茶色の巨大幼虫を発見!
秋になるとスズメガの仲間の巨大幼虫を目にする機会が増えます。
多くが緑色をしているのですが、中には茶色の巨大幼虫を発見してビックリ!ということもあります。
茶色の巨大幼虫も何種類かいますが、今回紹介するのはキイロスズメという種類です。
この記事では幼虫なのに2種のカラーリングを持つキイロスズメを紹介し、その可愛らしい魅力を紹介していきます。メロメロになること間違いなし!
キイロスズメと利用植物
キイロスズメは秋に見かけることがある大型の幼虫です。
蛾の仲間としてはスズメガの仲間に所属しており、幼虫の大きさは7~8㎝近くなる屈指の巨大幼虫です。
キイロスズメはヤマノイモ科を利用し、自然薯やヤマノイモ、ナガイモなど我々にもなじみのある植物を食害します。
これらの植物は意外と身近に生えていることから時期になると目にする機会はどこにでもある幼虫です。
スズメガの仲間の中でもこの蛾はかなり特殊で、幼虫には白緑色のものと茶色のものがいます。
環境によって色を合わせるカマキリやバッタ類のように周囲に溶け込むための戦略なのではないかと思われます。
成虫は出会えていませんが黄色いラインが入っておりとても美しいスズメガです。雰囲気として別のスズメガの成虫を紹介しておきます。
この形の蛾はスズメガなので覚えておきましょう。
スズメガの仲間とは
スズメガの仲間はとても身近な巨大な蛾です。
幼虫の多くが5㎝以上になる蛾で、食草はキイロスズメのように狭く決まっているものが多いです。
例として挙げるならぶどう科利用のブドウスズメや、クチナシ利用のオオスカシバが挙げられます。
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最も身近なスズメガ。ハチドリのような飛翔をするオオスカシバの紹介。
そのため植木や庭木として条件がそろうと市街地であっても発生する可能性があります。
幼虫には特徴的なお尻があり、アンテナのようにピンと立ち上がる針状の突起を持つ分かりやすい特徴が見られます。
科に共通する特徴なので、種が分からなくとも容易にスズメガの仲間だと特定できます。
この仲間には毒がないため、勇気さえあれば触れることも可能です。
種や個体差により反応は異なりますが、せいぜい内容物を吐きかけられるくらいで済むので興味のある方は触れてみることをお勧めします。
擬態の戦略
いくつかのスズメガの仲間にはヘビに擬態するような戦略をとるものがいます。
キイロスズメはヘビ擬態がとても上手なスズメガで、特有の目玉模様を持つだけでなく頭をスッポンのようにひっこめる独自の技を見せてくれます。
これにより他種よりも目玉に見せるのがうまく、知らない人が初めて見た場合頭部を勘違いするケースもあります。
これこそまさにキイロスズメが天敵である鳥たちを驚かせる行動そのものです。
類似種としては夏に見られるセスジスズメが挙げられます。
セスジスズメはキイロスズメよりも引っ込み具合では負けますが、その分黒に黄色や赤といった警告色を交えることで蛇のヤマカガシの様な擬態を見せます。
キイロスズメはもしかすると茶色のものはシマヘビ、緑のものはアオダイショウを真似ているのかもしれませんね。あくまで私見です。
自然の中で勝手に生存に有利な他の生き物に似た特徴が発現するのはとても不思議で面白いポイントです。ぜひとも見かけた際にはユニークな特徴を見てください。
食草のヤマノイモ科
チョウやガの出現には食草が必ず関わってきます。
キイロスズメはヤマノイモ科の植物を利用します。
この仲間はつる植物であるため、フェンスや畑地の端などのつる植物が繁茂している環境で目にします。
身近なヤマノイモ科としてはヤマノイモ、オニドコロがよく見られます。
種レベルで見分ける必要はありませんが、ヤマノイモにはこの時期むかごというクローン繁殖のための栄養が詰まったものができるため、このむかごを覚えておくとヤマノイモだと認識しやすくなります。
対処法
まずスズメガの仲間はつく植物が決まっているものが多いので、自宅の植物につくようなスズメガがいないか下調べしておくのが有効です。
ここからは典型的な症状を例に幼虫発見のプロセスを紹介します。
まず大型植物でない場合ルッキングと言って目で見て探すのがかなり有効です。
しゃくとりむしの様な擬態を取るわけでもないので、大型になっていればかなり簡単に見つかります。
もし木々が混雑していたり、高い場合には糞を探すというのが有効です。
スズメガやヤママユガなど5㎝以上になる大型幼虫の場合その糞は1㎝近くなりかなり目立ちます。
上を見るのではなく下を見ていくのはお勧めです。
そして幼虫は葉を食べることから葉をしっかり見ていくのもおすすめです。葉の淵から月が欠けるように食べられている場合には幼虫がいる可能性が高いです。
これらのサインをうまく活用して、幼虫を発見しましょう。
処分に困ったなら土に返してしまうのがおすすめですね。もし偶発的に発生して困っていないなら放置しておいても問題ないです。食草の狭い種類ならば他の植物に加害する可能性はかなり低いです。
まとめ
茶色い巨大幼虫はキイロスズメという蛾の仲間の可能性が高いです。
キイロスズメには緑色の個体もおり、同じ種なのに2つのカラーリングを持つというとても面白い幼虫です。
食草はヤマノイモ科を利用し、街中や公園などでもよく目にします。特にヤマノイモやオニドコロはその辺に普通に生えているので、キイロスズメは普通種です。
ヘビ擬態の戦略なども見られるため、生き物の不思議を観察するのにうってつけの1種です。見かけたらじっくり観察してあげましょう。
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同時期に見られる巨大な毛虫も紹介しています。町中でも目にできる種類です。
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攻撃的な黒と緑色の毛虫、フクラスズメの紹介です。山地よりで見かけるメトロノームのような首振りを見せる怖い幼虫です。
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記事の途中で紹介したセスジスズメのピックアップです。怖いほどよくできたヘビ擬態を見せてくれます。