キラキラしている緑の虫の正体は
自然の中を散策していると目につくのがキラキラした虫です。

虫に興味が無くても視界の中でキラキラしたものがあるとついつい見てしまいますよね。
でも細かい虫の種類は分からず、あの綺麗な虫は何だったんだろう?と思いませんか?
そこで今回は特に身近で目にする可能性がある緑色のキラキラした虫をまとめて紹介します。(一部虫は写真取れ次第乗せます)
ヤマトタマムシ
ヤマトタマムシは主に6~9月上旬ごろまで見つかる大型のタマムシです。

なんといっても緑色光沢をもつ大型昆虫としてあまり昆虫になじみがない方でもよく知っていますよね。
天然記念物や絶滅危惧種などおよそ幻の昆虫のような扱いを一般の方から受けていますが、彼らの生息圏が樹冠(じゅかん)といって木の頂点部分なので目にしないだけで都市部の平地でも普通に見つかります。

体には緑以外にも赤い線が走っており、裏側はオレンジも含んだ派手な色合いをした人気のキラキラした虫ですね。
捕まえたい方には記事もあります。
クロホシタマムシ/マスダクロホシタマムシ

クロホシタマムシ及びマスダクロホシタマムシは、前者はクヌギやコナラを始めとした雑木林で、後者はスギやヒノキからなる針葉樹の林があれば都市部でも見つかる可能性があります。
時期はおよそ5月頭~7月頃までです。
タマムシの中では大型種なのですが、ヤマトタマムシに比べると小さい感は否めません。サイズはクロホシで1.5㎝程度、マスダは1㎝前後です。

光沢感はギラついているという雰囲気で、レリーフ感が強く、色彩も緑っぽいものからオレンジが混じるものまでいろいろと見つかります。

発見例は実は多くはない虫なのですが、近年はナラ枯れの影響でクロホシタマムシの方が増加傾向にあるため、そうしたクヌギコナラ林が近くにある場合には見つけられるかもしれません。
アオハムシダマシ
アオハムシダマシはゴミムシダマシ科の昆虫の一種で主に白いお花からやや黄色程度のお花に来ていることが多い昆虫です。

緑色と少し金色を混ぜたようなゴージャスな色合いを持つ昆虫で、個体数もかなり多いです。
そのため、お花の多い場所で目にする機会の多い昆虫と言えますね。特に5月頃のエゴノキ科やクリの花掬いで見つかります。
毒などもないので身近な綺麗な虫としてもう少し愛されて欲しいものです。
コガネムシの仲間/コガネムシ/マメコガネ
コガネムシの仲間には色々なものがおり、各種を紹介はできませんので代表的なものを上げます。

代表種コガネムシは驚くべき程のツヤツヤ感と反射感が特徴的な緑色のキラキラした虫です。

元祖キラキラ虫ともいえるべき鏡のような鋭い光沢は、他のキラキラ虫とは明らかに異なっています。
一方でコガネムシはなかなか見かける機会の減った昆虫の1種で、都市部などではなかなか見つけられないかもしれません。
コガネムシから光沢を奪い、都市部などの植え込みで出現するアオドウガネがこの仲間の中では最も身近であると思われます。
2者を見ないとイマイチぴんと来ないかもしれませんが、コガネムシの光沢はそれぐらい強いので本物に合えれば迷うことは無いです。

マメコガネは小指の爪位の大きさで濃いグリーンの光沢と茶色っぽい模様を併せ持つ昆虫です。雑草の葉や花にたくさん来ていることがありこちらはよく目にする昆虫です。
葉を齧るため、散歩しながら目につきやすいのと後ろ足を持ち上げている奇妙な体制を取ることが多いので間違えることの少ないキラキラした虫と言えますね。
芝生などにも種類は違いますがヒラタアオコガネという小さなキラキラした虫がいます。
アオカミキリ
アオカミキリは大型のカミキリムシです。

出現はおよそ6~7月上旬ぐらいで、カエデの仲間を利用します。
イロハモミジが庭や街路樹など緑化樹木として利用されることが多いことから都市部でも薄く広く見つかることがあります。
キラキラのカミキリムシには他にも緑系のもので何種類かがいます。これらの仲間からはかんきつ類のような苦みのあるちょっと爽やかな香りがしますので、掴んだりして匂いを嗅いでみましょう。

