豊富なカミキリ層が魅力的な高尾山
植物の豊かな高尾山には植物と関わりの深いカミキリ類も多く生息しています。
その中でも特に人気なカミキリがヨコヤマヒゲナガカミキリ。
ブナ帯に生息するカミキリ好き憧れの虫と言われています。ぜひともひと目見てみたいということで、夜の高尾を訪れました。
(写真はウスバカミキリ)
黄昏時の樹木ルッキングで♀を探そう
カミキリの採集で大切なのは植物です。
ヨコヤマヒゲナガカミキリ(以下ヨコヤマ)は高尾山に多数生えるイヌブナという樹木の生木を利用します。
webやSNSによればイヌブナのヒコバエを利用するということなので、ヒコバエと根本の幹の割れ目などをルッキングしていきます。
イヌブナの根本にカミキリ系の脱出痕を発見しました。
ヨコヤマはゴマダラカミキリ程のサイズ感ということで、カミキリとしては大型よりのカミキリです。
厄介なライバルとして先程の細長いウスバカミキリがいます。
広葉樹を幅広く加害するカミキリで、この日もルッキングをしていてカミキリを見つけるとほぼウスバでしたね。
ヒコバエを見る
高尾のイヌブナは根本からヒコバエがよく出ています。中程度のヒコバエならば十分付くのではないかと思います。
イヌブナには結構な数のカミキリムシ加害痕があり、ヨコヤマのものか不明なのですが(ウスバな気がします)何も痕跡がないよりは期待が持てますね。
イヌブナの雰囲気
葉はこんな感じです。
葉はやや厚みがあり葉脈がとても目立ちます。樹皮は白目で樹高も10m以上になる巨大な植物です。実物を見ると結構分かりやすいです。
ケーブルカー付近~山頂まで圧倒的に多数見られ、このおかげでヨコヤマやアオタマムシなどブナをエサとする良い昆虫が見られるのが高尾の素晴らしいところです。
こんな感じで根本から非常に良くヒコバエが出ます。
この隙間を覗いてヨコヤマがくっついていないか見ていきます。今回は17時~19時頃にかけてルッキングしてみました。メマトイのような虫が凄まじかったですね。
イヌブナのカミキリたち
ヨコヤマ探し初心者の私ですが、他のカミキリが加害しているのはいい木だろうと判断しています。
樹液にしても集まりやすい木とそうでない木があるように、カミキリが加害するにも善し悪しがあると見ています。
このウスバがいた木は加害痕も脱出痕も多く、有望なポイントになりそうです。
そして最高に悪いのがゴマダラカミキリです。
脱出痕は似ているしサイズやフォルム、触角の長さまで似ているので発見時にとてもドキドキします。
特に遠目から見つけたときはついに来たか!?と思ってしまうくらいです。
今回感じた傾向としてはヒコバエが無数出ており、凹凸の激しい幹であること。
根の一部などが露出し、取り付きやすい空間ができていること。の2つを満たしているイヌブナにカミキリが付いていました。
外灯も含めてヨコヤマの発見には至りませんでしたが、まだ彼らの出始めの時期です。夏本番に向けて有用なデータ収集ができました。
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8月は外灯でヨコヤマとミヤマを並行して探していました。次回の外灯採集編です。
今回の高尾で見かけたカミキリムシたち
高尾山にもアカアシオオアオカミキリが現れました!
クヌギにしか来ないのかと思いきや、ここではコナラに来ていました。
発見数は5匹と多くはありませんがやはり良いカミキリです。
他のカミキリ屋の方も名前を上げるとやはり反応しており、虫屋の関心が高いカミキリですね。
ハスオビヒゲナガカミキリです。初見なので発見時は名前が分かりませんでした。模様が特徴的で可愛らしいですね。模様的にヤハズかと思ったのですが、先端がヤハズではなかったのでハスオビとしました。
ホソカミキリです。こちらは樹液に来ていました。名前の通り細いカミキリですね。あまり数が多くないのかこちらも初見です。
お目当てには出会えませんでしたが多数のカミキリに出会えて満足度の高い高尾山昆虫観察となりました。
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同じくイヌブナを利用するアオタマムシ編もおすすめです。高尾で虫を探すならヨコヤマとアオタマですよね。