蓼食う虫も好き好き

知っているとちょっとお得で日々の観察が楽しくなる自然の魅力を発信します。画像の無断転載は禁止です。

2024年夜の高尾山昆虫観察開幕! 6月下旬にミヤマはいるのか?検証

高尾山のミヤマ事情

熱い高尾の夜が今年も来た!

高尾の夜にはミヤマクワガタの姿を見ようと人が訪れます。

アクセスよし中腹までケーブルカーでよしと至れり尽くせりな高尾ミヤマですが、ミヤマはとても多いわけではないため他地域のように6月上旬からミヤマがバンバン取れるということは有りません。

昨年の傾向どおりであればミヤマの出現時期は分かっているのですが(過去記事を参照してください)私自身の観察が昨年の7月中旬付近であったことからそれ以前の出現事情がよくわかっておらず、気になる人も多いと思うので早速足を運んできました。




6月下旬の観察記

webやSNSをベースに今季の情報収集をしていると高尾山ケーブルカーにて昼間ミヤマの発見報告がある程度で、この時期のミヤマのお話はほとんど上がっていません。

ケーブルカーに乗って体力を温存

昨年ベースに考えれば時期的に増えてくるタイミングであることが推測できます。これは先人を切って取れないことを前提に行くしか有りません。

訪れた日は6月30日。この日は晴れのち雨予報で当日予報では風も強い(8m/s)と正直バッドコンディションです。

しかし昨年の記憶が語りかけます。悪条件の日は人が少ないと。

今回は頼もしい友人が同行してくれるため、人が少ない山でも構いません。やや遅めの20時発ケーブルカーにのりいざ中腹へ!

この日ですが高尾山口駅の時点で涼しいな~という感じでした。体感は23~4度程度で中腹はもう少し冷えている雰囲気です。

中腹で4組。山頂に一人いた。

現地の人は4組ほどいましたが、外灯を巡回しているようです。

この悪条件で4組もいるとは驚きです。他地域のミヤマのセオリーならば6月の採集は成果を上げやすいはずですが、ここ高尾においては昨年の経験よりピーク時の僅かな時期に出現が固まっていることが分かっています。

なので皆様だいぶ辛い採集をされているはずです。

私事ですが昨年夜高尾に結構通ったので中腹に来た時に懐かしさを覚えるとともに去年観察した虫たちとの記憶が蘇りました。

今年はどんな虫に出会えるのか?ワクワクです。


クワガタはいるのか?

外灯の蛾や小型昆虫の飛び具合からクワガタのいる可能性が低いと感じたのですが、2個目の外灯にて早速クワガタのメスを発見。

流石にクワガタはいる様子。コクワはずいぶん見かけた。

見たところスジクワのようです。

とりあえずクワガタが見つかったことで安心しますね。周囲の木々を見てみると蛾などは止まっています。

中腹に来てみるとここは木々に囲まれた場所であり、風の影響があまり強く有りません。

加えて外灯も同様に木々に囲まれた中にあるために虫の飛来は外的環境の影響を大きく受けにくいようです。

さすがゴールデンタイム。人もあまりいないのでよく目に入る

外灯直下を見ていくだけでもコクワの♀、♂と順調に発見できました。思ったより虫はいるんだなと期待が膨らみます。

外灯にクワガタが飛来、このサイズで飛来するものはアカアシ!?とクワガタのそれを見つけたものの飛んでいってしまうという始末。

この止まるのを待つべきか変に飛翔がぶれた時に掬うかのやり取りは楽しいものです。

さて、前回下見をしていたので樹液の場所がわかっています。効率的に見ていくためにも下見をしておくことはおすすめします。

高尾のコクワはスジ、アカアシ、ネブトの可能性があるのでとりあえず観察。

樹液にはコクワガタがよく来ていました。タイミング次第ではミヤマも来るとは思うのですが昨年も含めてここでは見られていません。

樹液を見つけるヒントを紹介

クワガタを見つけるための樹液は昼間に下見をするのがベストです。

前回の昼間の下見で見つけた樹液。今回ここには樹液性の虫が沢山!

