芝生、駐車場、街中で7月ごろからたくさん見かけるトンボたち

関東では夏から秋になると開けた環境でトンボの仲間たちが一気に姿を見せ始めます。
淡い色キイロ主オレンジともとれる色のトンボたち。晩秋には赤とんぼになるに違いない!と思いきや?このトンボはいわゆる赤とんぼではなかったりします。
今回の記事では芝生や駐車場など街中などでも目にするウスバキトンボというトンボに注目し、その変わった生態や赤とんぼとの違いを見ていきます。
(記事最終更新2025/12/25)
赤とんぼとは?

主に夏から初冬まで見られるトンボで、夏は明るい黄色をしていますが、季節の変化とともに赤い色をしていくトンボの総称です。
代表種はナツアカネやアキアカネがいますが、赤とんぼの含みには更に多くの種類がおり、赤くなるものもいれば元から赤とんぼなどもいます。
写真のようにものに止まる性質が強く、とても観察しやすい種類です。ピークは10月頃からで普通に目にすることができます。
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(赤とんぼについてまとめました)
実は街中などでみられることはあまりなく、今回紹介しているウスバキトンボは赤とんぼではないのです。
生態
トンボのヤゴは水辺環境に依存しています。

そのため、昔から里山管理されている湧水の出る谷戸的環境や、水田環境によく見られる昆虫でした。
しかし、赤とんぼを始め水辺の昆虫は農薬の使用率や環境の減少に伴い急激にその姿を減らしています。

ヤゴはユスリカなどの幼虫を食べ、成虫はカゲロウ類や蚊の仲間などの昆虫類を食べてくれるので、とても嬉しい益虫です。
出現はおよそ8月~11月下旬頃で種類によっては夏の暑さを避けるため、山に移動するものもいます。
ウスバキトンボの生態

ウスバキトンボは同じ日本でも西と東で見られる時期が異なる昆虫です。
関東では8月中旬頃から見られ始め、9月の中頃をピークにその後も細々と発生します。
エサは赤とんぼと同じですが、季節の変化とともに色が変化することはなく、文字通り薄い黄色のトンボのまま過ごします。

翅が非常に軽く、トンビのように風にうまく乗り飛んでいます。羽ばたくことがありません。
枯れない程度の水があれば発生することが可能で、プールや庭の池、町中や人工物であってもヤゴを見ることができるトンボです。各地の水辺を転々と移り渡り旅をしているのです。
成虫は開けた開放空間に出現し、都市部の住宅地であっても姿を見ることができます。街中で怪しい赤とんぼのような生き物を見つけたらそのトンボが止まらずに飛翔を繰り返すのかどうか注目してみましょう。止まらなければウスバキトンボの可能性が高いです。
ウスバキトンボは旅するトンボ
ウスバキトンボは日本でのみ見られるトンボでは有りません。

インドなどの熱帯地方で幅広く見ることができるトンボです。
九州などでは春~初夏、関西では初夏~夏、関東では秋ごろに見られ、徐々に北上するという性質があります。
このトンボは熱帯のトンボなので日本の寒い冬を越すことができず、回遊魚のように死滅します。
毎年熱帯で発生した個体が広域に拡散し、偏西風に乗ることで日本にもたどり着きます。

その後前述のように各地の水辺で産卵と発生を繰り返しながら東へと流れていきます。
このため、同じ日本でも見られる季節が異なるんですね。
シーズン中には各地の開けたような環境でとても多くの黄色いトンボを目にすることができます。
関東の夏から秋に赤とんぼらしいトンボを見かけたらまずウスバキトンボを疑うというくらいには目にします。虫好きには季節のおなじみの顔です。
芝生や駐車場などに現れる理由

ウスバキトンボは開けた何もないような環境で非常によく目にします。
赤とんぼ類のアキアカネやナツアカネが背丈の低い草が多いような(止まり木が多い)環境に現れることと比較すると、似ている環境でも棲み分けをしていることが分かります。
ウスバキトンボを見かける場所としては芝生、開けた草地、町中であれば駐車場や公園などでも目にします。

飛翔を見ているとよく分かるのですが、本当に止まらないトンボです。
旅をするトンボなので風に乗る能力が優れているようで、見ていると羽ばたいていません。
優雅に風を受けながら何をするかと言うと、食事ですね。
ツバメは雨が降る直前になると低く飛ぶといいますよね。
ウスバキトンボもツバメと同様に昆虫を捕食しているので、空気中の湿度に応じて高い所を飛んでいたり低いところを飛んだりします。
ある意味では湿度センサーのように使え、雨の直前などの判断に使えたりします。よく観察をすれば獲物を捕らえる際の自在な翅の性能に驚かされることでしょう。
また、シオカラトンボやヤンマの一部ががコンクリート上に現れますが、これはコンクリの光の反射を水面の光の反射と勘違いしている可能性があります。
秋に見られる似たトンボ
関東の秋には特に目にしやすいいくつかの赤とんぼ類がいます。似たような種類を見てみましょう。
代表種のアキアカネやナツアカネは夏場は高山の上に避暑しているため、姿を見る機会は少ないです。
ナツアカネ

ナツアカネは真夏頃の比較的早くから目にする赤とんぼです。ナツアカネとアキアカネはとても似ているトンボで、この写真では見にくいですが胸の模様に違いがあります。よく止まるトンボなので指を立てると止まってくれたりします。
(高原の7月上旬にてナツアカネ)
アキアカネ

環境的にはナツアカネと同じ場所に見られます。前述の模様が2本あり、模様が真っすぐ伸びている特徴がありますが、写真では分かりにくいです。やはりよく止まるトンボで、秋以降の個体はとても美しい赤色をしています。
トンボも大人になってから更に成長をし、成熟していきます。その程度が赤色として現れます。
ミヤマアカネ

山地のやや陰ったような環境で目にする赤とんぼです。翅に特徴的なまだら模様が有り、判別は容易です。
神奈川では絶滅危惧種に載っており、産地ではまだまだ見られますがいないところにはいません。
成熟とともに赤みが強くなっていき、晩秋のものは上記2種よりも美しく見えます。
トンボ採集道具
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