タケを食べるサル?

春、山地に近いエリアではサルを見かける機会が増えます。
その理由の一つとしてタケノコを食べに来ている可能性が考えられます。
特に芽出し直前~直後の竹がむしられたように食べられている場合にはまずサルを疑うのが得策です。タケノコを食べるイノシシは掘り返しますからね。
今回は竹を食べに来たサルを紹介し、その様子や食べる程度、成長具合などを紹介します。
サルは竹を食べにやってくる
竹藪は放棄される傾向があり、近年の里山環境では荒廃した竹藪がかなり多いです。

そうしたエリアでも毎年新しい竹の子は芽生えてきます。管理された竹よりも隠れ家も多く過ごしやすいのかこうした竹藪にサルは出てきます。

利用する竹についてですが、地上からおよそ2~30㎝程度出てきたものが良く狙われています。

人の感覚でいうとタケノコは地上に出てきた辺りが食べごろですが、自然界ではそうしたいいタイミングに出会うのが難しいからか最大で60㎝程度のものでも食害した痕が見つかりました。
私の観察エリアを始め、サルは人慣れしてしまっている場合も多く、食事中になるとかなり近づいても逃げない場合が多いようです。
今回遭遇したのはこの個体。およそ10㎝地上から出たタケノコを齧っていました。
直接食事しているサルに遭遇できなくともサルが食べた痕跡は分かりやすいです。

竹の皮が周囲に散乱しているケースも多いからですね。特にむしったような跡は怪しいです。
このサルはタケノコを食べた後に悠々と人の前を歩いて去っていきました。餌場としているようで複数のサルが周囲にはいました。
タケノコの伸び具合で餌資源を使い分ける動物
サルは私の観察している限りでは掘り起こしてまでタケノコを探している様子は見られません。

一方で同時期にはイノシシがタケノコを掘り返して食べています。
イノシシはサルが利用するようなものが残っていればそれも掘り返しますが、鼻が効くからか地中に埋まっているタケノコも利用しているようです。
春になると竹薮の地表が大きく荒らされており。イノシシが狙った様が見て取れます。
つまり同じタケノコでも早いものはイノシシが、地表に出たものはサルがそれぞれ狙っている可能性が考えられますね。
人の味覚ではアクも強いタケノコですが、野生動物からすれば栄養満点の食事です。
希少な餌資源を狙ったバトルが春の竹やぶでは繰り広げられているようですね。