指くらいの大きさがある緑の幼虫
主に春~秋口にかけて様々な場所で大きな幼虫を目にしますよね。
大きい幼虫にも様々な種類がおり、幼虫の多様性を観察することができます。
珍しい色ならともかく緑色の幼虫となると似たような姿の物が多く判別に困りますよね。
今回の記事では暖かい季節に目にする緑色の大きな幼虫がざっくりと何の仲間なのか見分ける方法をお伝えします。
緑色の大きな幼虫とは
大きい幼虫の基準は主観的要素が大きいため曖昧です。
今回の記事では5cm以上になる種類を大きい幼虫とさせていただきます。
緑色の大きな幼虫でかつ平地や町中などでも目にする種類は限られており、スズメガの仲間やヤママユガの仲間などに絞られます。
これらの蛾のカテゴリーは毒を持たない種類であるため、緑の大きな毛虫の場合大抵触れても大丈夫です。(基本触らないように)
幼虫の食性について
幼虫には広食性(幅広く何でも食べる)のものと特定樹種を好むものがいます。
広食性のものは例えばソメイヨシノなどのサクラ類、コナラなどのブナ類、雑木林のエノキやイヌシデなど幅広く食べる例があります。
例としては畑に出て様々な作物を食べるヨトウムシやネキリムシです。
特定のものとしては本当に決まった1種しか食べないものから科レベルでしか食べないものなどがいます。
例としてはアブラナ科を食べるモンシロチョウなどが分かりやすいと思います。
お尻に針状のアンテナが有る場合
まず見かけた巨大幼虫の中で最も多いと思われるスズメガの仲間を紹介します。
スズメガは蛾のカテゴリーの1種でこの仲間の幼虫にはお尻に針状の突起があるという唯一無二の特徴があります。
緑色の種類も多く、いくつか例を挙げるとクチバスズメやオオスカシバ、キイロスズメなどが挙げられます。
いずれも科の特徴である尾を見れば容易に判断が可能ですね。
科として毒はなく、サイズが大きいだけで不快感を持たれている可哀想な幼虫でもあります。
食草を上記の例であげるとオオスカシバはクチナシですしキイロスズメは自然薯でおなじみのヤマノイモなどに付きます。
農作物ではトマトやナスのクロメンガタスズメが有名でしょうね。いずれにしてもかなり多方面で馴染みの深い大型幼虫です。
スズメガの成虫
成虫の姿を把握しておくことで逆に幼虫がいる可能性を見出すことが可能です。
成虫がいれば産卵している可能性が高いからですね。スズメガの仲間はジェット機のようなフォルムをしており、成虫は外灯などによく飛来します。夏の時期には樹液に来るものもいますね。
庭の近くやお家の照明にこうしたかっこいい姿の成虫を見かけた場合には幼虫がいる可能性を考えておいてください。
彼らは大型になるため、食べる量が多く植物にかなり悪影響を与えます。
体に毛が生えている場合
身近な例としては大型でありながら毛も生えているというパターンがあります。
この例は樹木で発生するケースが多いので、家庭菜園とかお庭で発生する事例というのはスズメガに比べると少なくなります。
緑で毛が生えている場合に考えられるのは主にヤママユガの仲間です。
代表例としては庭木のサクラに付くオオミズアオ、クリなどに発生するクスサン、モミジなどに発生するヒメヤママユなどが挙げられます。
成虫が10cmを超えることもあることから幼虫はかなり巨大です。いくつか見てみましょう。
巨大種の幼虫はどれも特徴的で分かりやすいですよね。オオミズアオとクスサンはその食性の広さから時折大量発生することもあります。
お住いの地域でも目にする可能性はあるので、メジャーな緑の幼虫のざっくりとした見分けを覚えておけばだいぶ判別は楽になるはずです。
発生時の対処法について
さてこうした緑の幼虫が気になる方はおそらく畑地や庭などに発生してしまったかたまたま目にした大きな幼虫がなにか気になった方でしょう。
後者であれば科さえ分かれば(スズメガ科ヤママユガ科)今は簡単に種類を絞れます。
一方で発生した場合の対処はなかなかに難しいです。
庭や畑で幼虫を殺すことに抵抗がないならば殺して土の養分にしてしまうのが一番です。
処分するのが厳しい場合もあると思います。低木や草本であればオルトランなどの浸透移行性農薬の使用(作物の場合収穫タイミングに注意が必要)は効果的です。いずれにしても大型で発見すると虫が苦手な人に対処は厳しいです。
自分が育てる植物にどんな害虫が付くか、ヤママユガ科やスズメガ科などが付くか事前に調べて愛情を込めて頻繁に観察しながら育てて上げるのが効果的かと思います。
まとめ
緑色の大きな幼虫は都市部や市街地でも目にする機会があります。
大きい幼虫はそれだけでスズメガの仲間やヤママユガの仲間などの巨大幼虫だと推測できますが、お尻の形や毛の有無などを確認することでより詳細に種類を特定することができます。
これらは大型になるとかなり植物に悪影響をもたらします。できれば大きくなる前に発見して処分しやすいサイズのうちに土に返してしまうのがおすすめです。
とはいえ大きな幼虫をじっくり観察できる機会も貴重です。スズメガとヤママユの仲間であれば毒はありませんので、種の特定ができたなら触れてみるのもいいと思います。
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