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身近で目にする青い山野草7選 青いお花の正体は?

青色のお花たち

自然散策をしていると青色の山野草を目にすることがありますよね。

最も目にする青いお花の代表格、ツユクサ。本記事ではだいたい目にする青色が一通り分かる。

園芸種で青色のものはそれなりにありますが、自生するもので青色のお花となると数は相当限られています。

気になるあの青いお花の正体は何でしょうか?ということで今回はオールシーズンのどこかで目にする青い植物を紹介していきます。

フデリンドウ

フデリンドウは主に春に目にする青色のお花です。

身近では珍しいリンドウ科の植物。花がとにかく美しい。

日差しがよく入る林床に出現する植物であり、花は大人の指位のものが複数密集します。

実物は非常に春を感じさせる爽やかな青色をしており、この植物を見て春の訪れを感じる人も多いかと思われます。

フデリンドウはリンドウ科の植物です。

センブリのお花はこんな感じ。

山地に仲間が多い植物なのであまり馴染みのない植物であると思われますが、よく罰ゲームで使われるセンブリがリンドウ科の植物で非常によく似ています。

フデリンドウは基本的には青色なのですが白色のものも見られます。

種が弾けるためか、周囲に複数見つかることが多い。眼福。

自生種の色彩変異は非常にまれですが、それを固定した園芸種などもあるようなので興味のある方は探してみてください。

ちなみにフデリンドウは開花後の結実した姿が非常にユニークです。

結実した後の姿。花がつく基部を見るとフデリンドウと分かる。

自然下でこの折り紙のパックマン見たいなものを初めて見た時は何の植物か分かりませんでした。

ツユクサ

ツユクサは主に初夏から夏頃に目にする青と黄色の植物です。

写真は10月のもの。およそ5月から長期間目に付く。

ツユクサ科の植物であり、類似種として水辺環境で目にするトキワツユクサという白いものがあります。

トキワツユクサ。水の多い環境で目にする。

それ以外で類似のものが無いユニークな植物です。

大きな青色の花弁と目立つ黄色のおしべを持つ植物なのですが、なんと虫を引き付けるためと考えられる仮のおしべを持つことが知られています。

黄色い雄しべが上中下とついているのが分かるはず

特に目立つ青色の花弁にかかる3つの仮おしべは形が異なっています。

その先に垂れ下がる小さなものがおしべとなっています。

構成は基本的に×字型のものが3つ、その下に「ひ」のような形をしたものが一つ、その下にさらにおしべが2~3つつきます。

写真拡大の都合雄しべの違いがわかりにくいですが、およそ付く位置で判別すれば大丈夫です

X字のものは仮おしべとして非常に有名なものなので、受粉能力を持たない見せかけのおしべなのですが、このツユクサの仮おしべを詳細に調べたwebページ、「ツユクサの仮おしべ」によるとこの「ひ」型(webではY字と呼ばれる)のものの花粉は受粉能力があるそうです。

非常に複雑ですが、仮おしべを3つ、そして形状の異なる「ひ」がたのおしべ。そして垂れ下がるおしべというように非常に奇怪な花のつくりをしているのがこのツユクサというお花です。面白いですよね。

