高尾のレア種、ネブトクワガタ
夏の高尾で圧倒的人気を誇るミヤマクワガタがいますが、そこからさらに多様な昆虫へと目を向けてみると一番珍しい高尾のクワガタはネブトクワガタであることにたどり着きます。
このクワガタは高尾においては狙って捕まえることが難しい程度には遭遇できず、姿こそ小さいものの特有の顎の形など知られればかなり人気が出そうな種類です。
2年ほど高尾に通って計5匹のネブト(♂2♀3)に遭遇したので情報共有をしたいと思います。
高尾山のネブト事情
親子層でネブトを探している方というのは少ないように感じますが、虫屋として活動されている高校生辺りの方から注目の対象として扱われているのがネブトクワガタであるように感じます。(もちろん虫好き親子は探している)
ネブトクワガタは南方系の種類として知られており、西側に行くとそう珍しくはない虫なのだと聞きますが、ここ東京においては非常に珍しい虫です。
個人的な捕獲難易度としてはヨコヤマヒゲナガカミキリ以上アカエゾゼミ以下というのが2年間にわたる収集率からの結果です。
アオタマなんかよりは圧倒的に難しいですね。
ネブトクワガタはモミを利用していることが知られています。
私の高尾のケースではモミの樹液にいたことはありませんが、現地でお会いした方の中にはオオトラカミキリが出た洞からネブトを採集された方もいましたのでモミの樹液にも来ていることが伺えます。
もし昼間にアオタマやオオトラなどモミ利用の昆虫を狙うならばついでに探してみるといいと思います。
これらは副産物的な狙い方ですね。
がっつり狙うならばやはり真夏の夜にミヤマを始め色々な虫を狙いながらネブトを狙っていくというのがおすすめです。
私自身この夜の副産物として2年で4匹と多くはありませんがネブトに遭遇出来ています。
過去の例よりどんなところにいたのかなどを紹介します。
樹液の例
ネブトクワガタはモミ利用であるためにモミの樹液に来ると思われている方もいると思います。
しかし実際はモミの樹液にも来るものの、広葉樹の樹液にも来ます。
樹液の例ではカシの樹液で♀1イヌブナの樹液で♂1を捕まえたことがあります。
私の現状ではネブトはさらりと流れ出ている樹液についていました。ネブトはがっつり発酵した樹液が好きなものなのかと思っていたのでちょっと意外です。
特にイヌブナはかなり意外でしたね。
高尾にはコクワガタやスジクワガタなど一見すると平地で無視してしまう代表的なクワガタの割合が多いですが、黒い種類にはネブトの可能性もあるために一応確認することをお勧めします。
樹種に関してですが私の例はイヌブナ、カシですが、他の現地人の情報などを聞くとグジュグジュに発酵した樹液があると見つかるようです。
ケヤキでよく見つかるという話もされていましたね。怪しい樹液はクワガタのセオリーにとらわれず見ておきましょう。
外灯の例
外灯飛来の昆虫同様、巡回していると地面に落ちているケースがあります。
飛来する外灯は高尾の外灯エリアにモミが幅広く分布していることからどの外灯でもチャンスがあると思われます。
ネブトクワガタは♂の大型でも3cmに乗らない程度のサイズ感なので、かなり丁寧に見てあげないといても分かりません。
パパっと見るのではなくしっかり観察してあげましょう。
過去♂1♀1を見つけています。
昼間のルッキングの例
前4匹が夜間であることから夜に探すのがおススメではありますが、9月頃のオオトラカミキリの時期に普通にモミの木についている個体を見つけたことがあります。
偶然的要素が強いので狙うことはお勧めできませんが、モミの樹液や洞など現地でも発見した方がいるので狙う方は見ない手はありませんね。
時期に関して
ネブトクワガタの発見はミヤマ目当てに訪問者が増える6月頃から報告があります。
私の記録では7月中旬で1、下旬で2、8月上旬の期間で1と高尾に訪れる期間が増えるタイミングに偏っています。
9月の頭でオオトラを探している採集にネブトがいたと教えてくれた方と私自身でも取れたことから9月でも見つかることもわかりました。
つまり6~9月とミヤマよりもより長いシーズン見ることは可能であると考えられます。
多くはない虫なので遭遇するには巡り合わせが必要です。なので捕まえるためにはとにかく通うことですね。(ネブトに限らず全ての虫に言えること)
ネブトの大歯などは出会えない時には本当に出会えませんので、過度な期待はせずに頑張りましょう。
そして運要素が大きいのでうっかり初心者が取っていたりもしますが、暖かい目ですばらしさを伝えてあげましょう。
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