アオカミキリはそれなりに珍しい昆虫で見つけるのは大変です。
しかしほとんどすべてのエリアで見つけられる可能性もある面白い分布を持った昆虫です。植栽を利用した虫は今それなりにいるので注目してみると面白いですね。
アオオサムシ
アオオサムシはオサムシ科の昆虫で、地上を徘徊している緑色のキラキラした虫です。

夜行性の昆虫のため、基本は夜に数が見つかるものの、薄暗い林床下では昼間でも見つかることがあります。
プレデタービートルの通称で知られ、大あごを用いて色々な地上の生き物を食べます。危機を感じると酸性の強い液体をお尻から吹き出し、目などに入ると失明の危険性もあります。

飛ぶことができない昆虫であるため、川や山を挟むと地域ごとの遺伝子が強く出ることがあります。大半緑色系なのですが、地域により赤いものやくすんだ緑色のものなどもいます。こうした変異からマニアが多いのもオサムシ系の特徴ですね。
4月頃から晩秋まで見つかります。
アカスジキンカメムシ
キラキラ緑色に輝くカメムシです。

翅には赤色のビビットな模様が入っており、一目見ただけでアカスジキンカメムシであると分かるほどです。
幼体と成虫がいるのですが、幼虫の方がよく見つかり、これを見たことのある方は多いと思われます。
幼体は黒地に白っぽい鳥のフンみたいな見た目をしており、集団でいる場合が殆どです。
成虫はおよそ5~8月頃に見つかり、当地ではコブシの果実への嗜好性が高いように思われます。
コブシは植栽されることが多いので、そうした環境の周囲では見つかるかもしれないですね。あまり多くは無いカメムシです。
アシナガバエ
アシナガバエはアシナガバエ科の昆虫の1種で種名ではなくグループの通称です。
主に春から夏頃にかけて葉の上や草むら、少し湿った環境など色々なところに出現します。
もっともよく見つかるものは葉の上にいることが多く、この記事に来た方も恐らくそうだと思われます。体長は5mm程度と小さく、葉の上などを素早くチョコチョコ移動するさまを見てなかなかにかわいいと思うものです。
こう見えて肉食性の昆虫であり小型昆虫やダニなどを捕食していると考えられています。
光沢は出現場所が太陽のよく当たる場所であるからか非常に淡い緑色で大変綺麗です。
いわゆる汚いものに集まるハエとは種類が違うため、優しい目で見てあげて欲しいですね。
セイボウの仲間
セイボウもグループの通称です。

緑、赤、青っぽいなど色々な色のものがいますがベースが緑色のものが多いので緑色の変な生き物と思われています。
体長が実はかなり小さく、4㎜~6mm位のものが多いです。
アシナガバエといい勝負むしろ小さいくらいですかね。
最も身近なものは恐らくイラガセイボウでこれは緑をしています。
セイボウの多くは他の生き物に寄生して発生します。
そのため、寄生先の生き物が豊富な環境でないとその姿を見ることは難しいのですが、イラガセイボウの寄生先のイラガは比較的都市部などでも目にする生き物なので自然とこの虫も見つかります。
どういう訳か人工物を好む傾向があり、木造の手すりやイス、時には金属製の手すりなどにやたらと固執していることがあり、それを目にすることが多いです。
一応刺すので気を付けてください。
カラスアゲハ
今回紹介した虫の中で一番大きい昆虫です。

アゲハチョウ科の昆虫の1種で、翅の表側には青色~緑色を混ぜたような鮮やかな光沢が見られます。山地に多い昆虫ではありますが平地でも食草が生えるため見つかります。
カラスアゲハにはより光沢が強い春型とやや弱い夏型が見られ、仲間内で大量のアゲハチョウが水分を飲む集団吸水を行うことがあります。
宝石のような虫が大量に見られるこの光景は眼福と言わざるを得ないひと時です。
色への学習能力があることが知られており、特に春は赤系紫系の色、夏場は白系、秋には赤系に来ることが多いです。およそ5~9月頃にかけて長い間目にすることが可能です。
ミドリシジミの仲間
およそ5~7月の上旬ごろに出現するシジミチョウ科の昆虫の総称です。

代表種ミドリシジミは湿地の昆虫であるため、都市部では探さないと出会えません。
最も目にするのはクヌギやコナラなどブナ科を利用するオオミドリシジミで、純緑というよりは白を溶かした緑というような感じです。
色が淡く大変美しい、初めて見ると口が空いてしまうような美しさがあります。

