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初夏に目にする紫色のお花16選 5月や6月の身近な山野草たち

初夏、花の色と緑で賑わう季節

春が終わっても花たちの勢いは止まりません。

今回はおよそ5~6月頃の初夏の時期に身近で目にすることが多い紫色のお花を紹介していきます。

山野草と銘打っていますが、身近にあることに重きを置き、発見する頻度の高いものを特に紹介していきます。

園芸種を除き網羅性は高いと思います。

オオムラサキツツジ(ヒラドツツジ)

植え込みの植物でも特に人気が高く、初夏によく目にする

ツツジの仲間の中でもヒラド系という大型種のツツジです。

丈夫で剪定にも強く、空気が悪くても旺盛に生育するという特徴から都市部の庭木として高い人気があります。

花は大人の拳ほどのサイズ感があり、身近なお花として小さい頃に花の蜜を舐めておやつにした経験がある方も多いのではないでしょうか?

昆虫に人に色々と集まってくるお花

今現在ツツジ科には毒があることが分かっていますのでやめておきましょう。

ツツジ科の面白さはその花の形とネクターガイドにあります。

花をよく見てみると一部の花弁に斑点のような模様が付いていることが分かります。

オオムラサキではありませんが、ネクターガイドとしてわかりやすいものをチョイス

これは訪花昆虫に蜜のありかを示す模様として機能しており、このことからネクターガイドと呼ばれます。

花はまた、特有の基部が細い形をしています。これによりハチ類やチョウの仲間など長い口器を持つ昆虫を選択しているものと考えられます。

シャガ

シャガはアヤメ科の植物です。

名前は知らなくてもああ、コレかとピンとくるお花のはず

美しい6枚の花弁を持つことから観賞用の人気が高く、都市部の植え込みや庭を始め様々な場所で目にします。

アヤメ科の面白い所は6枚の花弁を持つものの3枚がガク、3枚が花びらであるというところです。

これを裏付けることとして6枚の花弁に見える場所の裏側を覗いてみると、通常の花に見られるガクがありません。

裏側にはこの通り、苺のヘタのような部分がない。同花被花やガクだけの花に見られる特徴。

こうした花は同花被花(どうかひか)と呼ばれ、ガクが花びらと同質の姿をしており、ユリ科などにもみられる面白い姿となっています。

似たアヤメやノハナショウブなどがある

本来は水分を好む植物であり、水が渇くことの内潤った土壌に生息しています。

タツナミソウの仲間

春の林縁に行くと同じ方向に立ち上がり、行列に並んでいるかのような姿の紫色の花に遭遇するはずです。

タツナミソウの仲間。形が面白くて印象に残っている人は多いハズ。

それこそまさにタツナミソウの仲間です。この仲間はシソ科の植物であり、種類が細かく分かれているためタツナミソウの仲間としました。

都市部で目にすることが多いのはオカタツナミソウとコバノタツナミソウになると思われます。

名の通りコバノタツナミソウはタツナミソウより一回り程度小さくおよそ大人の手位の高さをしています。

小さな袋のようになっており、蜜を利用できる虫が限られている

波が立ち上がって押し寄せているかのような姿をした植物のため、集団で生えていると中々様になる植物です。

林縁やほんのり日差しが差し込むような環境でよく見つかります。

シソ科の植物であるため、その花は非常に細くなっています。これにより訪花昆虫を選択していると考えられます。

フジ

初夏の代表的な紫色の山野草です。

あしかがフラワーパークの大藤。人生で一度は見ておきたい圧巻の迫力。

各所の公園やお庭、通り道などで藤棚として意識しなくとも目にします。

フジはマメ科の植物でありマメ科は蝶形花(ちょうけいか)というマメ科特有の姿をしています。

この花は2枚の花が組み合わさったユニークな見た目をしているのですが、大型のマメ科となるフジは主に体重のあるクマバチによって受粉を頼っていることが伺えます。

ちょうど濃い紫の部分が乗り場。体重でべろりと剥がれる。

マメ科の花は花下部に当たる唇弁(しんべん)が乗り場となっています。ここに虫が載ることで花が下にズレ、おしべなどが出てきます。

クマバチは明らかにフジによく来ていることからサイズ感と合わせてもフジにマッチしていると言えますね。

白花やピンク、外国のもので黄色のものなどがあったり、足利フラワーパークのようにフジの時期に大混雑するような場所があるなど、やはりこの時期を代表する紫の花と言えます。

