スズメバチも仕留める最強の昆虫?
シオヤアブというガタイの良い虫がいます。見た目に反してオニヤンマやオオスズメバチとお互いに捕食し合う昆虫界最強格の虫だったりします。
この虫は奇襲を利用して獲物を仕留める非常に面白い狩りをします。紹介しないのが惜しい虫なのでその魅力をお伝えします。
昆虫を狩るムシヒキアブの仲間
シオヤアブはその白いお尻から目にすると印象に残ります。白模様は♂の特権で、♀にはありません。また、時間とともに無くなってしまいます。
同じ仲間にはムシヒキアブの仲間というものがおり、こちらも葉の上や手すりなどの人工物などのちょっと高い開けた環境で目にします。
彼らの止まるところというのは彼らの狩りの習性と関わりがあります。
彼らは狩りの際に昆虫が来そうな環境で待ち伏せをするのです。
そのためやや視界の開けた環境で張り込み、余分な体力を使うことなく獲物を捕らえることができます。
人が来ると別のいい環境に1m~2m程度移動し、その光景がまるで人間からすると道案内をしてくれているかのように見えます。かわいいですよね。
ムシヒキアブの衝撃的な狩りシーン
待ち伏せをしたムシヒキアブは昆虫の背後から一気に忍び寄り、昆虫の急所である頭、胸、腹それぞれの境目の部分に鋭い口吻を突き立てて仕留めます。
そのため、条件が良ければ自分よりも圧倒的に大きな昆虫であっても仕留めることができます。
写真は夜間にセミが落ちてきたと思いきや、ムシヒキアブに襲われていたものです。数m上から降ってきたので驚きました。
この仲間は多少の闇でも目が見えているのか、夜間に狩りをしている場面に遭遇します。
特に獲物として好むような傾向は無いようで、コガネムシなどの甲虫類、ハチ類、トンボ類、セミなどなど幅広い種類昆虫を食べるようです。
昆虫の中にはヒメスズメバチのアシナガバチ喰いやモンスズメバチのセミ喰いなど特定のものへの嗜好性を示すものがいますが、今のところそういった傾向は見られていません。
しかし、蝶や蛾などの捕食例は今のところ見ていません。
昆虫界の頂点に位置するトンボも狩る!
トンボは度々彼らの犠牲になっています。コヤマトンボでしょうか?
夜間などトンボはぶら下がるようにして休んでいるのですが、その姿から奇襲を仕掛けやすいのではないかと思われます。
一方で日中のトンボが活動している時には逆にトンボ類に発見されて食べられるというケースもあります。
自然界では食べる食べられるの関係は一方的ではっきりしている事が多いですが、ムシヒキアブを取り巻く昆虫界上位の虫たち(オニヤンマやスズメバチ)は環境条件次第で食べる側にも食べられる側にも回ります。
オニヤンマやスズメバチもこのアブの仲間に食べられることがあるのです。
多くの幅広い虫を捕食するシオヤアブなどの仲間たち。
その鋭い口吻は昆虫を仕留めるためのものなので掴んだりしなければ人を刺したりすることはありません。彼らアブの仲間を取り巻く環境は食物連鎖と絡めて見るととても面白いものです。この時期非常によく目にするので、見かけたらぜひ注目してみてください。
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シオヤアブと並ぶオニヤンマです。オニヤンマ君ですがその効果がなぜ見られるのか?という点を考察しています。
シオヤアブも黄色と黒の虫ですよね。読んでみると共通の仮説が成り立ちます。
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三大巨頭のスズメバチの紹介です。身近な種類を網羅しています。
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昆虫採集を行うならシオヤアブを始め危ない虫や道具などへの理解が必要です。