ヒラタアブの仲間は馴染み深いのか先端の雄しべを選択している

このツユクサの色合いはどういう訳か特定のアブの仲間と相性がいいらしく、ヒラタアブの仲間がよく訪花しています。

ツユクサの茎は非常に高く伸び、柔らかい質感をしています。

葉は茎を包むようについているのが特徴で、時には地上を這うように茎を伸ばしていることもあります。

身近な青色の植物として非常に目にする機会が多い植物であるため、見つけたら花の作りに注目してみましょう。

オオイヌノフグリ

オオイヌノフグリはゴマノハグサ科の植物で、およそ1月から5月頃まで目にする青い小さな植物です。

オオイヌノフグリ。大きく見えるが、花のサイズは1cm程度。

外来種の植物なのですが、最も身近で目にすることができる青色の植物と言っても差し支えなく、シーズン中に見つけないことの方が難しいぐらい目にします。

花は純青と言っていいぐらい濃い青をしており、花の中心からクワガタの顎のような2本のおしべが目立つ特徴が見られます。

オオイヌノフグリは花期が非常に短いお花であり、また、非常に柔らかいお花です。少し花茎に触れると取れてしまうぐらい繊細です。

こう見ると控えめでなかなか悪くない。青色が濃いのも個人的には魅力的。

この可憐さがどことなく日本の花っぽい感じがあり、やるなこいつと思わせますよね。

オオイヌノフグリは完全に在来種の様に溶け込んでいると思います。

この植物は花期が真冬から春先と植物の仲間としては異様です。

これはその時期にはライバルとなる背の高い植物がいないことからエリアを優占するための戦略だと考えられています。

実際その時期の植え込みを始めとするオオイヌノフグリが好む環境では、他種を圧倒して群生していることが多いです。

ハナニラの前景にたくさんのオオイヌノフグリ。3月の出来事。

そして日の強くなる4月頃には既に種の時期となっており、大型種が出てくると同時のその姿を消していきます。

こう考えるとなぜオオイヌノフグリがこうも身近に表れてうまく生き残っているのかがよく分かりますよね。

他の植物がいない領域で戦うそんな人間社会でも使えそうな戦術を取っているのがオオイヌノフグリです。

紫色でオオイヌノフグリっぽくないオオイヌノフグリ。色合いはオオカワヂシャそのもの。

親戚にはオオカワヂシャのようなものがおり、花がこの通り非常に似ています。

タチイヌノフグリ

タチイヌノフグリもゴマノハグサ科に所属する植物です。

花は1~2mm程度とかなり小さい。

オオイヌノフグリに名前こそ似ていますが、葉や花の付き方などは大きく異なります。

タチイヌノフグリの様に名前につくタチは立ち上がることを指しており、例えばオッタチカタバミは大きいもので50cm以上に立ち上がるなどその特徴から名づけられています。

あまり立ち上がる感は見えませんが、季節により結構高くなります

肝心のタチイヌノフグリは大きいと20㎝以上程度の立ち上がるのですが、オオイヌノフグリでもそれぐらい上がるものはおり、差別化としては何か弱いのではないかと個人的に思います。

ユニークな点としてはジェンガのような箱型の姿で立ち上がることで、慣れてくるとその特有な草の形で見つけられるようになります。

タチイヌノフグリの花はゴマノハグサ科なのでオオイヌノフグリと似ているのですが、3分の一くらいの大きさしかありません。

というかほとんどの人はこの植物が花を付けていることにさえ気が付かないと思います。それぐらい小さいです。
外来種なのでその辺の草地に普通に見つかります。

キュウリグサ

キュウリグサはムラサキ科の植物で少し水分があるような草地で普通に見つかる植物です。

花はわずか2mm程度の極小。ほとんどの人が花に気が付かない。

花は非常に小さいのですが青色の5枚の花弁と中央の黄色い模様でなかなかに可愛らしいお花と言えます。

花は小さいが数は多く、なかなかにキレイ

キュウリグサの特徴としては香りと花序の付き方の2点がユニークです。

まずムラサキ科であることからサソリ型花序(巻散花序(けんさんかじょ))になります。

伸びた花茎の先が象の鼻のようにぐるりと巻く

これはサソリの尾のように花序がぐるりと巻くムラサキ科に特有の花の付き方で面白いものです。

次が香り。キュウリグサの名の通り春先の新鮮な若葉からはキュウリの香りをさらに爽やかにしたようないい香りが楽しめます。

葉は放射型に色んな方向に飛び出し、何かが破裂したかのような印象

それはキュウリウオで知られるアユとも通ずるものがあり、ある食べたいなーと感じさせてくれる非常にいい香りです。

この香りはどういう訳か季節が進み株が大きくなると薄まってしまうようです。

花期はおよそ3月から4月程です。非常に花が小さいため、見つけるのには苦労するかもしれませんが、普通にその辺に生えている植物です。

ムラサキ科の仲間(ネモフィラ)

園芸種が野生化して時折見つかることがあります。

ワスレナグサだろうか。園芸のものが野生化し時折目にする。

ムラサキ科は青色のものが多く、キュウリグサ同様サソリ型花序のものもいるので比較的分かりやすいです。

青系の色で花びらが5枚であるならばムラサキ科の仲間を疑っておきましょう。代表的なのがネモフィラです。

ネモフィラ

ネモフィラはムラサキ科に所属している園芸種のお花です。

その人気も頷ける大きく青い底白のお花が特徴。春から初夏に目にする。

その美しさやひたち海浜公園での話題性などから庭先などに植えられた個体が野生化しています。

ネモフィラをよく見ると5枚の青い花びらから構成されていることが分かります。

これは前述の通りムラサキ科に多く見られる特徴なのですが、ネモフィラはその特徴には合致しません。


その他アジサイなどの中には青色のなるものがいます。写真がないので取れたら更新していこうと思います。

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初夏のお花シリーズ。見かける機会の多いものを選んでいます。
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当ブログの春に人気が高い植物紹介シリーズです。紫のものは個人的にもお気に入りの1記事です。
参考文献
なかなか 「ツユクサの仮雄しべ」花*花・flora,2008.11.19,http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/tuyu-kusa-kari-osibe.htm