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バッタの種類と探し方。イネ科を主食とするバッタたち

身近なイネ科食のバッタたち


草むらを歩いていると急に飛び出してくるバッタがいますよね。

良くみてみると飛ぶ距離や姿がちょっとずつ違ったりします。それを知りたくていざ探してみるとなかなか見つけられません。

今回の記事では主にイネ科の植物を食べる大型のバッタ類の姿を比較し、探し方を紹介します。子供に大人気のバッタの違いが分かります。

バッタの探し方と食性

まず遭遇できなければ捕まえることもできませんよね。

バッタ類を探すうえで重要となるのは探したいバッタの食性です。

ひとえにバッタと言えども草だけを食べている草食性のものから他の昆虫類を食べる肉食性のもの、さらには草も肉も食べる雑食性のものもいます。

今回はイネ科の草で見られるバッタの探し方です。種類としては
トノサマバッタ

ショウリョウバッタ

クルマバッタ

クルマバッタモドキ

上の4種類が特に目にする機会の多い種類です。

バッタ類はその食性によって生息環境が比較的よく分かれています。

肉食や雑食性のものには樹上性(秋鳴く虫など)の傾向が強いものがいたりしますが、イネ科の草を食べるものは皆開けた草地環境で見ることができます。

例えばみんな大好き芝生環境は、イネ科好きのバッタにとっても生息に適したいい環境です。

芝生は人工的に管理されている場所ですが、身近な公園などにもあることからアクセスしやすいいい捕獲場所になります。

芝生以外ではオヒシバやメヒシバという自生種のイネ科がおすすめです。

いわゆる雑草というくくりで呼ばれる植物なのですが、空き地や畑地、ちょっとした土がある場所など幅広い環境で見ることができる植物です。

イネ科植物の種は風で飛び、定着すると根からも増えることができるという性質から小規模のエリアでも群落を形成することができます。

そういった場所にはバッタ類が秘かに生息しています。

路肩や畑地で細長い草を見かけたならば、足や網でガサガサして一度バッタを飛ばします。

バッタはその姿から目視するのは困難です。一度飛ばしてそのあとを追いかけて捕まえるのが王道の探し方です。

主食のイネ科の高さ

私の経験則ではバッタを探すうえでイネ科草本の高さによって出現するバッタ類の割合が変わってきます。

例えば背丈の低い芝生にはショウリョウバッタが良く見つかります。

ショウリョウバッタはよく知られるようにイネ科草本に擬態しているバッタで、背丈が短くとも細い葉に擬態することで天敵の眼をごまかすことができます。

一方で大型種で、体高が高いトノサマバッタやクルマバッタは身を安全に隠せる背丈の高いオヒシバやメヒシバの群落にいることが多いです。

管理された場所ではショウリョウバッタ、雑草的なイネ科が多い場所ではトノサマ、クルマの割合が多いと覚えておきましょう。


さあバッタが飛び出てきましたよ!どんな種類でしょうか?

バッタの種類の詳細

トノサマバッタ


バッタの王様ことトノサマバッタです。捕獲難易度は高い方で、一度の飛翔距離が50m以上になることもあるまさにトノサマなバッタです。

バッタ界隈ではかなり高い人気を誇ります。

8月に入ったころから目にする機会が増え、9月頃が一番数も多く捕まえやすいと思います。

場所としては河川敷のススキ群落や河原のツルヨシ、公園ではオヒシバやメヒシバなどの日本の自然下に自生している背の高いイネ科草本の付近で見つかります。

生息密度の高い所では背の低い芝生などの開けた環境にも出てきますが、数は多くはない印象です。

10月以降で気温の下がる時期になると、朝方は体温が低いため捕まえやすくなります。

クルマバッタ


神奈川をベースに考えるとトノサマよりも数が少ないバッタです。トノサマに非常に似た姿をしています。トノサマよりやや小型で頭の後ろが膨らんでいる点が見分けるポイントとしては分かりやすいです。

生息環境はトノサマとあまり変わらない印象を受けますが、生息が局所的な種類という印象です。

いる場所には多数いますが、いない場所には全くいません。河川敷や自生の背丈の高いイネ科が見られる場所をガサガサしていると飛び出してくるかと思います。

クルマバッタモドキ


よくトノサマバッタと間違えられている種類です。

トノサマ、クルマよりも個体数は圧倒的に多い種類です。

大きさは中くらいで頭の後ろにX字の模様が入るという特徴があります。

ここが見られれば判別は分かりやすいのですが、飛び出してきたタイミングではクルマバッタとなかなか見分けは付きません。

環境としては芝生にはあまりおらず、背丈の低い自生のイネ科群落にいる印象が強いです。バッタ探しをしていれば普通に遭遇出来る種類といえるでしょう。

ショウリョウバッタ


8~9月に平地でよく見かける種類です。チキチキバッタの異名を持ち、飛んだ時にチキチキ音を立てます。ショウリョウバッタがいそうな草地ではこの飛んだ音を頼りに探すこともできます。

環境としては細長い体を生かした擬態によって背の低い芝生によく見られます。

イネ科草本が生えていれば普通に目にすることが可能な種類です。♀は非常に巨大で、7~8cm近くもある大人気種です。

バッタが茶色い!珍しい?

芝生などの草地では緑色のバッタの割合が高くなります。しかし中には色違いの茶色のものが混じっていることがあります。

バッタ類は成長の段階で周囲に草が多い環境かそうでないかによって色が変わっていくため、茶色も緑も両方見られるということを知っておいてください。

何年か前にサバクトビバッタの大発生がニュースになったのを覚えていますか?バッタには育った環境によって決まる群生層(ぐんせいそう)と孤独層(こどくそう)というタイプがあります。

私の行動範囲では写真の孤独相ばかり見られます。孤独相は餌の豊富な環境で見られる緑色の種類です。

群生相は写真はないのですが、餌の少ない環境に現れる飛翔能力の高いタイプです。サバクトビバッタが茶色だったように、この茶色のバッタの大量発生は災害をもたらします。

バッタの色の違いには育った環境に擬態するものと、生まれた環境に適応したものがあるのでそこを意識してみましょう。

まとめ


芝生の程度によって同じイネ科でも出現するバッタ類の割合が変わります。

背丈の低い所ではショウリョウバッタが多く、自生の背丈の高いイネ科ではトノサマやクルマバッタが見つかります。

クルマバッタは局所的なので見つけられたら運がいいです。バッタ探しを行うときには周囲の環境と色にも注目してみるとバッタ類の生存戦略が見られて大変面白いものになります。

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