ムラサキサギゴケとトキワハゼ

春に引き続き姿を見ることができます。

これはムラサキサギゴケ。濃い紫の範囲が広い。

ゴマノハグサ科の植物である彼らは姿が似ています。特徴は下を出したかのようにベロリと咲いた舌状花(ぜつじょうか)で、この科によく見られる咲き方です、

ムラサキサギゴケとトキワハゼは色はムラサキサギゴケの方がずっと濃い紫でこちらの方が一回り大きくトキワハゼは色が薄い紫でやや小さいです。

こちらはトキワハゼ。白味が強いことがよく分かる。

ムラサキサギゴケの方が水分の多い環境に生えていることが多く、群生している場合が多いですね。

2種の大きな違いとしてはムラサキサギゴケは匍匐茎(ほふくけい)を出して繁殖するということです。

これにより1株を中心に周囲に広がっていくのがムラサキサギゴケであるため、群生率はムラサキサギゴケの方がずっと高いです。

トキワハゼとムラサキサギゴケ。実物は写真以上に色や大きさなど違いがわかりやすい。

身近な雑草として目にする機会が多いので、見かけたら大きさや生え方の違いなどに注目してみましょう。


ハナニラ

ハナニラはヒガンバナ科の植物です。

ベースは白が基本なのですが、紫のものもあります。

花が非常に美しく耐陰性がそこそこあるので、庭の植物や街中の色どりとして植えられていることが多いです。

ハナニラの色は様々で、白色のものから濃い紫色、ピンクっぽいものなどもあります。

どれも共通して1株から多数の花が付いているため、種の見分けは簡単な部類です。

ハナニラの紫は植える人の好みにより身近にあるかどうか変わる。

注意点としてネギ臭がある有毒植物という点が挙げられます。

ネギ臭は例えばスイセンやニラを見分けたり、ノビルと他の山野草を見分けたりする際に重要点として使われますが、ハナニラはネギ臭のする有毒植物としてネギ臭=大丈夫と判断した人を食中毒に導く可能性があります。

ハナニラの花はネギの仲間とは明確に違っているため、この春から初夏の時期に花を確認しておくのが確実です。

キキョウソウ

キキョウソウはキキョウ科の外来植物として身近で目にする小型の紫色のお花です。

外来種なのでかなり身近なその辺に生えている

同じ仲間なだけあって在来のキキョウに花は非常によく似ています。大きさはかなり違い、花は人差し指先ぐらいの大きさしかありません。

ユニークな点としては開花初期と後期で花のタイプが変わるという点が挙げられます。

前期が閉鎖花で後期に通常のキキョウのような花を付けます。

茎はひょろひょろ。貧弱な見た目をしている。

閉鎖花はホトケノザやスミレなど一部の花に見られるもので、自家受粉をするものです。

なかなか可憐でいい植物

キキョウソウは2つの花を持つことでクローンで数を増やす戦略と、通常の花で遺伝の多様性を増やす戦略をとっているため、身近な環境でも目にするほど見つかります。

外来種の驚くべき生存戦略ですが、こうした強い種だからこそ日本でも定着しているのです。

マツバウンラン

マツバウンランはオオバコ科の外来植物です。

茎が不自然なほどスラリと立ち上がるのが特徴

細長い葉が松のように見える所から松の葉のウンランという名がつけられています。類似種にはツタの葉に似たツタバウンランがあり、どちらも外来植物としてよく目にします。

町中では各種地面の隙間などから生えていることが多いマツバウンランですが、種子が細かいことを利用して都市部にあるニッチに適合していると考えられます。
マツバウンランのそうした生息場所は、例えばミチタネツケバナやカタバミに近い戦略があります。

