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初夏に目にする白いお花10選 5月や6月に目にする山野草たち

初夏に目に付く白いお花たち

およそ5~6月頃に自然の中を散策してみると様々な白いお花を目にしますよね。

代表的なニワゼキショウ。平地でも草地でよく見つかる。

今回は都市部を中心に身近な環境で目にする白色のお花を紹介していきます。

園芸なども含めますが、この時期に目に付きやすいものをピックアップしました。

ニワゼキショウ

アヤメ科の植物で主に芝生環境を中心に発見されます。

スラリと花茎が立ち上がり、群生しているとなかなか美しい

ニワゼキショウには紫色の濃いものと白色の中に紫色があるものがおり、この5~6月頃にかけて大量に咲いているのが目につきます。

紫色の花でも紹介したニワゼキショウの紫版。割合は少ない。

アヤメ科の植物によく見られる特徴としてはガクと花びらが同質の形態を持つ同花被花(どうかひか)というのがユニークで、およそ花びら1つおきに付きガク、花弁、ガクと入れ替わっています。

これは各ガクと花びらの基部を見ていくと分かりやすく、1つおきに花びらの付く位置がずれていることが分かります。

アヤメ科の花の付け根を見てみれば他の花に見られる緑色のガクが無いことがよく分かります。

葉は芝に非常に似ていますが、雰囲気は寿司などに入っているバラン(緑の草みたいなテープ)に似ており、見分けは簡単です。

ミドリハコベ/ウシハコベ

春に引き続き初夏でも見つかります。

やや水分のある環境でたくさんみつかる。おなじみの植物。

ナデシコ科の植物で花弁は5枚。一見10枚に見えますが、よく見ると花びらへの切込みは完全に花弁を分けてはいません。

春の七草として非常によく知られており、ハコベラの名前で昔から愛されています。

切れ込みは根本まで届いておらず、ナデシコ科の花びら5枚に合致する

日本らしいわびさびを感じられる植物で、葉や茎には名前にもあるような淡い緑色とその先端に白い可憐な花を付けます。

いでたちが美しく、前述の通り10枚に見える花弁はサイズのわりに派手に見えるのですが、花自体が小さいので可憐に見えます。

七草ということで食利用に関して述べると、味わいは無味もしくは衣の味という感じで、量マシには使えるという感じでしょうか。

フキノトウやタラの芽のように山菜として名前が挙げられるわいには特徴的な部分はありません。しかしだからこそ昔から色々な形で食べられていたのかもしれませんね。

今でいう水菜とかそういうポジションだったのかもしれません。

似た雰囲気のツメクサ。花びらには切り込みがなく、花自体3mm程度しかない。

ハコベの仲間は種類が多いです。ミドリハコベ、コハコベ、ウシハコベが身近な3種ですが、これに外来種のオランダミミナグサや在来のツメクサなど雰囲気の似た植物は多々あります。

在来のミドリハコベと外来のウシハコベではめしべの中等の数がミドリで3,ウシで5と違ったり明確な見分けポイントがあります。

そうした分かりやすい違いを押さえておけば在来と外来で間違えることは無いです。

ハルジオン/ヒメジョオン

キク科の植物で、空き地や庭、緑のある環境で頻繁に目につきます。

花の形だけでの判別は難しい

とにかくこの時期にそれなりに背丈があることから頻繁に目につきます。

ハルジオンとヒメジョオンにはハルジオンが白っぽい傾向が、ヒメジョオンには紫っぽい傾向が確認されますが確実なものではありません。

2種は茎が中空か中実かで見分けられますが、見分けるためにわざわざ花を折るのは可哀そうかなというのが個人的な感想です。

1つの花に2種類の花弁のタイプを持つ。黄色と白でタイプが違う。

花は舌状花(ぜつじょうか)と筒状花(とうじょうか)の2種類を持つのが特徴的であり、中央の黄色い部分が筒状花、外周の線状のものが舌状花となっています。

種類の花の花粉は基部に集中するため、この花にやってきた昆虫類は白と黄色の中間の位置を良く狙ってきます。色のコントラストなどで何かしらの
アピールをしているのかもしれません。

外来種の植物としてもよく知られていますが、あまりにも身近に当たり前に存在しているため、在来種だと思われている白色のお花です。
よく昆虫が来ています。

ドクダミ

ドクダミ科の植物で変わった臭気を持つ白色のお花です。

多分嫌いな人が多いドクダミの香り。群生すると周囲に異臭が漂う。

ドクダミが所属するドクダミ属はこのドクダミ1種のみだけがいることから形質的に非常にユニークなものが予測できます。

香りは強烈で集団で生えていると周囲に香ってきます。加えて面白いのが花の形状です。どくだみには花びらやガクがなく、苞というものが白くなって花全体を包んでいます。

ガクと苞は植物で難しいポイントです。例えばヤマボウシは白く変化した苞を持っています。

苞でおなじみのヤマボウシの白い部分

例えばキンポウゲ科のアズマイチゲは白く変化したガクを持っています。この2種の違いでガクと苞何が違うの?と疑問に思うのは当然です。

ガクでおなじみのアズマイチゲの白い部分

ガクは花を作る組織のもっとも外側にあるものであり、花が1つの場合にもっとも外側にあるものです。

苞は花の器官ではなく、もとは葉です。つまり花よりもずっと外側にあるため、複数の葉をまるで包むかのように覆えます。

苞でおなじみのドクダミの白い部分。複数の花を支えているのが分かる。

これで区別するとキンポウゲ科の白いガクが1つのお花に対して支えるものであるのに対し、ドクダミやヤマボウシの苞は複数の花をその基部で包んでいるのが苞であると区別することができます。

