ツツジの葉に白い点が現れた
鉢植えや庭などで植物を育てていると、ふとした時に植物の葉が緑と白のまばらな色合いになっていることを発見するはずです。
大切にお世話していた植物が病気にかかってしまった?と焦る気持ちも分かりますが、その正体は害虫の可能性が高いです。
本日の記事では庭木として人気のツツジを基に、あらゆる植物を加害するハダニやグンバイといった害虫類を紹介していきます。
ハダニとは
ハダニは主に乾燥した植物の葉裏に発生し、健康な葉の汁を吸う非常に厄介な生き物です。
汁を吸われた葉はあっという間に白いエリアが拡大し、光合成ができなくなったのち落葉してしまいます。
体長は1mm以下でその存在を知らなければ被害が出るまで気が付くのは困難です。主に葉裏に生息し、卵から次世代まで半月ほどの早いサイクルで増殖していくという特徴があります。
ハダニ類の定着を防ぐことは非常に困難です。
その理由としてハダニはクモの仲間、すなわち糸を風に飛ばして長距離の移動をします。
人間の生活範囲であれば風に乗って移動することができるため、本当にどこでも沸いてきます。
例として挙げると、マンションの高めの階層であってもハダニはどこからかやってきます。かなり小さいので葉に斑点が出ないと気が付けない場合がほとんどです。
グンバイとは
ハダニと並ぶ植物に白い斑点を引き起こす昆虫です。
カテゴリーとしてはカメムシの仲間で、ハダニと同じく植物の葉裏に張り付いて汁を吸います。
幼虫の期間と成虫の期間があり、どちらとも植物の汁を利用します。
ハダニと異なる点は付く植物にある程度種の決まりがあるということです。
例えばツツジであればツツジグンバイ、バラ科ならばナシグンバイなどが挙げられます。
また、吸汁後にも違いが見られます。
グンバイは吸汁後に黒い炭のようなウンチのようなものを残していきます。
この排泄物に含まれる有機物に病原菌が集まり、すす病などの病気を引き起こす原因となります。
グンバイも非常に小さな虫で、3㎜程度の大きさと薄い翅を持ちます。見た目はなかなかきれいな虫です。(写真が取れたら追加します)
ハゴロモ類
ハゴロモ類も幅広い植物から汁を吸う昆虫です。
特定種につくものと幅広い植物につくものがいます。グンバイやハダニと比べると比較的サイズは大きく、セミなどと同じカメムシの仲間です。
ベランダなどの高階層では見つかりませんが、庭などで樹木があると見つかると思います。
ハゴロモ類はサイズ感も大きく、人の肌などに止まると刺してくることがあります。
夜間網戸を抜けてきた謎の小さな虫にチクリと刺された経験を持つ方もいるのではないでしょうか?
個体数の影響からハダニやグンバイほどではありませんが、植物に影響を与える虫です。対処優先度は低いです。
ルリチュウレンジハバチ
上記3種と違いツツジの葉自体が食べられてしまうケースがあります。
葉が食べられて芯となる葉脈だけが残されている場合には、ルリチュウレンジハバチというツツジ専門食のハチの仲間の可能性が高いです。
ハチなのに幼虫?と驚いた方もいるかもしれません。
スズメバチなどのように巣を作るものもいればハバチの仲間のように植物の葉を食べてイモムシの姿で成長していく種類もいます。
イモムシは緑色をベースに黒のぶつぶつが目立つ分かりやすい姿をしています。
成虫は濃紺の光沢を放つハチで、大きさは1cm程度の小型のハチです。
ハチの仲間ですが針を持たないという面白い特徴があるので、見かけた際には(種の特定ができれば)素手で触れ合うのが楽しいです。
成虫の発生時期は4月~10月頃とかなり長く、葉がなくなるので放置しておくと影響は大きいです。(成虫は写真が取れたら追加します)
ベニモンアオリンガ
ベニモンアオリンガはツツジ害虫における最重要種です。
葉を食べるルリチュウレンジハバチと違い、ベニモンアオリンガはツツジの芽を食べるという性質を持つため、鉢植えレベルの小さな株で発生してしまうと翌年の花芽がすべて食べられているという事態になりかねません。
水やりの際に芽を観察してあげましょう。
被害はweb上で5~9月と見かけますが、暖かい日が増えているからか3月~11月中頃まで目にします。
春型には名の通り可愛らしい紅色の紋があります。写真は春型で、夏型は残念ながら出会えていません。同じフォルムで白と緑色をしています。
