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ツツジの秋剪定と夏剪定について。秋剪定の時期と不要の理由、花つきへの影響。

夏や秋はツツジの剪定時期?


春の剪定を終えて数ヶ月、真夏や秋に備えてツツジの剪定をしてあげよう!とお考えの方も多いかもしれません。

しかしツツジの生態を理解してあげると、この時期の剪定は来年の花つきに大きく悪影響を与えてしまいますので注意が必要です。

ツツジの花芽分化期を理解しよう


ツツジのメジャー品種はおおよそ小粒のクルメ系(胡蝶の舞)とキリシマ系(ホンキリシマ)、これに大型のヒラド系(オオムラサキなど)になるかと思います。

お庭の品種により多少の時期の差はあれどもこの夏の時期には既に来年の花芽ができています。

先端で育った芽が来年葉になるか花になるか分かれる時期のことを花芽分化(かがぶんか)と言います。

クルメ、キリシマなどの小粒ツツジは春に無剪定の場合6月中頃に、剪定した場合7月終わり頃には花芽ができています。
大輪のヒラド系では無剪定の場合8月頭頃、剪定の場合には9月頭頃には花芽が目立ち始めます。

そのため春を除く時期の剪定は必ず来年の花つきとの引き換えになるということを理解しておいてください。

剪定前に花芽を確認しよう


こちらは我が家のツツジです。ツツジの生態的な特徴から剪定をしないほうが花芽の割合が高くなることが明らかになっています。

それに従い今年は枝先に手を入れずに剪定をしました。

6月半ば頃に花芽に分化し、8月の今でははっきりと蕾を確認できる段階に来ています。

昨年は剪定をしてしまい花芽がイマイチだったのですが、今年は9割ほど花芽が付いており、やはり生態的特徴の理解は強いなと感じます。
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ツツジの花芽や葉芽の見分け方は意外と簡単です。要点だけ抑えておけばすぐ分かりますよ。

秋剪定をする場合の判断について

基本的に花芽確保の点から剪定をしない方がいいということを前提に、もし秋剪定をするならばどんな場面で行えば良いのかという例を紹介します。

まずは植え込みや生け垣などで花などよりも緑に重きを置いているパターンです。 

植物を植える場合は必ずしも花が目当てとは限りません。

ツツジのような低木でも夏の日光を遮り、地温の上昇を防ぐ目的であったり家の前のブラインド目的である場合には夏以降の伸び伸びとした枝が邪魔になる場合があります。

ゴルフ場の生け垣やトピアリーのような姿を目当てにしている場合にも飛び出た部分を刈り取ってしまった方が良いでしょう。

また、庭先や鉢植えなどのツツジであっても見た目が気になるようであれば飛び出ている部分を剪定してしまうのもいいと思います。

例えばコチラならば真上に突き出ている1本が木の輪郭を明確に崩しています。

こうした暴れている枝は気になるなら切ってしまってもいいとは思います。この際意識していただきたいのはこうした太い枝は栄養が多く流れ込み、花数が大変多くなるということです。

こちらはこの春の開花風景です。

飛び出て輪郭を見出している枝は花が多いのが見て分かります。ふわふわもこもこのツツジを目指す場合に重要となるのは、むしろこうした飛び出た枝の方なのです。その点はぜひ理解しておいてください。

秋剪定を入れた場合とそうでない場合の花つきの比較


まず秋付近のツツジの様子を確認するとこのような感じになっているケースが多いはずです。

この伸び方は刈り込みばかりしているケースに見られるパターンですが、これを落としてしまうとヒョロヒョロの弱い花芽しか残りません。

翌年の花つきはここまで差が付きます。この差をもたらすのは花芽分化するツツジの生態を知っているかどうかというシンプルな理由です。ぜひご自身の目的に応じて秋の剪定をしていただければと思います。

花芽を維持する鉢植え管理のポイントについて


このようにもう8月頭時点で目視できる蕾ができており、晩夏以降は害虫や寒さ、水切れなどから芽を守る時期になっています。

鉢植えで注意したいのが水切れで、ツツジの花芽は水不足になると枯れてしまいます。

私がやっているのは鉢植えにリビングマルチとして植物を植えることです。

鉢植えはその形状から水切れを起こしやすいのですが、かと言って水を上げすぎると根腐れなどの問題も引き起こします。

マルチをすることで水分蒸発を防ぐとともに、水の保持、水切れのサインを判別することが可能です。

これによりマルチなしの場合朝夕あげないと間に合わなかった水が1日ちょっと程度は大丈夫になりました。

このように先に下草の葉がしおれてきたら水やりに適したカラカラの土壌になっています。

下草は栄養の競合など懸念点など浮かぶかもしれませんが、今年実践してみた所ツツジに関しては花つきの影響は無さそうです。

むしろ直射日光の遮断と水分保持のメリットが大きいです。

この秋以降の管理が来年の花つきに大きく影響を与えます。花目当ての方はぜひ今回の記事のポイントに目を向けて花芽を維持してあげてください。

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秋以降も激化する害虫たちの種類と症状、対策などのお役立ち情報です。
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花芽を増やすにはどうするべきでしょうか?数年の観察から得られた芽を数倍に増やす方法を伝えます。庭で名所のようなツツジを楽しみましょう。

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花つきが悪かったり芽ができない場合などの要素ではこちらの記事が役に立ちます。

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植物管理においては目標の設定もとても重要です。しっかり管理されたツツジがいかに美しいものか見ておくのもオススメです。