冬場の昆虫観察の定番、コマダラウスバカゲロウ
冬場は昆虫採集も限られたものになりがちです。

冬の虫探しは知らないと探せない種類が多いためになかなか出会う機会が難しいものですが、逆に言えば探し方を知っていれば出会える面白いものもいます。
その代表的なものがコマダラウスバカゲロウといういわゆるカゲロウの仲間です。
コケや地衣類に擬態する幼虫探しは大人でも夢中で探せる面白さを秘めているとてもユニークなものです。
今回はそんなコマダラウスバカゲロウを紹介しつつその探し方や擬態のうまさにスポットを当ててみましょう。
コマダラウスバカゲロウとは
コマダラウスバカゲロウとはアミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科の昆虫の1種です。

身近な昆虫にはアリジゴクでおなじみのウスバカゲロウや街中やマンションの外灯にも来るクサカゲロウの仲間などが挙げられます。
脈翅目の昆虫であり、翅には複雑な模様を持つのが特徴的であり、レースのように美麗です。
コマダラウスバカゲロウは主にレプラゴケと呼ばれる青白い地衣類のある場所に出現します。

幼虫は主に岩場や樹木、時に墓石や石などにも出現し、その地衣類に擬態するように溶け込んでいます。
幼虫は地衣類を徘徊する小型の昆虫類を捕食しています。姿はアリジゴクを地衣類に張り付けたような見た目をしていますが、その姿を見るには目をかなり鍛えたうえで彼らの生息する場所を見ていく必要があります。
擬態昆虫の中でもかなり見事な擬態を見せるため、虫好きの間では有名な昆虫となります。
地衣類に擬態している擬態名人な昆虫
コマダラウスバカゲロウですが私も色々な擬態昆虫を見てきましたが感動してしまうぐらい素晴らしい擬態を見せています。

この幼虫は岩場を始めやや湿度のある環境に出現するレプラゴケというよく目にする青白い地衣類のある環境に出現します。
まずはたらたらと言葉を述べずにコマダラウスバカゲロウの幼虫を探してみましょう。
この写真の中にはコマダラウスバカゲロウの幼虫が2匹も潜んでいます。

幼虫は成長の段階にもよりますが5㎜程度から6~7mm程度の大きさがあり、意外と大きく見えるのが特徴です。
どうでしょうか?本来は無数にある岩場などのレプラゴケをじっくりと観察していくところがこの写真ではこの中にいるわけですから難易度はとても簡単になっています。
正解は写真中央付近の濃いレプラゴケの中心に一匹と上部に一匹がいました。

いやはやすごすぎる擬態ですよね。
擬態昆虫といえばこの冬季には桜に出現するイチモジフユナミシャクのように地衣類に擬態している昆虫というのがいます。
このフユシャクも見つけにくさには定評があるのですが、コマダラウスバカゲロウと比べると一段評価が落ちるといわざるを得ませんね。

ナナフシモドキは有名な擬態性の昆虫ですが、枝や葉に立体的な物体が付いているため意外と目につきます。
そのため言われるほど見つけにくくはないという感触なのですが、このコマダラウスバカゲロウは地衣類上にいると物体としての違和感もなく盛り上がるコケや場合によっては写真の例のように完璧に溶け込んでしまっている個体も見られます。
これこそまさにキングオブ擬態の名人です。
コマダラウスバカゲロウの生息場所の例
コマダラウスバカゲロウに興味が湧いてきましたか?

この虫のすばらしさはクイズのように出題しても伝わると思いますが、やはり実際に生息しているものを見つけ出した時にこそその真価を体験できると思います。
コマダラウスバカゲロウがどんな場所に生息しているのか?という点についてみていきましょう。

まず基本的に地衣類のレプラゴケが出現する場所にいるものであるため、地衣類が繁殖できる環境があることが必要となります。
地衣類は太陽光にさらされてしまうのが苦手であるため、コマダラウスバカゲロウは必然的に日陰環境から半日陰環境に出現します。
環境的には暖かい時期には蚊がやってくるようなじんわりとした空中湿度がある場所です。

そうした場所は雑木林を始め苔の生えた岩、崖地の側面、日陰にある樹木、暗い場所の墓石などなど環境を上げればたくさん上げられます。
今回探した場所は雑木林の日陰にある切り立った岩の崖という感じです。日差しは早朝にわずかに入る程度で夏場はむしむしとしているような場所ですね。
そんな場所が見つけられればきっとコマダラウスバカゲロウが生息しているはずです。
探し方のコツ
ここからはポイントを見つけたうえで現地でどんな感じで探してみるか?というのを紹介していきます。

この虫は前述のとおりかなりの擬態を見せてくれるため、日ごろ虫を探すことに慣れているレベルの人でも探し慣れるまでは見つけられないことがあります。
今回の現場ではかなりベテランの昆虫好きの方とともに探していたのですがお互いにこの虫を探すのが久々であったため、最初は1匹しか見つけることができませんでした。
時間を空けて探すべき対象を見つけた個体を例としてしっかり認識し、再び探すことで合計11匹見つけることができました。
というように虫探しに慣れている方でも見つけるのには苦労しますのでそれなりの覚悟を持って探す必要があります。

探す場合には幼虫よりも見つけやすいサインとしてコマダラウスバカゲロウが成虫になるために作った繭を探すことをお勧めします。
この虫がそれなりに生息している場所では過去にもここにいるわけですから繭と羽化した脱出殻が見つかります。
繭の姿
探すべき繭の姿はこれです。

大きさは5㎜程度で小さく丸く膨らんでいるのが特徴です。すでに羽化したものは上部がぱかりと開いているので分かりやすいと思います。
この繭が多いところは幼虫も好む良質な場所であることが多いように思いますので、繭の周辺を中心に探してみましょう。
幼虫の姿と張り付きの特性
幼虫は個体差がありますが地衣類をまとって張り付いていることが多いです。

このとき、ほとんどの個体が下方向を向いているのが特徴です。
コマダラウスバカゲロウは地衣類を徘徊している昆虫類を捕食する特性があるため、上がってくる昆虫類は下側からくることがとても多いのです。おそらくそのために個体は下を向いていることが多いものと思われます。

幼虫は腹部がだんだん状になっているため、地衣類の中にいても地衣類とは異なる横線が走っていることに気が付くことが多いです。地衣類の持つ模様に注目し視界の中にある地衣類の模様への違和感を探しましょう。
これに加えてアリジゴクのように大きな顎を広げて獲物を待ち構えていますので、慣れてくると地衣類から飛び出ている茶色っぽい水平180度に開いた顎で気が付けることもかなり多いです。
この二つの特性を理解したうえで探していくと目が慣れればかなり簡単に見つけられます。

張り付き特性なんですがこれについては語れるほどの個体数を見ていませんが地衣類上にいることもあるのですがそれよりもまばらについている場所に続いてくっついていることが多いように思います。
岩場を例にするとやはり昆虫であるからか凹凸で言えば凹の場所にいることが多いです。岩の中でもやや張り出した場所の上。平面である崖の中でちょっと飛び出て足場のようになっている場所などはよくいるように感じられました。
冬場の昆虫観察の定番!
虫が少なくなるこの時期には幼虫で場所さえ分かっていれば見つけられるコマダラウスバカゲロウは定番の昆虫観察のネタといえます。

何より擬態昆虫の中でもかなり見事な擬態を見せてくれるため、探して楽しく見つけて楽しい絶好の対象といえます。
私も見つけてみてはしゃいでしまうぐらい盛り上がれましたので、昆虫好きの皆様の中でまだこの虫を探したことがない方はぜひとも見つけてみてください。
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