葉などのパーツに毛虫感のあるものを持つ者たち
毛虫は老若男女に煙たがられている自然界の恐ろしい対象です。

毛虫が嫌いであるために自然界でそれらしきもさもさのあるものを見つけて、何この毛虫みたいな葉?花?気持ち悪いかもと思っていませんか?
それは毛虫ではなく花であることがとても多いんです。そこで今回は毛虫っぽいパーツを持つ植物の仲間を紹介します。
毛虫っぽいお花によく見られる傾向
今回紹介するものは多くが風媒花(ふうばいか)という特徴を持ちます。

風媒花は風により花粉を運搬してもらう戦略のことで、多くの場合花粉の元凶ともなる散布方法です。
今回紹介する植物の中にはイネ科やハンノキ科のように花粉症の元となる種類も含まれています。
全てが当てはまるわけではありませんが、一つ参考にしてみてください。
エノコログサ
目にした毛虫らしきものが背丈の低いものであるならばこのエノコログサが該当するのではないかなと思います。

エノコログサはイネ科の草本であり、およそ初夏から晩秋頃まで出現します。なんといっても猫じゃらしの愛称で知られる毛虫そっくりの穂が特徴的ですね。これに毒はありませんので触れても大丈夫です。
この穂はイネ科に特有に見られるものです。細長く飛び出たいわゆるわしゃわしゃ間の元は芒(のぎ)と呼ばれ、凹凸の要領でがっちりとおしべやめしべを挟み込んでいるパーツの先端についています。

イネ科は多くがこのような形状をした風媒花であるため、初夏頃や秋口にイネ科の花粉症を引き起こします。
エノコログサ私は医療的な部分は分からないですが、エノコログサが花粉症にも関与しているとの意見はよく目にしますので花粉症な方は注意する必要がありますね。
エノコログサにはイネ科を好むバッタ類や穂を利用するカメムシ類がよく来ています。

根元が葉や茎で密集する傾向があり、スズというバッタの仲間やコオロギ類の隠れ場所としても良く機能しています。
また、種類も豊富であり、緑色のエノコログサ、穂が金色なキンエノコロ、紫色のムラサキエノコログサ、秋に出るアキノエノコログサなどが代表種ですね。
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ヤマハンノキなどハンノキ科
ハンノキ科の植物はおよそ2月頃から4月の頭頃にかけて毛虫のような細長いひも状の花を咲かせます。

ヤマハンノキにおいては茶色の物体がしな垂れるように垂れ下がっています。同時期には黒い松ぼっくり状の物体が付いていることがあり、これは種子を散布するためのものです。
ヤシャブシなどに代表されるよう、この実はアクアリストなどに需要がとても高いものです。
これらの実は不思議なことに水を酸性に傾ける性質があることから熱帯魚の飼育などをする方に人気があります。
ペットショップではわざわざ売られているほどですよ。

ハンノキ科も色々な昆虫が利用する植物となっています。代表例では湿地のハンノキを利用するミドリシジミ。エメラルドの輝きを持ち、写真家や採集家に愛される美麗種です。

ハンノキハムシやハンノキカミキリのような昆虫も利用していますね。
園芸用としてヤシャブシ類が身近であり、時折見つかる他少し水辺のある環境に足を運ぶとハンノキが良く生えています。
シラカバなどカバノキ科
ご存じ春の頭の花粉症の代名詞であり、寒冷地でおなじみのシラカバもカバノキ科です。

調べると毛虫のような花を咲かせていますよ。
カバノキ科はやはり風媒花の植物です。関東の低地では多い植物ではないためあまり話題となりませんが、標高1000m程度からシラカバが出現するため、該当地域に住んでいると中々に厄介な相手と言えますね。

代表種であるイヌシデは雑木林の4大頻出種であり、身近な林へ足を運べばまず目にすることができます。
早春の花粉症を引き起こす可能性が十分にあるため、注意が必要ですね。
その他アカシデやクマシデ、高標高地ではダケカンバといった種類が挙げられます。

