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2024年高尾山昆虫観察記2いまだに少ないミヤマのピークはいつになるのか

7月上旬の夜の高尾山事情

昨年の経験をベースにすればそろそろミヤマクワガタの数が増えてきているのではないかと思うのです。
前回の夜高尾ではおよそ4時間で2匹とペースとしてはなかなかに渋い成果でした。一週間が経ってどのように変化しているかを確認するべく再び夜の高尾に行ってきました。

中腹と虫の気配

本日のコンディションは気温と湿度は高く風もとても強いわけでは有りません。

月の出も弱いのでピークシーズンに当たっていれば盛り上がりそうな予想を立てていました。
現地の空気感は前回よりもずっと蒸し暑く、いい感じです。これは樹液の方も期待ができそうです。

しかしながら外灯周辺を飛んでいる虫の数は多くはありません。どうなんでしょう。

外灯周辺にあるクワの木にキボシカミキリがいました。昨年の高尾のミヤマピーク時にはキボシを始めウスバやゴマダラ、キマダラミヤマなどのカミキリムシが外灯に飛来していて、遠目で見てクワガタ!?と思いきやカミキリだったという経験をしました。

今日の空気感では特に多いはずのウスバカミキリが全然目につきません。

樹液は前回よりも流れるようになっていた。空梅雨により今後乾くと思われます。

樹液周りに関しては今年はとあるエリアでは昨年よりも良いようで虫の個体数が増えてくればたくさん見られそうです。

今回は前回樹液に来ていたコシロシタバやフクラスズメなどもあまり多く有りませんでした。しかしこの時期出ている樹液はシーズン中楽しめる可能性があるので今後に期待です。

コクワガタやスジクワを始め小さく黒い種類は結構目につきます

外灯にはスジコガネなどの虫もあまり来ていません。前回の時点でもほとんどいませんでしたが、それと比べると数は増えているようでぼちぼち中型昆虫の羽音を聞けました。

ここから辺の外灯に来る虫たちの空気感を感じていると今年の山は季節の進みが遅いのかなぁという感じはしますね。

隙間にノコギリとコクワ

外灯周辺の木の隙間に黒い影がいました。コクワが2匹と大歯型のノコギリクワガタです。

今シーズンはミヤマよりもノコギリクワガタの方をよく目にします。

平地やそれに隣接する山地ではミヤマクワガタの生息が後退しているなんて話を聞いたりしますが、冷温な環境を好むとされるミヤマクワガタにここ数年の酷暑はかなり響いているのかもしれませんね。

まあ今後ミヤマがドカンと出てくるかもしれませんが。

ウスバカミキリ。灯火飛来性のあるカミキリ。この虫とスジコガネの出現度合いは虫の活性と繋がっていると感じる。

外灯周辺で目にした唯一のウスバカミキリ。昨年のミヤマシーズンにはバカスカ飛んできていた印象がありますがまだまだ少ないですね。
ウスバは幅広い樹木を傷つけるため、樹液流出にも貢献してくれます。

今回のミヤマ事情

やたらとミヤマの死骸を見つけた日

ミヤマの顎は5つほど見つけました。外灯周辺で目にしたことからここ数日で飛来したと思われます。
なのでいないわけではなさそうなのですが、高尾に来ている人を見ていても取れてはいなさそうです。

今回見つけたミヤマは♀2

生きたミヤマには♀2匹に遭遇することができました。どちらも外灯です。

良質な樹液はポイントを知っている人が他にもいたからかミヤマなど他の虫もついていませんでしたね。

今回は滞在時間が短く、前回の半分くらいの2時間程度であったため割合的に言えばミヤマの数は時期的に増加傾向にあるのかもしれません。

しかし先程から述べているように山の昆虫の感じがまだまだというにぎわいです。ミヤマだけを目当てにしているとまだつらい感じの観察にはなりそうですね。

いずれもリリースしています。

死骸と虫の出現

ミヤマの死骸が多い外灯を見つけた

直接的な成果には繋がりませんが、後々成果になる可能性が高いものとしてこうした頭部の死骸が挙げられます。
外灯は面している林や位置、外灯自体の紫外線などの差や周囲の木々などにより虫が来やすいものとそうでないものに分かれます。

死骸の多い外灯はつまり飛来数が多いという可能性が考えられるので良質な外灯である可能性が高いです。使えるヒントは何でも使っていきましょう。

クワガタはいないわけではないもののミヤマがいない

樹液や外灯を丁寧に見ていけばクワガタ自体には出会えますね。

ミヤマのピークはまだな予感

今回の記事は長く滞在しない方と同様の条件で行っていました。

今後虫のにぎわいが出てくるのかも引き続き調査していきます

つまり日没前に登って最終ケーブルカーを利用するという形です。

同時期の採集回数は増やせないのでサンプル回数を増やせませんが、昨年を例とすると記念すべき第1回(7/5)と2回(7/8くらい)ではそれぞれミヤマが5,7取れています。昨年も空梅雨で条件的には似通っているものの今年の渋い空気感は昨年のものとは大きく違います。

一体この感覚が何に由来するのか人では不明ですが、これからミヤマのピークシーズンが来ることを期待してまた後日通いたいと思います。

今回の高尾で出会えた特筆すべき生き物

まさかのタカチホヘビ!夜行性の希少ヘビ。

タカチホヘビに遭遇できました。ミヤマよりも全然珍しい生き物で虫の少なさを吹き飛ばしてくれる嬉しい遭遇です。
夜行性の生態から遭遇はとても困難なヘビです。小さくて非常に可愛らしくしばらく戯れていました。

あまりにも可愛らしい。


頭には虹色の光沢を放つ鱗がある。触れ合った後はリリースしています。

その後ケーブルカーで降りてゲンジボタルを観察しました。

第二部最後のあがき?麓外灯

今回早めに降りたのは理由があり、周辺地域の外灯や良さげな木を確認するためです。
高尾駅程度まではクワガタの飛来が有ることがwebで分かっているのでその辺の都合を見に来ました。

謎のスズメガが2種類いた。小さな虫やコガネムシも麓のほうが活発。

外灯に関してはこの辺のほうが虫がよく来ており、スズメガやキマダラミヤマカミキリなどが見られました。

周辺の樹木でスジクワガタを発見。中腹と麓の標高差から2度程度の気温差でずいぶん違うらしい?

更にクワガタらしきシルエットも飛来。これはミヤマが来たか!!?と網で引っ掛けると

ノコギリの♂大歯。山中ばかり気になるけれど、意外と周辺も侮れない。

ここらへんの賑わいっぷりと空気感を味わって、今後中腹も暖かくなれば賑わうだろうと予想を立てました。
高尾のミヤマは毎年異なる梅雨の長さのように毎年発生が違うのだとすればかなり面白いですね。
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次回です。

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6/30日の第1回と比べると1週間で大きく環境が変わっています。
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昨年のものです。シーズンを通しての予習におすすめです。

昆虫観察や採集に役立つアイテム

今回のミヤマは外灯周りで捕まえたものです。このうち1は周辺の下草、1は木の高いところについていたので長竿網がなければ取れませんでした。大きなオスだと悔しいパターンです。長竿網を1つ作成するのは捕まえる虫の幅を増やすうえでもおすすめですよ。
今回最後のノコギリは飛翔時にはミヤマかノコか不明でした。目視できない場所に乗ってしまったのですが長竿網の網に脚をかけることで取ることができました。