黄色い人気のサペル
カミキリムシに手を付け始めるとそれはそれは色々な種類がいることから昆虫採集が楽しくなってしまいます。

カミキリムシは目標的な種類が程々にあり、まずはこの虫を求めて探しに行こうというような指標があるので面白いんですよね。
カミキリの中でも好きな人が多いのがサペルディーニと呼ばれるトホシカミキリ族のカミキリムシです。
色味に優れ、葉などに特有の食痕を残すことから探して楽しく捕まえてうれしい美麗種ぞろいのこの仲間の中でも、個人的に注目していたのがムネモンヤツボシカミキリという種類です。
今回ついに遭遇することができましたので人気のサペルの採集記となります。
美麗種ぞろいのサペル
カミキリムシをやるならどの仲間に力を入れて今年はやろうかなぁ、そもそもどんなカミキリが好きかなぁと考えた時に、やっぱり最初に思い浮かぶのはトホシカミキリの仲間たちでした。

小さくてカワイイ。色が美しい。そして探してみてもなかなかに楽しめるのがこのトホシカミキリ族の特徴かなと思いますし、何よりカミキリを始めると憧れるネキダリス(ホソコバネカミキリの仲間)のようになんか通称や愛称のようなものがあるものって憧れますよね。
春にフチグロヤツボシカミキリを捕まえ、今年はサペルに手を付けちゃおうと思い始めた時点での目標はムネモンヤツボシカミキリでした。
サルナシにつくという精霊を求めて彼らの出る前から下見を始め、未知なる対象との遭遇との出会いを期待しました。
サルナシを下見する
ムネモンヤツボシカミキリの名を知る人はカミキリをやらない人の中には多くないかもしれません。

このカミキリムシは黄色い色と黒い3対の丸模様に肩の部分にかかる1対の黒模様を持つ大変美しい2cmない位のカミキリムシです。
マタタビ科の植物を利用することが知られており、サルナシやキウイフルーツなどを利用します。
その際に葉にサペル特有の葉脈などをかじる特有の線形の後を残すことから、シーズンになるといるかどうかの判別はしやすい種類となります。

しかしサルナシには同じトホシカミキリ族で個体数も多いシラホシカミキリも出現することから、ムネモンヤツボシカミキリに遭遇するのはなかなかに苦労します。
自然の多い場所ではそうでもないようですが、神奈川を始めとした一部の地域では記録自体が少なく、出会えるのかどうかもよくわかりません。
まずはサルナシを探すことからです。
サルナシについてですがさすがに山地性の植物です。
そしてつる植物であることから木々をぐるぐると登ってしまい、姿が見えるような環境で見つけることが難しいことが探してみるとよくわかりました。

知り合いの高尾山でカミキリムシを探している通称高尾のカミキリ屋はムネモンヤツボシカミキリをポンポンと捕まえているらしく、以前お会いした時に何となく話していたつるの太さ的な話や幼虫が入るつるのイメージなどを思い出していそうな環境のイメージを想像していきます。
ムネモンヤツボシカミキリ(以下ムネヤツ)は5月下旬ぐらいから7月頭ぐらいまで見られるカミキリムシとなりますので、時期が来たら下見していた場所に訪れて特有の食痕が出てくるか?ツタに羽脱孔が見られるかどうか?というのを確認して彼らの存在を見ていくのがよいかなと考えています。

サペルのフチグロヤツボシカミキリがまだ出ている時期から下見を重ねて過去のサルナシの開花期の記憶をたどり、どこにあったのかなぁと振り返っていくのですが、そもそもサルナシ自体虫がつく植物という印象がなかったため全然記憶にありません。
そんな中でもいくつかのポイントが頭にありましたのでほかの虫を探しがてらサルナシの様子も見てみることにしました。
時期はまだ4月なのでムネヤツの出現には早すぎるころ合いです。
とはいえ当地には手ごろな位置にサルナシが多く生えており、いてくれたらいいなぁという期待が持てる感じでした。
シーズンINと空振り
下見から時は流れ、ムネヤツが出始めるころ合いになったのでいよいよ採集のころ合いとなります。

現地でやることはサルナシ類の食痕を確認することと、枯れツルに羽脱孔が出ているかを確認すること、目視でサルナシの葉上やつるを確認し、黄色い姿があるかを目視し、スウィーピングをすることです。
また、サペルの多くは午後から夕方にかけて活性が上がっていく傾向があるそうなので、そのあたりも意識しながら探していきたいです。
当地というか当県においてはムネモンヤツボシカミキリの記録自体が非常に薄いらしく、正直負け戦といいますかなんか感覚でもつかめたら高尾あたりでも生かせるよな~という感じの気分です。