いずれも多少色が違えども同じように毛虫上の花を付けるため、春の真っ採集に見つけた場合には疑ってみましょう。
身近なイヌシデ類を例に挙げると冬季には良く冬芽が虫こぶになっていることがあります。

イヌシデメフクレフシのようなダニ類の寄生によりホルモンバランスが変化して肥大化していると言われています。

昆虫類としてはシデ類はあまり聞かないですが、シラカバなどが生える高山ではキベリタテハやエルタテハなどの高山性の蝶が利用しています。
オニグルミ
オニグルミはクルミ科の植物の1種です。

およそ4月頃に緑色の垂れさがるお花をつけ、これが毛虫のように見えるはずです。
やはり風媒花です。
クルミは風媒花ですが、種子は水散布です。つまり多くの場合において水辺的な環境の近くで見つかることが多い植物です。
春ごろに水辺の近くで毛虫のような花を見つけたら疑ってみましょう。
河川敷はもちろん、湖や公園レベルの池でも周辺に見つかることが多いです。
初夏から秋にかけてはとても大きな緑色の実を複数付けている場合が多いため、これも判別に役に立ちます。
昆虫としてはクルミハムシやオオアオカミキリ、クルミナガタマムシなどの専門職のものなどがいます。

他にも大型種のクスサンや擬態の名人ムラサキシャチホコのような虫から樹液性の昆虫類まで広く目にすることができる虫好きが比較的好きな木と言えますね。
クヌギなどのブナ科
クヌギを始めコナラやカシの木、シイノキ、さらにはクリなども総じてブナ科です。

およそ4月から6月ぐらいにかけて次々と毛虫のような黄色いお花を咲かせます。
シデ類と同じくクヌギやコナラは雑木林によく見られる種類です。花粉に反応する人もいるようなので一応注意が必要ですね。
もちろん風媒花のお花ですが、この時期にクヌギやコナラを見る日とは限られているため、その花の姿を知る人は少ないと思われます。

標高が高くなるとミズナラ、低地ではクヌギやコナラ、関西圏ではアベマキ、海岸などのシイ、暗い林のカシというように条件で出現する種類が大きく変わります。
昆虫としては夏場の樹液性昆虫がまず浮かびますが、葉にはタマムシ類やゾウムシ類も多く出現し、蝶の人気種のゼフィルスの仲間が利用するなど虫好きには特になジム深い樹木の1種です。

昆虫をやっていれば必ず相手にすることになる名木ですね。
また、シイタケの榾木のように食利用でも馴染みが深い対象です。昆虫界隈では討った木をクワガタの繁殖材やマットにするなど彼らと人間の関わりの強さを代弁してくれるような深いつながりが見えます。
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コブシなどのモクレン科
モクレン科の植物も開花前のツボミに限り毛虫のような姿をしていると捉えられます。

これはつぼみであるため観察できるのは冬季から3月頃となりますが、ふれてみればあらあら質感は確かに毛虫のそれと似ています。
拳を始めとしたモクレン科は花が非常に大きな種類として知られています。代表的なハクモクレンやシモクレン、ホオノキなどは拳に負けないものから顔以上のサイズのものまであったりします。
花は虫媒花です。これまでのものとは違いつぼみが開けば普通のお花という感じですよね。

このお花は一つのお花の中で♂の時期と♀の時期があり、自分の花粉で受粉することを避けるために開花からの時期に応じて雌雄が変化するという面白い特徴があります。
昆虫としては果実の時期にカメムシがめちゃくちゃ来ているほか、ホオノキのフチグロヤツボシカミキリのような隠れた人気虫が見つかります。

また、果実の時期にはヒヨドリのような鳥を始め、サルなどの果実食の動物も利用しているようです。
花以外ではあまり注目されることはありませんが、花以外の時期でも色々な生き物が観察できる植物と言えますね。
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