キラキラした青い虫に要注意!
春~秋ごろまで主に山地の地面を歩いているキラキラした虫がいます。
ツチハンミョウの仲間に所属しているこの虫は、ついつい子供たちがきれいな虫だ!と掴んでしまいがちなのですが、この虫はかぶれる液体を出すというすごい生態を持ちます。
それ以外にも寄生の戦略や翅がないなど面白い特徴が盛り沢山です。
ヒメツチハンミョウとは?
ヒメツチハンミョウはツチハンミョウ科に所属している昆虫の1種で有毒な成分を放つ虫です。
このツチハンミョウの仲間は写真をよく見ると分かるように翅が退化しており飛ぶことができません。
見た目は特にメスにおいては女王アリをさらに大きくしたような印象を受けます。
こうした飛べずに地を這うこと、明るい色と金属光沢で虫好きの目に留まりやすいのです。
食性は植物食で、幼虫は花粉を成虫はマメ科の植物を食べることから雑草がたくさん生えているような環境で目にします。
出現期間も春~秋と長く成虫で越冬しているために観察期間が長いのが嬉しい点ですね。
この虫の特筆すべきは幼虫の生態です。
ヒメツチハンミョウの頑張り
♀の腹部を見るとかなり膨れていることが分かりますよね。産卵数が非常に多いことが伺えます。
ヒメツチハンミョウの幼虫はハナバチ類が作った花粉団子を食べることが知られています。
しかし翅のない虫がどのようにしてハナバチの巣までたどり着くのでしょうか?
ハナバチ類は花にやってきます。
なので孵化した幼虫たちは花で待機してハナバチが偶然にやってくるのを待つのです。
そして運よく飛んできたハナバチにしがみついて巣に持ち帰られ、花粉団子を食べながら成虫となるのですね。
この成功率のとても低い戦略のため、彼らの産卵数は数千に及ぶとされています。
いったいどうしてこんな点から吊り下げられた糸のような戦略を取るのか面白いですね。
ヒメツチハンミョウの毒
飛ぶことができず、人の目にも目立つツチハンミョウですが、毒を持つために捕食を避けています。
この虫を突いたりジップロックに入れると黄色い汁を足のあたりから噴出します。
カンタリジンと呼ばれる成分らしいのですが、火傷のような炎症を引き起こすことが知られています。
やけど虫の名で知られるハネカクシなどがいます。それらとは成分が異なるものの、いずれの虫も触れることで火傷のような症状を引き起こすために注意が必要です。
ヒメツチハンミョウは飛べないことから灯火飛来性や服などに飛んできてうっかり触れてしまうような事態が起こりません。
事前にこの虫には毒があることを押さえておけば全く外の無い虫なのです。それどころか面白く、人にちょっと話したくなるような寄生戦略を持っていましたよね。
ヒメツチハンミョウに対する注意点
地上徘徊性の昆虫は人に踏まれてしまって死んでいる場面によく遭遇します。
寄生性の昆虫の成虫は奇跡的な確率で大人の姿になっているものも多いです。
昆虫観察に慣れている人は目線が斜め下になっていることや、動くものに反応することが癖となって染みついている方も多いと思います。
逆に日頃観察しないような方はそうした登山道や舗装路など山地に隣接するアクセスのよい環境では気を配って頂けると嬉しいです。
ヒメツチハンミョウに似た虫
そっくりな虫としてマルクビツチハンミョウがいます。
個体数は年によったり地域によって変動があるようなのですが、基本的にはヒメよりもずっと少ない虫です。
マルクビの名の通り頭胸腹の胸のあたりが握りこぶしのように太く丸くなっているのが特徴です。
ほとんどがヒメツチハンミョウなので、個人的にはマルクビガチャと言って当たりを引けることを楽しみにしています。
ヒメツチハンミョウを観察してみよう!
この虫は山地よりの虫であるため、都市部の平地で見かけることは多くないと思われます。
その出現には生活環であるハナバチ類の充実が不可欠であることから山地のお花が多数あるような場所に行ってみるのが良いと思います。
例えば高尾山や丹沢の麓エリアなどは彼らを始めオサムシ類なども有名なポイントです。
時期は春~初夏頃は下草の茂りも穏やかであるため見つけやすくなるかと思います。
見つけた際には素手では触らないように気を付けましょう。棒などで突いてみると棒が湿るはずです。毒性分が噴出されているんですね。
ヒメツチハンミョウは大変美しくまた面白い虫であるためぜひ虫好きの方にはじっくり観察してほしいと思います。