時期が早いのか、群落規模が足りないのか、それともやはり分布していないのか?
5月時点で数回訪れても食痕なども羽脱孔もなく、スウィーピングをしても虚無な期間が流れます。
ウツギのスウィーピングやヤマボウシでフタコブルリハナカミキリやフチトリヒメヒラタタマムシのようないい虫を拾いつつ、アカシジミなんかのゼフを見かけたり周辺での副産物がなぜかおいしく、サルナシを見つつも周辺がメインという少し奇妙な採集の風景がありました。

当然回数が増えるにつれて期待感も薄まりつつ、最近はゼフ探しがメインとなりつつありました。
でも狙えるサルナシはここくらいしかないしなぁと思いつつ、彼らの出現の時期を待ちます。
いるかどうかわからないからこそ根気強く探す必要がありますよね。もともと多いような種類ではないでしょうからね。
6月、食痕が現れる
6月に入りいよいよムネヤツを始めとしたサルナシ利用のカミキリが出てくる時期となりました。

暇なときは出動する姿勢でサルナシポイントに足を運ぶと、目につきやすい場所のサルナシの葉脈に食痕が走っています。
これはまさか...ムネヤツの食痕なのではないか?と思うとともにサルナシを利用しムネヤツよりも個体数が多いシラホシカミキリの存在がよぎります。
同じサペルの仲間でありながら同じ植物を利用する(具体的にはサルナシ以外にもシラホシは利用する)ため、非常にややこしい対象です。

シラホシも美しい種類ではあるのですが、本命を探しているときにはノーサンキューです。
ということで期待をしつつもまあ、予定調和でしょうと思いながらもサルナシをルッキング&スウィーピングしていきます。
食痕の割にはカミキリが入ることもなく、規模の割には何も虫がいない状況でガサガサと探していきます。
しかしようやくです。食痕があるサルナシの葉を掬った時、網の中にカミキリムシらしき虫が入るのが見えました。
網の中に入っていたのは...?

安定のシラホシカミキリです。
やっぱりそうだよなぁと食痕の主の姿を見て「知ってた」と腕を組んでしまいます。
シラホシカミキリも文句なしに美しいカミキリですし、シーズン初期の個体は嬉しいですからサルナシの成果として確保しておきます。

シラホシカミキリとムネヤツの見分けについては実物がいればもう大きさや色で簡単に判別できるのですが、食痕時点では2種は似ており、素人的には判別は難しいように思います。
しかしシラホシがいるからといってムネヤツがいないとは限りません。
せっかく下見したポイントだしシーズン中には足を運んで「いないことを確定する」という虫屋あるあるな悲しい作業を行うことにしました。
真夏に探すヒラタクワガタのように、ああやっぱりいないんだなというのを調べるのはつらいものです。

でもサルナシ周りの知識は増えましたし確実にステップアップはしています。
アオマダラタマムシなんて3年もかかったんだから何かを得ればいいでしょう。
懲りずのサルナシにて
さらに1週間後に安定のサルナシの様子を見ていくことにします。
この日は私としては非常に優れたカミキリ運に恵まれた日となりました。

ムネヤツの捜索は片手間になりつつあったのですが、移動中に周辺を捜索しているとなぜか葉の上に鎮座しているトラフホソバネカミキリといういいカミキリムシを初採集してしまいます。
実は今年一番取りたいなと思っていたのがこのトラフホソバネカミキリ(トラニウス)であり、この遭遇にはとても興奮してしまいました。
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トラニウスは昨年採集に失敗した記事こそありますが、もらった個体を記事化しているのとなんか取れてしまったため記事化する予定はありません。
今日の自分には運が味方している。そんな風に思えました。

さらにはシーズンインしたアオカミキリを探してみればアオカミキリ採集の経験があるとはいえサラリと見つけてしまい、今日の自分はなんかいいぞ!?と全能感を覚えてしまうような謎の高揚感を得てしまいました。
これはムネヤツのポイントも行くしかない!とポイントへと急行するわけです。
そして増えているのかわからない食痕をよそめにルッキングとスウィーピングを繰り返していきます。

食痕の周辺をガサガサし、中を覗きます。網の中にカミキリらしきものが入っているではありませんか。
やはり今日の私はついている。そんな風に思いながら網のカミキリを見ると!

