アゲハチョウの幼虫って何色?
アゲハチョウの幼虫といえば緑色の大きな幼虫です。でも緑色の小さなアゲハチョウの幼虫って見かけないですよね。
今回の記事では成長段階で異なるアゲハチョウの幼虫の見た目を紹介し、食べる葉っぱである柑橘類での見つけ方を紹介します。
アゲハチョウの色変化
アゲハチョウは卵から孵化した段階から緑色をしていると思われていますが、実際には成長段階によって色が変わっていきます。
生まれた当初は黒地に白が交じるような色合いをしており、遠目から見ると生き物には見えません。
幼虫はハチ類や鳥など多数の天敵がいる中を生きていかねばなりません。
そこでアゲハの幼虫は鳥の糞に擬態することで生き延びています。
脱皮するに連れて鳥の糞感は強くなっていき、写真のものは3回か4回脱皮したものです。
5回目の脱皮で一枚目の緑色の姿になります。人間が探す上では緑色よりも黒色のほうが見つけやすいですね。
緑になる前の4齢幼虫だと思われます。幼虫は天敵の多さから非常に素早く成長していきます。
アゲハの卵を100持ち帰り、成虫になるまでの割合を出した実験がありますが、成虫になれるのは1~2匹程度だったという記録があります。幼虫たちにはダニ類やハチ類、肉食性カメムシなど敵ばかりです。
そして緑色の段階で5齢幼虫が確定します。
この緑の段階まで、早ければ卵から2週間ほどでたどり着いてしまいます。
緑色に変化し、鳥の糞から葉や茎の緑色に擬態して蝶を目指します。成長してくると明らかに黒よりも緑色のほうが目立ちにくいのでこの変化は賢明ですよね。
2齢、3齢位の大きさでは本当に鳥の糞にしか見えません。見事な擬態だと褒めてあげたくなりますね。
アゲハの幼虫に似た幼虫
面白い風貌のアゲハチョウの幼虫、なんと似たような擬態を行う幼虫がいます。
一見するとアゲハチョウにしか見えませんよね。こちらはクワにつくクワコという蛾の幼虫です。昔から養蚕で人と親しく生きてきた昆虫ですよね。
ダーウィンの進化論に基づけば、数ある幼虫の中で鳥の糞に擬態するものが生き残った結果こうした模様を獲得していることになります。
自然界において鳥の糞に擬態することが有効であるということの証明であると思います。
アゲハチョウはミカン科を食べる
蝶や蛾の発見にはその虫が食べる植物の種類を知ることが重要です。
アゲハチョウを町中などでも見られるのは、食草となるミカンの仲間が庭木としてよく植えられているからです。
自然下ではサンショウでよく見られます。
町中の公園などではミカンの仲間が複数見つかることもありますが、体感としてはサンショウ>ユズ>ナツミカンの順でよく見られます。
自生下ではカラスザンショウというミカン科にもよく付きますが、こちらは樹木なので採取は厳しいです。
山の中で特定のミカン科を見分けるのはなかなか難しいと思うので、楽に見かけたければユズを探してみるのがおすすめです。
冬季に拳くらいの大きさの実をつけ、香りも爽やかで分かりやすいです。
ナツミカンは選択肢がない場合の候補という感じでしょうか。山地でミカン層が豊かな場合あまり産卵には来ていません。
幼虫の観察時期について
アゲハの幼虫は冬を蛹で越し、4月に成虫が出てきます。
その後5月ころから越冬前の11月にかけて絶え間なく幼虫を見ることができます。
前述の通り卵から蛹までの期間が3週間程度ととても早いので、幼虫の飼育などをしたい場合には良く探しに行かないといけません。
身近なミカン科で見られるアゲハの種類
黒系のアゲハの中でも平地性のクロアゲハは良く見られます。春~秋まで山地から平地まで幅広く見られる種類です。
ナミアゲハは平地の最もよく見かけるアゲハチョウの仲間です。ナツミカンを普通に利用してくれるので(カラスアゲハなど使わない種類がいる)見かける機会が多いです。
平地で見かける機会が多いのはこの2種類になると思います。アゲハチョウも利用するミカンの仲間をうまく分けることで、平地や山地それぞれに適応しているのでしょうね。
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