ミズバショウなどが仏炎"苞"であるのにも同様の説明ができます。

ドクダミはこうした花の作りを学ぶのにその身近さからうってつけの対象です。どくだみ自体はかなり水分を好む植物であるため、その土地の乾燥具合の指標として利用することもできます。

オランダミミナグサ

ナデシコ科に所属する身近な白いお花です。

前トピックのハコベと同じ仲間の植物で似ている

その辺の草地にて目にすることができる白いお花で、ハコベの仲間と違って花の切れ込みの深さが異なる点から種を特定することは簡単です。

ナデシコ科は通常5枚の花弁を持ちますが、ハコベのように1枚の花弁に切れ込みが入り、実質2枚のように見えるものがあります。

オランダミミナグサの切れ込みはそこまで深くなく、花弁の先頭に3割程度切れ込みが入るにとどまります。

オランダミミナグサ(左)とミドリハコベ(右)切れ込みの差が明らか

また、ミミナグサの名の通り耳みたいな葉を持つという特徴があります。

上から見てみるとウサギの耳がぴょこりと立ち上がるような可愛らしい見た目をしているんです。

外来種のナデシコ科植物ですが、今では当たり前にその辺に生えているので観察の機会はとても多いです。ハコベと共に見比べてみれば種の面白さを学べるはずです。

チゴユリ

ユリ科の白いお花をつける山野草です。特に林縁ややや薄暗いような環境で目にします。

芽生え時から成長の過程ではホウチャクソウやアマドコロなど同じユリ科の植物と似た雰囲気を持ちますが、開花すると花の雰囲気は一変して他植物と異なります。先端に1つのお花を通常は下側に向けて咲きます。

非常に可憐で日本らしいわびさびを感じさせてくれる癒し植物です。初夏の登山中に休んでいて癒されます。

ユリ科の植物であることから先ほどのシャガと同じく花びらが6枚あります。

内訳はガクが3花びらが3となっています。ユリ科も同花被花を持つ代表的なカテゴリーとして面白い植物です。

環境や出現頻度から似ているのはホウチャクソウとなりますが、同じチゴユリ属の植物なので似ているのは当然です。

ホウチャクソウは枝が分枝するという特徴があるのでそこに注目しましょう。

ホウチャクソウに毒があるので、チゴユリにももちろん毒があります。なにせイヌサフラン科(食中毒でおなじみ)ですからね。

コヒルガオ

ヒルガオ科に所属しているいわゆる野生のアジサイです。昼に咲くからヒルガオ、朝に咲くからアサガオ。

ヒルガオかコヒルガオかは不明。アサガオのようなお花。

天気のいい昼間に咲いていることが多いですが、曇りや雨など太陽光が無いと萎んでいることもしばしばあります。

ヒルガオ科といえば漏斗型の花をつける代表的な植物です。花がくっついている合弁花の植物なのですが、コーヒーを抽出する漏斗やラッパのように先端に向けて口が大きくなる面白い形状をしています。

コヒルガオはつる植物であり、身近な場所のフェンスや林縁の植物に持たれる形で目にすることが多いです。

ヒルガオとコヒルガオは実は別の植物であり、付け根で見分けられるのですが、判別点となるポイントの写真が無いのでここでは紹介しません。

ホタルブクロ

キキョウ科の植物で、平地では園芸植物として主に里山や山地の林縁には自生のものが見られます。

明るい色で群生するため、目につきやすいお花

身近なキキョウの仲間であり、ホタルを包んで持ち帰ったことに由来するお花はどこか日本らしい雰囲気を感じさせてくれます。

鼻には白から赤っぽいもの紫のものまであり、個体変異が豊富なようです。


その変わった花から人気が高く、近年では街中の庭などでも目にする機会が増えました。

ホタルブクロは根茎で増えるタイプの植物であるため、生えている場所を見つけるとシーズンには多数の花を見ることができます。

花は非常に深い。蝶などが利用するのが難しい。

その光景はお祭り屋台の提灯が並んでいるかのようで、これまたどこか懐かしいものです。

花は合弁花で奥が深くなっています。これにより訪花者を限定していると考えられ、スケールとしてはアセビのようなつぼ型タイプのお花の強化版であると考えられます。

なお、外部から内部が見られないので訪花しているか確認するのは大変です。