この蛾を見かけたら容赦なく処理する必要があります。ツツジ好きの天敵ともいえる虫です。可愛いんですけどね。
その他ゾウムシの仲間やハムシ類もいます。私は出会えていませんがツツジトゲムネサルゾウムシはツツジ食いのゾウムシらしいです。覚えておいて損はないと思います。
植物につく様々な害虫たち
その他の害虫としては根に悪さをするコガネムシの仲間も要因として考えられます。
もし庭や鉢植えにキラキラした虫を見かけたら土中に産卵されている可能性があります。
コガネムシ類は根を食べる虫です。根は植物の本体といっても過言ではないほど重要な器官で、傷口から土中の様々な菌類の潜入などをもたらす可能性があります。
対処法について
実際に対処した経験から4種のツツジ害虫に効果的な方法をお伝えします。
薬剤などに頼らない場合
薬剤を使わない場合は管理がとても大変になります。しかし庭規模でツツジがそこまで大きくなければ可能です。
特にハダニはダニなので乾燥した環境を好みます。
じょうろなどで葉の表と裏に水を浴びせるようにかけてあげること(葉水)が非常に効果的で、ベランダのような特に夏場に乾燥しやすい場所でも徹底すればハダニの付着を予防できます。
グンバイにも効果的で、一度取り付く前であれば高い予防効果が見られました。
私のツツジは1年目の夏に朝と夜に葉に水をたっぷりかけていました。その結果水やり頻度の少ないゼラニウムなどにはハダニが見られ、ツツジではハダニとグンバイの被害がありませんでした。
2年目に鉢にリビングマルチをすることで保水が良くなりました。
結果水撒きは夏には日に一回、春秋には2日に一回で間に合います。
この水撒き頻度の低下により、今年はグンバイとハダニ被害が大きく発生しました。
なので葉に水を撒くというのは予想よりもはるかに効果的です。
一方でこの方法では幼虫類は防げません。
そこで私が使った薬剤の対処も紹介します。
一つ理解していただきたいのはライフサイクルの早いハダニなどはやがて薬剤に抵抗を持ち始めるという点です。
これはゴキブリや南京虫(トコジラミ)などを例にとればわかると思いますが、薬剤を使用するとそれで生き延びた個体に抗体ができます。
短いサイクルでそれが遺伝されるとやがて使った薬剤に聞かない害虫ができます。
今回の場合は害虫の初発見時に効果が見られたものです。
まず農薬を使う場合には浸透移行性のものが効果的です。
植物に薬効成分がしみ込むため、汁を吸うハダニやグンバイ、葉を食べるルリチュウレンジ、ベニモンアオリンガの全てに絶大な効果を発揮します。
私のツツジに利用したのはベニカファインXスプレーというものです。価格は1000円程度で容量も多く、逆さにしても噴射できることから葉裏に潜むハダニとグンバイに効果抜群です。
これによりなかなか広がっていたグンバイによる吸汁を止めることができました。
リビングマルチのシロツメクサはハダニの食害で枯れるレベルまで来ていましたが、ベニカのおかげで息を吹き返しましたね。
葉への水撒きは定着前には効果があるのですがついてしまうと水だけでの対処は厳しいです。既についている場合こうした浸透移行性の農薬がおすすめです。
幼虫類の場合にはアセフェートという物質がよく聞くようで、これを多く含むオルトラン水和剤が効果的でした。
オルトランは顆粒タイプのものもありますが、根から吸い上げる性質上背が高くなるほど効果が回りにくくなります。
ベニモンアオリンガのような頂点の芽を食べる物には頂点に吹きかけられる水和剤タイプのほうが良いようです。
ルリチュウレンジもベニモンのついでに処理でき、オルトラン水和剤は3週間~一月ほど効果が続くのでいいと思います。
まとめ
ツツジに白い斑点がある場合それはハダニやグンバイによる加害の可能性が高いです。
ツツジ類害虫としてはハダニ、ツツジグンバイ、ルリチュウレンジハバチ、ベニモンアオリンガが重要で、前2種は葉に水を頻繁にかけることで抑制でき、後者の葉を食べるものには浸透移行性の農薬がよく効きます。
農薬はハダニやグンバイにも効くので、困ったときは使用を考えてもいいと思います。
ベニモンアオリンガの被害が出たら迷わず使うほうがいいと思います。
害虫の頼もしい味方です。非常におすすめ。ベニモンアオリンガにはオルトラン水和剤がよく効きます。pljbnature.com
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