しかし夜からしか行けないという方もいるはずです。そういう方は木々に止まる蛾の仲間を探してあげてください。

蛾の仲間は樹皮に似た色合いをしていたりしてわかりにくく見えますが、光を当てると目が反射するという特徴があります。

高尾で有能なムクゲコノハ。デカくて目立つ良い蛾。

特にフクラスズメ?と思われる3~4cm程の大型の蛾の出現が多く、これを頼りにすることで良い樹液や隠れた樹液などを見つけられます。

まあ当然ですがライトの性能というのがやはり重要ですね。


中腹の樹液ではコクワとたくさんの蛾を見つけました。


待望のミヤマクワガタを発見!

外灯に沿って歩きながら木々を見ていきます。

本日はクワガタ初心者の友人と、採集慣れしている私で来ていました。

友人が見てスルーした紅葉を私が観察すると...?

幹を見ているだけでは見つかりません。止まったクワガタはどういう行動を取るか?まで考えてください。

ミヤマクワガタがついていることに気が付きました。

ありがたいことに6月下旬にてミヤマクワガタに遭遇することができました!運の要素が強いとはいえ悪天候で人が少ないことが良い方に働きましたね。

クワガタ採集の基本は人のいない場所、時期を探すことです。

ここで私が示したいのは採集慣れしている人と初心者では同じ場所を見ても得ている情報量が違うということです。

こういう分かりやすい個体は嬉しいですが高尾レベルの人の多さでは取られてしまいます

特にいきなり現地を訪れようとしていて昆虫採集経験が浅い人は同じように虫がいても分からない事が起きます。 

同じ場所で採集していても取れる人取れない人が出るのはそのためです。

ミヤマを見つけたい人で経験が浅い人は、数度足を運んで外灯採集の基礎を実践で慣らしたり、環境に慣れたりすることも必要です。

今回の私のように取れないことを前提で情報収集に来る気持ちでいると、坊主でも次頑張ろうと思えますからね。一度行って取れないからへこたれるのは甘いということです。

金色の毛でビカビカのミヤマ! あまりにも新成虫である!

このミヤマはおよそ目測57mm程で大歯のミヤマでした!今年初ミヤマ。やはりかっこいいです。

記事タイトルに答えるとするならば6月下旬でもミヤマはいる!ですね。

ミヤマがいたのでホクホクですが、今後も高尾に来る予定のため、今後良くなりそうな樹液なども探していきます。

時期的にまだ発酵しているものは少ないですが、昨年に従えばあと1週間もすれば発酵してくるはずです。

しかし新たな発酵樹液は見つかりませんでした。下見していた樹液ポイントへ逃げ込みます。

アカアシオオアオカミキリ。キラキラしている美しい昆虫。

これは良いポイントですね。アカアシオオアオカミキリやキシタバの仲間が来ています。

中にはコクワガタも多数おりここはタイミング次第でミヤマも来ますね。
今日は何もいません。

おや?下見時点ではなかった樹液になにかクワガタがついています。私の5mの網でぎりぎり届きそうです。

1週間前にはなかった樹液ポイントでノコギリ発見。定期的に通う強みはこれにある。

落としてみると? ノコギリクワガタです。ミヤマかと期待していたのですが、♂ノコの高尾の個体は今年始めてなので良しとします。

山頂にたどり着いて休憩をし、下りの外灯に託します。

時刻はこの時点で22時過ぎ。クワガタのゴールデンタイムと言われる時間は過ぎています。

下りの外灯採集なのですが、過去の経験通りやはり飛来する蛾などの虫が大きく減っていました。

自販機でキカマキリモドキ? 珍しい虫を発見。

外灯採集は現地でやっていると日没~21時30くらいまでがピークに感じますね。

そして下りは驚くほど成果がありませんでした。

ある意味思い出深い虫(過去のヨコヤマヒゲナガカミキリ編にて)

真夏に見られるカミキリなどの副産物も少ないです。ヒゲナガカミキリやニセビロウドカミキリを観察して下山します。

虚無エリアと呼んでいる。が、今年は樹液も。

ケーブルカーより下側は過去の例ではミヤマの採集経験がなく、退屈な区間です。樹液を探していると今年はポイントが有りそうな気配がします。

麓に降りるあたりの道を歩いているとなぜか低所を飛翔しているクワガタを発見! 捕まえろー!