シラホシカミキリです!
やっぱりシラホシカミキリしかいません!
今日のツキで入らないならばこの地では発生していないのかいないのではないでしょうか...
ということでいったん休憩しつつトラニウスやアオカミキリは取れましたのでそれらを眺めながらこの2種を堪能します。

トラニウスはやはり造形がかなり好みなのでいい虫ですね。連日のムネヤツの坊主もこのトラニウス1で帳消しにできるぐらいの嬉しさがあります。
午後どうしようかなぁと思いながら情報収集をしていると、素人的には当時知らなかったのですがサペルの仲間の多くは夕方ぐらいから活性が上がるとのことで午後も見に行っちゃおうかなと謎の元気がありました。

この日はツキもありましたからね。
午後になりまたもやサルナシの前に現れるあきらめの悪い生き物。流石にサルナシもまたこいつ来たのかと思っていたかもしれません。
もはやお決まりとなったルッキング。込み入った場所でのスウィーピングを繰り返します。

網の中にはシラホシカミキリがぽつりぽつりと入りますが、やはりムネヤツの姿はなし。
まだ早いのかなぁと適当なスウィーピングをしていた時のことです。
網をガサガサと揺らし、2拍ぐらい置いて網の中にベニカミキリぐらいのシルエットがポロリと落ちてきたのが見えたのです。

このときには色も見えておらず、カミキリムシだと思っていませんでした。なんせサルナシを掬って1.5㎝ぐらいの虫が入ったことすらなかったのです。
なんだ?ジョウカイでも入ったのか?と思いながらも網をのぞき込み、ちらりと見える黄色い姿が映ります。このときの緊張感はすごかったです。
「いや、さすがにないない」「そもそも記録がほとんどない県だし」

と心では思いつつもどこか期待してしまう面もあり、そうだったら嬉しいけどそうじゃなかったら悔しすぎるという変な感情が湧いてきました。
その対象は間違いなくカミキリムシで、黄色をしており、黒い模様があります。
つまりヤツメカミキリの黄色型かムネモンヤツボシカミキリのどちらかの可能性が高いわけです。
可能性で言えばサルナシから落ちたとはいえ記録の点からいえばヤツメの黄色型の方が可能性は高いと思いました。
恐る恐る網の中の模様を確認し、息をのみます。
その対象はまさしく

追い求めたムネモンヤツボシカミキリだったのです!
この一連のサルナシゆすりからの網の中での確認は当人的には今でも思い出せるぐらい強烈で、しみじみと嬉しかったなぁと思いだせるぐらい記憶に残るものとなりました。

なんせ人がいない場所だったのでゴールを決めたサッカー選手のようにウキウキで小躍りをし、シップロックに入れた対象をそれはそれは大事に、まるで子供時代に一生懸命貯めたお小遣いを詰めた財布を手に駄菓子屋に向かう時のように丁寧に握りしめていたほどです。
流石に報告しなくては!

同地で一緒に下見をして、時には一緒にいないねぇと採集をしていた方にサプライズで自慢しに行くと、やはりまさかとれるとは思わなかったようでそれはそれは二人ともウキウキが会話の節から漏れてしまうようなやりとりが繰り広げられました。
下見からそれなりの回数足を運んで、記録もない対象を探すというのはこれまであまりない経験でした。

きっと記録の薄い産地で探すオオクワガタとかをやるような人は同じような不可能を可能にしてしまったような、マジックのような感覚を楽しんでいるのかもしれません。
トホシカミキリ族の仲間は美しいものが多く、出会えた時の嬉しさは美麗タマムシに近いものがあるように思いますが、食草や食痕などはっきりしているものが多いため探す楽しみがとてもあるように思います。

ムネヤツをきっかけにサペルの仲間への思い入れがとても強くなったため、近隣で探せるサペルの仲間を中心に今年のカミキリに手を付けたいなと思っています。
もちろん別の場所でも追加の個体を狙って知見を増やし、採集の感覚を鍛えていきたいですね。
ムネモンヤツボシカミキリ
ムネモンヤツボシカミキリはおよそ6~7月の頭頃に出現するトホシカミキリ族のカミキリムシの一種です。

トホシカミキリ族の愛称からサペルと呼ばれています。
トホシカミキリ族は美麗種が多く、葉脈や葉柄などに特徴的な食痕を残すことが知られているほか、夕方に活性が上がるなどの傾向もあるようです。

ムネモンヤツボシカミキリは背中に黒い丸模様がついになり3つ、そして上翅の上端の縁に1つにつきます。
模様の配色で類似のヤツメカミキリと見分けることができるほか、ムネモンヤツボシはサルナシなどのマタタビ科を利用し、ヤツメはバラ科を利用するなどの違いが見られます。
地域によりレア度は異なりますが多くはないカミキリムシであるらしく、県によってはほとんど記録がないような場所もあります。


サルナシ利用のものとしてはシラホシカミキリもおり、食草のサルナシが手ごろな場所で狙えるようないい場所もなかなかないため、本種の採集を難しいものにしているのかもしれません。
黄色い美しいカミキリムシ。まだ多く語れるほどのものはありませんが非常に美麗で感動しました。
興味のある人はぜひ頑張って探してみてください。
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カミキリムシシリーズ
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初夏のフチグロヤツボシカミキリ編です。
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トラフホソバネカミキリ編。リベンジは今回できましたね。
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アオカミキリです。