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アオカミキリ採集記。緑の大きな美麗カミキリの探し方。

緑に輝くカミキリムシ

6月に入り昆虫も沢山の種類が出てきています。

全身キラキラ緑の美麗種。

6月の昆虫の中でも人気の高いカミキリムシの仲間の中にアオカミキリという大型で緑色の金属光沢を持つものがいます。

この虫は紅葉の植栽とともにいろいろな場所で痕跡を見ることができるのですが、不思議なことにどこでも個体数は多くなく、その姿を見るには生態を理解したルッキングをしていくのが有効です。

この時期の楽しみとなるアオカミキリ採集に行ってきましたよ。

アオカミキリ採集の条件と存在を示すサイン

アオカミキリにはおよそ3つの探し方があります。

ゼフ、ハナカミキリ、雑虫などたくさん副産物もある

1つが栗の花などの花に来た個体を花掬いで捕まえる方法。

2つ目は食草となるモミジの仲間の樹冠を飛ぶ個体を目視して捕まえる方法。3つめは細枝に産卵に来るメスをルッキングで見つける方法です。

今回は比較的見つけやすい3つ目のメスのルッキングを行いました。

樹冠は見られる場所が限られるのでいい所があれば採用する。

アオカミキリは飛翔性が高いので6月の気温が高い晴れた日の午前中に食草のモミジを見ていくのが効果的です。産卵のメス狙いだとあまり時間帯は気にせずに捕まえることができます。

アオカミキリ採集において最も大事なのはモミジに成虫の羽脱孔(うだつこう)があるかどうかを確認することです。

このカミキリはどこにでもいるもののどこにも多くはない面白い虫なので、その存在を確認できるかどうかはとても大事です。

恐らくアオカミキリの痕。縦方向に避けていることが多い。

モミジには平野部から低山地の場合には、ゴマダラカミキリとアオカミキリの2種類が大きく分けて利用します。

この内ゴマダラカミキリの羽脱孔はまん丸をしており、アオカミキリのものは横に避けるようなユニークな姿をしています。

この違いを利用して羽脱孔を見るのがアオカミキリの存在を示すものとして有効です。

写真上部のような枝先の枯れがあるかはとても重要

それから枯れた枝があるかも重要ですね。アオカミキリは枝の先端にある細枝に卵を産み付け、幼虫が幹の方へ移動していく生態を持ちます。

そのため、アオカミキリの食害があるモミジの仲間ではモミジの枝先の細枝が枯れている現象が多々見られます。

葉が大きく、モミジの中でも分かりやすいイタヤカエデ

利用樹種は私の地域ではイタヤカエデの人気がずっと高く、イロハモミジやヤマモミジなどでも時折見つかります。前述の羽脱孔や部分枯れのある木のほうが個体が見つかる可能性はずっと高いです。

利用樹種がイタヤカエデである場合にはアオカミキリの成虫が羽脱すると甘い樹液が出るため、スズメバチやカナブン、クワガタなどがついていることもあります。

イタヤカエデについているスジクワガタ

こうした色々なサインを利用して薄い分布のアオカミキリを探していきましょう。

アオカミキリの採集記

ここからは採集記です。

木々を下から見上げて枝先を中心に見ていく

気温が大きく上がり雨直後の午後からアオカミキリを探すことに。ここではオオモミジの樹冠とイタヤカエデのルッキングをしていきます。

既に2年ほど定点的に観察をしている地域で、もういることはわかっている地域ですが、2年前に見つけるまでは記録がなかった地域です。

午前に雨が降ったからか樹冠の飛翔はなく、イタヤカエデのルッキングに切り替えます。

同様の方法で以前見つけた個体

ルッキングというと木を横から見るようにして行うことが多いかもしれませんが、アオカミキリの細枝ルッキングでは木の足元に立ち、枝先を透かすように見上げていくのが効果的です。

過去の経験を話すと、アオカミキリは親指程度の枝についていることがとても多いです。部位は圧倒的に葉先から50cm以内の範囲が多いですね。

葉が濡れているので流石にコンディションが悪いかと思っていると、遠い枝先をアオカミキリみたいな虫が歩いているのを発見。私の網では届かないので同行の方の9mの網で枝を叩くと?

毎年に一匹目は特に嬉しいもの

アオカミキリです。

緑色の光沢が非常に美しく、それでいてトラカミキリなどよりもずっと大きいサイズ感のいいカミキリですね。

年に一度はやはりこの虫を見ておかないと駄目ですね。

アオカミキリを見つけてどんな場所にいたという話になったので、親指ぐらいのこんな感じの枝先にいたんですよと見つけたものにそっくりな枝を撫でていくと!

素晴らしい。

まさかのアオカミキリ。それらしい枝で紹介していたら仕込みのように見つかってしまいました。これには二人共びっくり。

アオカミキリは通常緑ですが、出現初期にはオレンジや赤色のものがいます。標本にするとみんな緑色になってしまうそうで、生きているときにしか見られない色彩の変化ですね。

その後時間は16時の前ぐらいになり、イタヤカエデの樹冠を見ていると怪しい飛翔物体を確認。飛翔を横から見ていた私は翅が見えずアオかなぁと思っていましたが、同行の方は飛翔を正面から見ていたようでアオと確信していました。

上翅の端にオレンジ色が入る個体。羽化直後なのだろう。

木を分散してみて網に掬いいれると、オレンジ味のあるアオカミキリでした!

この日は3時間ほどの暑い日の活動の中で3匹のアオカミキリを見つけることができました。

昨年は結構しんどい採集だなと感じていましたが、オオトラカミキリ採集を経験したおかげで成果の上がらない時間でも集中力を保つことができるようになり、簡易オオトラ採集みたいな形で楽しかったですね。

もう少しシーズン中に探してみて、自分用にも1匹捕まえようかなと思います。

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