する知識が欲しい所です。

マヤフジン

ピンク色の種です。ピンクと明るい紫を混ぜたような花弁に濃い赤紫のネクターガイドが入ります。

ピンク傾向の強い紫のお花。クルメの中でも小ぶりなお花

クルメツツジの中でも花がかなり小さい種類であるため、花の模様が目立ちます。
花期は4月上~中旬程度でツツジとしては普通です。

刈込耐性は強い方で、刈込だけをしていても満開な花付きを維持することができます。刈込後でも芽生えや花付きが比較的良い種類であるため、ツツジ入門種としてお勧めできます。

ハナアソビ

赤紫色の品種です。クルメツツジの中ではかなり花が大きい品種であるため、花期には花の密度がより多く見えます。

花期は4月上~中旬程度と普通です。

刈込耐性は強い方で、ヘッジトリマーなどで浅めに刈り込む程度の管理を継続しても花が満開近く維持できています。

新梢の伸びも比較的弱い種類という印象で、管理しやすいツツジを探している場合にはおすすめできます。
新梢が短い分低い位置に花芽をたくさん作る太い枝を維持でき、花期以外の樹形も比較的綺麗です。

キリン

ピンク色の二重咲き種です。かなり鮮やかなピンクを付けるため、色合いだけでいうならば今回紹介した中では一番おススメです。

これぞピンクという淡い色合いのピンクをしている

花期は4月上旬ごろとやや早めの印象です。

刈込耐性は普通で刈り込み続けると花付きが悪くなっていきます。

新梢の伸びはかなり強く、トリマーなどで形作ると秋にはぼっこぼこの樹形になっているはずです。

しかし芽の付き具合はいいため、そうした樹形を気にしないのであれば管理はしやすい品種であると言えます。

二重咲きで花がちょっと多い分見事に咲かせられれば大変美しい姿を見ることができます。

ツツジの品種の中から私的なおすすめを紹介してきました。
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花つきの問題は別記事で詳しく解説しています。

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ツツジ害虫対策などを紹介しています。
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ツツジの名所を訪れてその魅力を理解するのは重要です。