オオミドリシジミを始めとした相性ゼフィルスのシジミチョウは時間帯により種の活動が代わる代わる移り変わることが知られており、オオミドリシジミは午前中に活性があります。
探す場合には5~6月の晴れた日の午前中に雑木林中の枝先に注目してみるといいです。
カシ類もよく利用するため、見つけられるチャンスは多いです。そうした枝先でなわばりを持っているため、飛び出してくるはずです。
ナミハンミョウ
ナミハンミョウはオサムシ科の昆虫の1種です。

緑というよりは赤や青っぽい印象が強いですが、かなり特有の色合いをした金属光沢のある虫として紹介します。
ナミハンミョウは砂地の昆虫なのですが、どういう訳か水分が多い沢沿いなどに出現することが多く、そうした環境を散策していると飛んでは数m先に降り、飛んでは数m先に降りるというのを繰り返します。

この行動から道教えの通称があるのですが、キラキラした虫好きからするとそんなことよりも美しすぎる模様に目が行ってしまうはずです。
ナミハンミョウの目立つ色は明らかに赤の金属光沢です。
素早い動きと大きな顎で獲物をしとめる地上のハンターとして、確かにオサムシの仲間らしいものがありますね。
ハグロトンボ
ハグロトンボは水辺環境及びその周辺に出現するトンボの仲間です。
体に緑色の強い金属光沢があり、真っ黒な4枚の翅と合わせてちょっと特別感のあるトンボです。子供たちの憧れのトンボですね。
綺麗な水のトンボという印象がありますが、実際には普通位の水に出現します。なので河川敷の中流域帯などでもみつかりますし、湧き水があるような環境でも見つかります。
より上流域のアオハダトンボは清流息のトンボとして5月頃に見つかります。
ハグロに似ているのですが、アオハダには翅にも青黒い金属光沢があり、出現時期と生息環境など複数の要因から判別することが可能です。
アオカナブン
緑色に輝くカナブンで、近年見かける機会が減少している昆虫です。

樹液に来ていることがあり、夜のカブクワ採集で時折見つかります。
輝く虫はなぜキラキラしているのか
キラキラしている虫がなぜあんなに輝いているのか不思議ですよね。

今回紹介した虫たちは構造色(こうぞうしょく)といって体の表面に微細な凹凸があり、それで特定波長の色を反射することで鮮やかな色合いを作り出しています。
微細な構造は紫外線により破壊されてしまうのでシーズン初期が美しいことが多く、今回は紹介していませんが赤色のオオセンチコガネなど越冬するものでは越冬個体の発色が悪くなるなどの劣化?が見られます。

構造色は基本的には虫の体表にあるものなので死んでも綺麗な色が残る場合が多いのですが、アカスジキンカメムシのように死ぬことで色が退色してしまうケースもあります。なぜかというのは不明ですが、基本的にはオサムシ標本のように死んでも綺麗な色が残るため、とても人気が高いカテゴリーです。
目につきやすいから人気のキラキラ虫
キラキラ虫は昆虫界のスーパースターです。

虫は一般的には嫌われる対象となりがちなのですが、ヤマトタマムシなどは明らかに好意的な反応が多いです。標本箱のミドリシジミやカラスアゲハなどの金属光沢をもつ蝶はマニア間でも取引される程愛されている対象です。
虫を始める人に話を聞くと入口はキラキラした虫かカブクワであることも多いですね。
人気のカテゴリーであるタマムシ類はキラキラばかりですし、カブクワでもニジイロやパプアキンイロ、メタリフェルなどキラキラは人気です。

オサムシではマイマイカブリのようにその地域性による同盟の虫の色彩変異が人気を集めているなどやはりキラキラはビギナーから玄人まで全ての人を引き付ける魅力がありますね。
散策をしていて今日のようなキラキラした虫が気になった人は潜在的には虫好きになれる素質があるのではないかと思いますよ。
緑色の虫を捕まえる記事
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タマムシ系の採集はこの当たりの記事です。大型のものが多く、ビギナーでも取りやすい良い種類が多いです。
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アオオサムシは本州各地で見つかります。
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キラキラの蝶のカラスアゲハは遭遇しやすい美麗種です。