中でもマツバウンランの種子は生存能力が非常に高いと知られており、この植物の背丈が高いこともあって侵入してしまうと群生されてしまう場合もあります。

ただ群生していると割ときれいに見えてしまうのが玉に瑕ですね。花弁は舌状花です。結構日本っぽい外来種だと思います。

キランソウ

シソ科の植物で、日当たりのよい身近な地面で普通に見つかります。

今回紹介する植物たちの中で最も身近なのが本種。その辺にある。

別名にジゴクノカマノフタとあるように、地中にふたをするかのようにべたりと張り付く特有の姿が印象的です。

花茎は立ち上がったりすることは無く、低い位置につけることで踏まれたりして折れてしまうことを避けていると考えられます。

そのためか人の往来があるような場所でも目にすることがあります。

シソ科の植物は上下の1対からなる特有の形をしているのが特徴で、上の花弁におしべがくっついています。

モモイロキランソウという変異種。これは珍しい。

これは戦略としてマメ科に近いものがあります。

例として下の花弁に体重のある虫が乗ってくると、花弁がたれ、上の花弁についているおしべが虫の背中につくというものです。

シソ科に特有の花びら。上と下に分かれている。

キランソウでは少しわかりにくいかもしれませんが、大型のシソ科になると虫が乗るとともにガクリと花が垂れるのでよく機能しているようです。

類似種にはピンク色の桃色キランソウや、べたッと張り付いた越冬形態のロゼットが多々見つかります。

キランソウの葉は鈍い光沢があり、表現しにくいのですが色合いが独特で硬いです。

ムラサキカタバミ/イモカタバミ

お庭やその辺の路肩で目にすることが多い紫色のカタバミです。園芸種です。

中央が紫色なのでイモカタバミ。見分けは簡単。

どちらも紫色をしたカタバミなのですが、ムラサキカタバミは花の中心が白、イモカタバミは中心がより色の濃い紫という違いと、ムラサキカタバミは平面的に群生するのに対し、イモカタバミは根茎で群生するため、ボールのように球形になるという違いがあります。

在来の黄色いカタバミと比べても特に葉が大きく厚みがあるのが特徴で、花が無くても別種だと分かる程度の違いがあります。

ニワゼキショウ(紫型)


シャガと同じくアヤメ科の植物で主に芝生環境に出現します。
シャガ同様ガクと花びらが同じ色をしているという特徴があり。よく見ると一つおきに花びらの位置がズレています。

白タイプのニワゼキショウ。群落を形成する。

ニワゼキショウには白タイプと紫タイプが有り、通常は白色のものの割合のほうが多いです。

ニワゼキショウの葉。芝に似ているがしっかりとして立ち上がる。

ギボウシ

このお花は6月の中旬ぐらいから目につき始めます。
(写真取ったら乗せます)
本記事の中ではかなり遅い紫色のお花なのですが、初夏から夏の先駆けにかけて都市部の街中などでも目にする機会が多い植物です。

日本に自生している種類なのですが、花が綺麗なので園芸用としての利用も盛んです。中には斑入りなどもあるようです。

キジカクシ科の植物で、花の雰囲気は開花初期にはキキョウのような雰囲気があります。

エビネのように撒いた葉から花茎が伸びてきて鈴なりに紫の花をつける様は、初夏の暑さを和らげる風鈴のような清涼感があります。

コバノギボウシとオオバギボウシがありますが、サイズ感からかコバノギボウシを目にする機会の方が多いようです。

また、ギボウシは山菜としてウルイの名で知られています。癖がない山菜として利用でき、園芸用の新芽を食べたことがありますが中々美味でした。


ホトケノザ

春に引き続きその辺で目にする赤紫色のお花です。シソ科の植物であり、前述のタツナミソウに似た姿をしています。

これまたおなじみの植物。その辺に生えていることが多い。

春の七草にホトケノザがあり、それと勘違いされていることが多々あるようですが、七草のホトケノザはコオニタビラコ(キク科)のことでありシソ科のホトケノザとは関係がありません。

こちらのホトケノザの由来は葉の雰囲気が仏様の座るもののように見えることにあります。

上から見ると茎を中心に葉が丸まっているのでとてもユニークです。

群生していると春という感じ。

ホトケノザは閉鎖花を付けることで知られています。この植物も非常に群生する植物なのですが、自家受粉によるクローン繁殖と、通常の花粉による受粉が見られ、生存上有利に働いているものと考えられます。

加えてホトケノザは花の形の通りシソ科植物なのですが、下の乗り場となる花弁にネクターガイドのような模様が見られます。

こうした繁殖戦略がうまくいき、ホトケノザは非常に多数の姿を見ることができる存在となっています。

シラン

シランは公園や庭、会社の花壇などで目にする機会が多い紫色の園芸植物です。

お庭等でよく見かける鮮やかな紫色のあの植物。ラン科で人気が高い。

本来は自生している山野草なのですが、都市部で目にするものは園芸種です。

シランはネジバナと並ぶ最も身近で目にすることができるランの仲間です。

1つ目を持つ妖怪のような見た目をしている。

ランの仲間の中でも比較的大きな花であり、ラン科に特有に見られるおしべとめしべが合体した蕊柱(ずいちゅう)が目玉一つの怪物のように見えるのが個人的に魅力です。

紫色だが、ガクと花びらに分かれている

花はアヤメの仲間で紹介したように、ガクと花びらが同質を持つタイプです。よく見るとアヤメ科同様に同質の花弁の中に前後があります。

これも他と同様一つ置きにガク、花弁、ガクと並んでいます。

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