偶然の遭遇!こういう出会いがあるからやめられない!

とまさかのミヤマクワガタ! こんな灯りも樹液もない場所でなぜいたのかは不明ですが、運良く2匹目を捕まえることができました。

疲れた体に最後のミヤマクワガタ補充が入り、元気満々で下山しました。


6月下旬のミヤマ観察総評

まずタイトルの結論ですがミヤマクワガタは2匹取れましたのでいることが分かりました。

ミヤマは2匹。1匹目は20時30分程、2匹目は23時40分頃。

しかしながらピークシーズンと比べると取れるという期待感は薄く、麓で採れた個体のようにかなり偶然感が強い採集となりそうです。

そのため、夜の山が好き、歩いているだけでも楽しい、カトカラを始め蛾やカミキリが好きという方にはいいかもしれません。

一方でミヤマだけを目的としているような方にはあまりおすすめできないかなという感じです。

今回のタイミングは気温や雨の影響もあって確実なものとは言えませんが、ミヤマは多くないです。外灯に飛来する虫の気配でその辺は分かります。

金毛にまみれたミヤマクワガタはこの時期ならではなのかもしれない。7月上旬でもいいような気はする。

今回は運良く採集できました。

これにより新しい6月下旬の情報が仕入れられたので今後足を運んでその出現の変化や樹液の変化、人の数など見ていきたいですね。

webやSNSではさっぱりな印象でしたが、実際に足を運んだ結果クワガタは多かったです。

やはり行ってみることが大事です。

川沿いでカジカガエルの声を聞きながら飲む至福の時間。

高尾の麓に話題のオレンジジュースの販売機ができていました。オレンジ4つを丸ごと絞るようで下山の体に染み渡る美味しいジュースが飲めて良かったので紹介しておきます。

pljbnature.com
次回はこの記事より。

高尾のミヤマに使えるアイテム

今回のように人が少ないこともあるため、ライトは強力なものを用意しておくことを勧めます。
クワガタは目視→取るというプロセスなのでまず見つけることが大事です。大きいミヤマクワガタは光源さえあればよく目につくので取りこぼしを減らすためにもライトはケチらないことをおすすめします。
pljbnature.com
買わずとも良いライトが安いライトと何が違うのか?理解しておくといいと思います。

ライトで見つけたあとは取る道具が必要です。飛翔性の高いミヤマは高所についていたり記事2匹目のように一瞬で横切っていったりします。
広範囲ライトでそれを早急に察知し長竿網で捉える。これによりミヤマの捕獲率は高まります。
pljbnature.com
作成についてはこの記事がおすすめ。あらゆる昆虫採集に使える網なので虫好きなら一考をおすすめします。

クワガタ関連記事

pljbnature.com
外灯採集のやり方を紹介しています。今回ミヤマを捕まえられたのは紅葉という樹木。通常はクワガタがつかない樹木ですが、基礎を抑えていたため見つけられました。
pljbnature.com
この記事は2024夜高尾開始前に行っていた下見に関する記事です。下見を侮ってはいけません。下見+足を運んで得た経験の積み上げにより成果が上がります。初心者がいきなり訪れてうまくいく、こともありますが、可能性は低いです。
pljbnature.com
2023年、初めて高尾でミヤマを探し始めた記事です。8話ほどあり、時期や外灯、樹液での観察などいろいろ試しています。情報収集にぜひ。